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労働時間|【テレワークとフレックス】月の所定労働時間を設定する場合に考慮すべき論点

2020/07/03

Q、当社では、テレワークの導入に伴い、柔軟な労働時間運用をするため、フレックスタイム制を導入することにしました。月単位で所定労働時間を設定するという考え方について注意点を教えてください。

 

A、行政資料においては、 (1) 固定方式(法定労働時間の総枠の範囲内で一律の時間を定める方式) (2) 可変方式(「所定労働日数×所定労働時間」で月ごとに可変する方式) の2つの方式が例示されていますが、実務的なところで考慮を要する論点があるので、下記解説に記載いたします。

 

解説(公開日:2020/07/03 最終更新日:2020/08/24)

 

※本稿では、説明を直感的に理解しやすくするため、清算期間を毎月1日~末日の「月単位」、1日の所定労働時間を標準的な「8時間」という事例をイメージしてご説明させていただきます。

 

【1】フレックスタイム制の本質とは

労働時間に関する法令上の原則(以下、「原則的制度」と呼称します。)では、始業時刻、終業時刻を固定的に定め、1日の所定労働時間も固定することになります。

 

この考え方をそのままテレワークに適用してしまいますと、「仕事に入る準備が出来ているのに始業時刻まで着手せずにパソコン前で何もせずに待機する。」とか、「当日の業務がスムーズに進み早く終われそうなのに、1日8時間を消化するまでパソコンの前で時間を潰す。」といった、およそ効率化とはかけ離れた状況が出現してしまいます。

(これはテレワークを例にしていますが、出社勤務でも同様のことであり、法令上の原則と現代のビジネス環境のギャップについては、真剣に考えるべき問題だと考えています。)

 

そこで、フレックスタイムを導入することで、始業時刻、終業時刻を固定せずに、1日の所定労働時間を可変させ、月次累計時間と所定労働時間との過不足により、時間外労働や欠勤控除を把握するという処理が可能になります。

 

フレックスタイム制の本質は、以上のように、労働時間の過不足の把握について、日単位の硬直的な考え方から、月単位の柔軟な考え方に移行するという点にあります。

 

原則的制度に慣れきってしまいますと、「1日8時間を超えれば残業。終業時刻を過ぎれば残業。」という感覚が強くなってしまい、月次累計時間で把握するという感覚がつかみにくいところですので、以下では、厚生労働省「フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き」を参考に、月単位で所定労働時間を定める際に考慮すべき問題点を検討してみます。

 

【2】フレックスタイム制における月の所定労働時間の定め方

手引きによれば、「労使協定では、例えば1か月160時間というように各清算期間を通じて一律の時間を定める方法のほか、清算期間における所定労働日を定め、所定労働日1日当たり○時間といった定め方をすることもできます。」とあり、2種類の方法が例示されています。

 

(1) 固定方式

法定労働時間の総枠の範囲内で、各月の所定労働時間として一律の時間を定める方式です。なお、法定労働時間の総枠とは、177.1時間(暦日31日の月)、171.4時間(暦日30日の月)、165.7時間(暦日29日の月)、160.0時間(暦日28日の月)を指します。

 

この方法の派生形として、法定労働時間の総枠の範囲内で「月ごとに」時間を定める方式があり得ますが、これについては、行政資料には例示はありません。労働基準監督署の見解では、違法ではないと考えられているようです。

(例えば、8月の所定労働時間は176時間、9月の所定労働時間168時間など、月ごとに固定して定める方式。)

 

現実問題として、行政資料のように、全ての月が所定労働時間160時間というのは、年間の休日設定の方法としては難しさがあろうかと思います。

 

(2) 可変方式

「所定労働日数×所定労働時間」で月ごとに可変させる方式で最も一般的な方法です。

 

各月の所定労働日数がポイントになり、例えば5月のように休日が多くなりすぎて所定労働日数が少なくなりすぎると、月の所定労働時間が150時間を割り込むような状況になり、平月なみの働き方をしていても残業になるという不合理があり得ます。気になる場合は、休日の定め方に一工夫必要になります。

 

【3】完全週休2日特例とは

会社の休日設定の問題として、「カレンダーどうりの休み方式(土日祝)」であれば、あまり問題になりませんが、ギリギリ週休2日制(年間休日105日~110日前後)を採用している会社においては、下記特例が適用できるように、完全週休2日を維持しながら設定することをお勧めします。

 

【行政通達】平成 30 年9月7日 基発0907第1号 第1の4

「完全週休2日制の場合の清算期間における労働時間の限度(新労基法第32 条の3第3項関係)」

 

完全週休2日制の下で働く労働者(1週間の所定労働日数が5日の労働者)についてフレックスタイム制を適用する場合においては、曜日のめぐり次第で、1日8時間相当の労働でも清算期間における法定労働時間の総枠を超え得るという課題を解消するため、完全週休2日制の事業場において、労使協定により、所定労働日数に8時間を乗じた時間数を清算期間における法定労働時間の総枠とすることができるようにしたものであること。

 

ここで言う「完全週休2日制」とは、1年の52週のどの週にもバランス良く休日が2日配置されている制度のことであり、土日祝を必ず休ませる制度ということではありません。

(週の起算曜日は、会社で設定することが可能です。)

 

一例ですが、過去に1か月単位の変形労働時間制を採用していた企業が、年間休日を105日~110日くらいの状況でフレックスタイムに移行するようなケースで問題になりやすい状況です。

 

休日総数としては週休2日制を取りながらも、カレンダーの巡りの問題で、所定労働日数が23日で月の所定労働時間が184時間(23日×8時間)という状況になることがありますが、この状況を法定労働時間の総枠に収めるために、特例的に休日を1日ふやさなくてはならないという状況に陥ります。

 

もちろん休日が増えれば労働者にはありがたいことなのですが、会社には、計画された年間の労働日数や労働時間があり、そうしたものから賃金制度や固定残業代の設定がされているケースが多いため、安易に休日数を増やすということが難しい場合があります。

 

そこで、この特例を活用することで、休日を増やすことなく、184時間を「法令の範囲内の所定労働時間」として設定することが可能となります。細かい点ではありますが、時間外労働や割増賃金のコンプライアンスが強化されている状況ですので、数時間といえども軽く見ることなく、会社の賃金制度と法令の整合性を取るという視点は重要なものと考えます。

 

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