2021/06/16
A、なにか外国人従業員が原因で社内トラブルが生じるケースでは、「知らされていなかった」「日本語しかなかったからわからなかった」という理由が挙げられます。そこで、英語に翻訳しておいたほうがいい6つの社内文書をご紹介させていただきます。以下の解説をご覧ください。
2021年6月時点で、日本には推定約288万人の外国人が住んでいると言われています。そのなかでも、英語を母国語あるいは第二言語とする外国人が最も多いと思われます。彼らのなかには、日本語を習得することに苦労している人も大勢おり、特にビジネス文書となるとなかなか理解が進まない外国人従業員は多いことと思われます。
そのため、社内文書を英語に翻訳して外国人従業員に提供することで、外国人従業員が会社のルールや手順などを十分に理解することが可能となります。言葉の壁は、モチベーション、生産性、そして安全面において、大きく影響するものと考えます。
本稿では、優先的に英語で提供されるべき6つの重要文書をご紹介させていただきます。
就業規則は、多くの英語圏の国ではEmployee Handbook(従業員ハンドブック)と呼ばれ、会社での就業ルール、服務規律、入社や退職時、勤務時間、休暇や休日などの情報を含んだ、従業員に与えられるべき最も重要な情報源となっています。就業規則は、仕事に関連する大量の情報が盛り込まれた密度の高いものが多いため、外国人従業員を雇用されるのであれば、まず何はともあれ、就業規則を英語に翻訳しておくことをお勧めします。これにより、英語を母国語あるいは第二言語として話す人々が、貴社での仕事の進め方を十分に理解し、労務管理における落とし穴を回避することが可能となります。
貴社では、外国人従業員に肉体労働を行わせたり、あるいは怪我をする可能性の高い重機や機械設備を使用させていますか?もしそうであれば、安全対策マニュアルについては、その従業員の母国語又は第二言語に翻訳され、かつ、それらの外国人従業員が容易にアクセスでき、作業を理解できるようになっているかを確認してください。
これまでの技能実習生制度に加え、外国人労働者を日本国内の特定の産業に呼び込むために「特定技能」ビザが導入されました。この特定技能ビザの導入に伴い、安全対策マニュアルを理解するための日本語能力を持たない外国人が更に増えつつあります。特に、農業、漁業、食品・飲料製造業(水産加工を含む)、素材産業、産業機械、電子・電気機器産業、建設業、造船・海洋産業などの業界に日本語の理解力の欠如が顕著に現れています。このように外国人従業員が多い業界・企業では、安全対策マニュアルを翻訳することは当然のことと言えます。
税務関連書類とは、従業員が給料を受け取った際に正しく所得税額を算出するために国税庁が用意している必要書類をいいます。日本語が堪能でない外国人従業員は、これらの税務関連書類がどういった内容の記述を要求しているのかを理解できていないため、間違った記入をしてしまい、管轄税務署とトラブルになる危険性があります。その結果、給料が減ってしまったり、不正受給の疑いをかけられたりするリスクもあります。そのため、このような重要な情報は、外国人従業員のために可能な限り英語に翻訳して明確にしておくことが重要と考えます。
職場での安全対策は不可欠です。多くの工場や倉庫に安全標識が貼られているのは、従業員が仕事中に怪我をしないようにするためであり、仕事中の事故は現場管理者はもとより、貴社自身のビジネス、そして貴社の従業員に対して多くの問題を引き起こします。英語を母国語又は第二言語とする人が多い会社では、安全標識を英語に翻訳することをお勧めします。このようにして、重要な指示を外国人従業員を含むすべての従業員が理解できるようにしておきましょう。
電子メールや社内文書その他のメモなどは、ビジネスの状況を伝えるための迅速な手段となりうるものですが、それらを英語に翻訳し、さらに日本語とともに提供することで、ビジネス環境の透明性を高めることができます。一部の外国人従業員が社内で取り残されていると感じないように、日本人従業員は常に意識しておく必要があります。
医療フォームは、他の社内文書と同様に、ネイティブスピーカーが正確かつ簡単に記入できるように英語に翻訳しておく必要があります。医療フォームに誤って記入された場合、たとえそれが偶然であったとしても、法的・倫理的な問題が生じる可能性があります。
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