2017/03/08
Q 早帰りを促すプレミアムフライデーが2月から始まりました。社内制度として取り入れるときの労務管理の方法はどのようにしたらいいですか?
A 月末の金曜日の退社時間を午後3時に繰り上げるプレミアムフライデーが2月24日から始まりました。経済産業省が民間の経済界と推進するこのキャンペーンは、日常よりも少し豊かな時間を過ごして、ライフスタイルの改革を目指すことを目的にした取り組みです。早帰りでできた時間を、買物、観光、ボランティア、家族との時間に充てることを奨励しており、早帰りを実施する企業は名乗り出てWEB上に掲載されるなど、大きく取り上げられています。
では、実際に自社でプレミアムフライデーを制度として取り入れることになった場合、労務管理の扱いはどのようにしたら良いのでしょうか?
□ 強制するか、推奨するか
まずは早帰りを強制するか、推奨するかによって法律上の扱いは変わってきます。午後3時、定時を前に従業員を強制的に帰してしまい、勤務自体を禁止する場合は労働基準法では会社都合の休業となり、休業手当の支払いが必要となってきます。
よく似たものに、ノー残業デーを設けて残業を禁止することが挙げられますが、元々は法律で禁止されている定時を超えた残業を禁止することと、労働契約上の所定労働時間内で勤務を禁止することは大きな違いがあります。
プレミアムフライデーの定時自体を午後3時にするという方法にした場合は、休業手当の問題は生じませんが、そもそも退社を強制する会社というのはあったとしても今のところはごく少数でしょう。
次に早帰りを推奨した場合です。
パターンとしていくつかあげてみましょう。
(1) 早帰り分は半日年次有給休暇とする
(2) 早退のペナルティは付けない
(3) 定時まで働いたものとみなす
(4) 定時を午後3時にする
もともとプレミアムフライデーには法律的な拘束力はありませんので、設定は会社の自由となり(1)から(4)のいずれを採ったとして問題にはなりません。ただしその結果が労働法に違反していない事は必要です。
たとえば(4)にした場合、業務の都合で早帰りできず、午後3時以降に残った人については原則として残業手当が必要となります。
また、法違反とはならないまでも、早帰りを推奨していることから、従業員にとって早帰りが不利益にならないようにすることには配慮が必要です。
(2)の場合に、早帰りはしてもいいけれど、有給休暇がない人にはその時間を欠勤控除したり、(3)にした場合に、早く帰れる人とどうしても帰れない人とでは、従業員に不公平さを感じさせてしまうことも生じます。経営者としては良かれと思ったことが逆に裏目に出てしまうこともあり得るということです。
実際には、他社ではどのような運用をしているかは気になるところですが、今回プレミアムフライデーを実施した多くの会社が、午後3時に退社するかどうかを従業員の意思に任せるという制度としており、労務上の扱いとしては、年次有給休暇の取得促進と捉えています。
プレミアムフライデーについては、浸透しないだろうという意見もよく聞かれますが、労働時間の短縮を意識づける機会にはなりそうです。
時間外労働の上限を定める法律の施行も予定されており、労働時間を削減する規制と、働く人たちの意識の変化から、会社にとって、長時間労働を抑制する体制を整えることは最優先課題となってきました。
会社によってどのような制度が取り入れやすいか、というのは異なります。ガルベラ・パートナーズは、制度設計から運用まで、貴社に合わせたコンサルティングを行っております。お気軽にご相談ください。
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