2017/12/13
A、契約社員(有期雇用)であっても、仕事内容や責任、人材活用の仕組みが正社員(無期雇用)と変わらなければ、給与格差は認められない場合があります。
格差が認められない場合は、正社員水準への労働条件引上げや格差相当額の損害賠償支払義務が発生します。
労働契約法20条では、有期雇用社員の労働条件と無期雇用社員の労働条件に格差がある場合、その格差は不合理であってはならないと定められています。
いま「20条裁判」と称して、各地で契約社員による正社員との格差是正を求める訴訟が相次いで起きています。
まだ判例として確立されたものはありませんが、以下にポイントをまとめましたのでご確認ください。
まず、労働契約法20条では、不合理か否かの判断基準を以下の通りと定めています。
原則として契約社員と正社員の間で、仕事内容や責任、人事異動の範囲に変わりがなければ、給与を含む労働条件に格差があってはなりません。働かせ方が同じであれば同じ給与を支払う必要があるということです。
一方で、例えば正社員のみが、企画業務や交渉業務を行う、業績責任を負う、人事異動の範囲が無制限など、契約社員との違いが明確な場合は相応の格差が認められます。
労働契約法20条(別窓開きます)
では最近注目された2つの裁判例をご紹介します。
それぞれ、個別の事情が異なりますので一概に基準を設けることは難しいですが、実務を行う上で参考として頂ければと思います。
年末年始勤務手当(8割までの格差は認めた)、住宅手当(6割までの格差は認めた)
2つの裁判例では個別の労働条件ごとに不合理性の判断が行われています。
食事手当、通勤手当、健康保持のための休暇など、雇用期間の有無による格差がそぐわない性質の労働条件について格差は否定されています。一方、終身雇用における長期キャリア形成が前提の正社員と、そうでない枠組みの契約社員とでは一定の格差が認められることも確かであり、それぞれの役割・人材活用の仕組みと労働条件のバランスが今後も争点となってくるものと思われます。
以上より、契約社員と正社員の給与格差は、実態の人材活用の仕組みによっては思わぬ偶発債務を呼び起こす原因となりえます。同一労働同一賃金の流れも合わせて、不合理な労働条件格差は今後も注目が高まることが予想されます。
今一度、個別の労働条件を再確認し、適切な人事制度、賃金体系に基づいた事業運営を行うことが必要となります。また、適切な人事労務管理は離職防止にも大きな効果を発揮します。人材確保の観点からも契約社員の処遇や活用について、これを機に検討されてはいかがでしょうか。
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