2018/03/07
A、相手方のある交通事故で、示談が成立した場合であっても、労災保険の特別支給金を請求することができます。請求方法は、通常の労災と同様ですが、その際には示談書の提出が必要です。
相手方のある事故などによる災害を第三者行為災害と言います。相手方を第三者と呼びますが、事故によって被った損害に対する賠償責任は、民法によって、この第三者が負うことが義務づけられています。
ご質問の交通事故は、仕事中であったということから、労災保険の対象にもなりますが、この時にすでに相手方からの損害賠償を受け取っている場合には、同一のことに対しては重複されないように金額が調整されます。
第三者行為災害にあたる交通事故であっても、業務中であることが認められれば労災保険の対象となることは述べました。交通事故では、相手方の車両保険を使うのが一般的ですが、労災保険を使うこともできます。 この場合は、上の表の通り、同一のことに対しては重複されることがありませんので、先に労災保険を請求し、補償を受けた場合は、相手方に対して、相手方の過失割合に相当する損害賠償を、労災保険が怪我をした本人の代位で請求して調整することになります。
逆に、相手方から支払われた損害賠償がすでにある場合には、労災保険に請求をすると、相手からの損害賠償を差し引いた補償を受け取ることができます。
相手方のいる事故の場合に、特に注意が必要なのは示談です。 示談は、双方が損害に対しての賠償を譲歩して、互いに納得しうる額に折り合うために行われるもので、その全部または一部を免除することもできます。 このため、もしそれ以上の賠償額があったとしても、示談によって放棄されてしまっているため、示談後には、労災保険からは一切保険給付はされないことになります。
示談をした場合には、労災保険の保険給付は支払われることはありませんが、特別支給金と呼ばれるものは、示談が成立していても払われます。
この特別支給金は、保険給付ではなく、社会復帰促進等事業として、相手方からの損害賠償の大きさや示談にも影響されることなく支給されるものです。
特別支給金には、次の表の種類と内容があります。
特別支給金は、一般の労災保険の請求の時と同じ書類を提出して、請求することができます。特別支給金が支給されるか否かは、労災保険の審査と同じで、業務を行っているときに起こったものであって、業務と怪我に因果関係があることが認められれば、対象となります。
通常の労災請求の場合は、特別支給金の請求も同時に行いますので漏れることはありませんが、質問のように相手方との示談が成立している場合には、特別支給金が請求されずにいることも多いようです。
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