GERBERA PARTNERSブログ

労務管理|従業員を夜に働かせてはいけないの?

2016/08/02

Q 先日、ある病院が労働基準監督署の許可を受けずに医師や看護師に当直勤務をさせていたというニュースをみました。労働基準監督署の許可がないと、従業員を夜に働かせることはできないのでしょうか。

 

A 夜間勤務であっても、通常の労働時間管理をしていれば許可の必要はありません。

 

今回は、「当直」という言葉が使われていましたが、労働基準法では宿直・日直(以下、宿日直といいます)という言葉を使います。

夜間勤務と宿日直勤務は分けて考える必要があります。

 

夜間勤務について、通常と同じく労働時間を管理し、法定時間を超える労働があれば割増を払い、深夜についての割増を払うのであれば、許可を受ける必要はありません。

 

通常と同じくとは、労働時間は、原則1日8時間、1週40時間まで、これらの時間を超える場合は25%割増手当を支払い、深夜時間帯についてはさらに25%の割増手当を支払うことです。

 

一方、宿日直勤務には許可が必要です。

宿日直というのは、通常の労働とはまったく違う勤務の態様であるため、通常の労働時間とは別に考えるべきものであり、労働基準法の労働時間や休憩、休日の適用除外とされるからです。

 

宿日直勤務の許可が受けられる勤務の態様は、「常態としてほとんど労働する必要がない勤務のみを認めるものであり、 定時的巡視、緊急の文書又は電話の収受、非常事態に備えての待機等を目的とするものに限って許可するものであること」とされています。

 

「夜間や休みの日は、ほとんど仕事がない」ということを、労働基準監督署ではなく、事業主が個々に判断してしまっては、判断基準がばらばらとなり、断続的な宿日直労働とは認められないものまで、法定労働時間を超えた長時間になり、割増賃金を支払われないということになりかねません。

 

このため、「当社の宿日直は断続的であり、通常の労働とは密度が違う」という特別な事情を認めてもらうためには労働基準監督署の許可が必要なのです。

 

勤務の態様のほかにも、宿日直の許可を受けるためには、宿日直手当(1日又は1回につき、宿日直勤務を行う者に支払われる賃金の1日の平均額の1/3以上)、回数(宿直については週1回、日直については月1回を限度)、その他(宿直については相当の睡眠設備の設置)が必要とされています。

 

医師、看護師等の宿直の許可基準については、さらに細かく定められています。

 

繰り返しになりますが、通常の人と同じように、法律通りの時間管理を夜に働く人にもしているのであれば、問題はありません。

もし、夜間は昼間よりも負担が軽いからと、労働時間を長くしていたり、給与を安く設定しているということであれば、宿直の許可が受けられるかどうか確認し、該当しそうだということであれば、労働基準監督署に相談のうえ、許可申請を提出しましょう。

 

深夜労働についてはこちらのブログもご参考になさってください。

「労働時間の基本~日をまたいだ残業(24時超え)の計算~」

 

 

弊社では、日常的なちょっとしたご相談へのお答えから、労務問題やコンプライアンス対策まで、幅広く承っています。お困りのことがありましたらお気軽に当グループ社会保険労務士までご相談ください。

 

 


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