GERBERA PARTNERSブログ

メンタルヘルス,ハラスメント対策|休職者のリハビリ勤務は認めるべき?

2017/08/31

Q、現在メンタルヘルス不調で休職中の社員が、休職期間満了日の1ヵ月前に主治医の「就業が可能」とした診断書を付けて復職願いを提出してきました。本人としては復職には不安があるようで、復職当初は通勤訓練や短時間勤務などのリハビリ期間を希望しています。希望通りにリハビリ期間を設けないといけないのでしょうか?

A、会社と休職中の社員との本来の雇用契約上の約束が、フルタイムでの勤務である場合、短時間勤務や就労以外の出勤を認める義務は会社にはありません。しかし休職明けで、すぐに通常通りの勤務をさせることが、その社員にとっての大きな負担になる場合も考えられることから何らかの措置をされる場合は、予め、期間の設定、期間中の具体的な内容、就労に当るか当らないかの区分といったものを取り決めて、本人に十分説明しておく必要があります。

 

解説(公開日:2017/08/31  最終更新日:2023/09/12 )

 

休職制度は、法律上または公的に定めないといけないものではなく、休職、復職に伴うリハビリ勤務についても同様に会社には認める義務はありません。しかし、私的な傷病の養生や回復するための期間として休職制度持つ会社は多く、就業規則に休職規定を設けているのが一般的です。

 

今回のご質問のように、メンタルヘルス不調者の休職からの復職では、復職後の病状悪化や通常勤務ができずに再び欠勤しがちになってしまうといった問題がおこりやすい傾向にあります。

 

このため、厚生労働省からメンタルヘルス不調者の職場復帰支援手引きが出されており、受け入れる職場側の体制の整備や通常の勤務を軽減したリハビリ的な期間を設けることが推奨されています。

 

【ご参考】

心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き

厚生労働省 中央労働災害防止協会

 

復職の条件とは?

通常、復職の条件は、傷病が改善していて、休職前と同じ勤務を雇用契約通りに遂行できる状態になっていることです。

 

このため、その社員本来の勤務内容とは異なる、職務の変更、短時間勤務、時差出勤または通勤訓練が必要であるという状態は、復職には当らないため、休職を続ける必要があると判断できます。しかし復職ができないまま、休職期間が満了すると退職になるという休職制度が一般的であるため、復職をさせないとする会社判断は休職者にとっては大きな問題となります。

 

そのため、今回のご質問のように、専門家である医師の診断で「就労可能である」とされているにも関わらず、会社がこれを退けることは、会社判断に対する不服から、労務トラブルに発展する可能性は高くなると考えられます。

 

リハビリ勤務とは?

「リハビリ勤務」というはっきりとした定義はありませんが、ためし出勤の期間として、本来の勤務とは切り分けた、通常勤務を軽減する内容の勤務または勤務に類似したもので、次のようなものが上げられます。

 
  1. 軽作業などの一時的な職種変更
  2. 時差出勤
  3. 残業・深夜業務の停止
  4. 短時間勤務
  5. 通勤訓練・ためし出勤
 

このうち、通勤訓練・ためし出勤では、実際の就労をしないで通勤や職場で過ごすことを目的としているため、給与支払いの対象とならないのが一般的です。

 

リハビリ勤務を認めるか?

職場への緩やかな復帰のために、リハビリ勤務を望む社員から、会社にリハビリ勤務を促そうとするケースは増えています。会社側も、メンタルヘルス不調者が増加する傾向にあることから、職場復帰支援としてのリハビリ勤務制度を取り入れることが徐々に増えてきました。

 

しかし、リハビリ勤務は本来の勤務とは切り分けたものとして位置付ける必要があり、その部分をあいまいにしていると会社側と社員側の認識の違いが生じて、トラブルに発展することが見受けられます。休職期間満了と退職が連動していることと相まって、復職を急いだためにリハビリ期間中に症状が悪化してしまう場合や、通勤途上での事故になってしまった場合などは、会社が安全配慮義務を問われる可能性があるため、リハビリ勤務を始める前には充分な準備が必要です。

 

留意点としては次のものがあげられます。

  1. 復職を目的としたリハビリ勤務についての主治医および産業医の意見、見立ての確認
  2. 個人情報に配慮した受入れ側のリハビリ勤務周知と体制作り
  3. リハビリ勤務の期間、内容、打ち切りの条件、復職の具体的な条件
  4. 就労が含まれる場合の給与に関することの取り決め
  5. リハビリ勤務を休職期間内のものとするか、休職期間に通算しない期間とするかの位置づけ
  6. リハビリ勤務に関する休職者への十分な説明
 

これらの留意点を、整えることができるかどうかが、リハビリ勤務を認めるか否かの判断材料になります。就業規則との整合性や今後同様の事案が有ることも踏まえて、受入れの社内環境の整備や規程や書面といったハード面の整備も必要になってきます。

 

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