2017/02/08
Q 昨年から本格的に始まったストレスチェックですが、それに合わせてよく目にするようになった「EAP」という言葉があります。これはどういったものですか?
A 職場のメンタルヘルス不調者の問題が取り上げられるようになってから、目にすることが多くなったこの「EAP」とは、「従業員支援プログラム」(Employee Assistance Program)のことです。
従業員支援プログラムは、職場パフォーマンスに関わる、会社などの組織的なメンタルヘルス対策、健康増進やコンプライアンスなどの福利厚生ケアを総合的に指しています。元々はアメリカ発祥で発展し、1980年代に日本にも浸透し始めてきました。
現在は、従業員のメンタルヘルスケアに関して利用されることが多く、EAPを専門とした機関が、アウトソーシングとしてのサービスを提供しており、これを利用する会社が増えています。
外部機関のEAPの一般的なサービス内容としては次のものがあります。
・個別カウンセリング
・専門医療機関の案内、相談機関の紹介
・ストレスチェックの実施
・組織診断
・メンタルヘルス全般のコンサルティング
・従業員のメンタルヘルス関連の研修
■ 会社の安全配慮義務
EAPが一般的にも知られるようになったのは、職場のストレスや長時間労働が、従業員のメンタルヘルスに影響されていることの認知度が上がってきたことが背景にあります。
平成20年3月に施行された労働契約法第5条では、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」と、会社の従業員に対する安全配慮義務(健康配慮義務)を明文化しています。そして、ここにはメンタルヘルス対策も当然含まれていると解釈されています。
この法改正も後押しして、EAPをアウトソーシングすることが進みました。もちろん社内的な体制も必要ですが、専門性が求められることから、産業医や安全衛生管理者などの労働衛生スタッフの設置が義務付けられていない従業員人数の少ない事業場では、こういった外部機関のサービスは使いやすいというのも理由の一つでしょう。
■ ストレスチェックの義務化
平成27年12月より始まったストレスチェックの義務化は、よりEAPのアウトソーシングを進めています。ストレスチェックは常時雇用する従業員が50名以上いる事業場を義務対象としていますが、情報の機密性や本人合意がないと会社側には情報を伝えられないという運用の難しさから、統計によっては約4割がアウトソーシングを選んでいるという結果が出ています。
安全衛生の管理は、「費用」や「出費」と考えられがちであったため、どうしても後回しになっていましたが、法律変更などにより重要とされる位置づけに変ってきました。
EAPを完全に外部任せにすることは出来ませんが、医療にも関わることから、自社だけで運営することは難しいため、一部のサービスを利用するのも一案です。
社内でのメンタルヘルス対策としては、ラインケアという、上司がいつもと違う部下に気づくことが初期対応として有効です。
厚生労働省のホームページでも紹介がありますので活用ください。
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