GERBERA PARTNERSブログ

雇用保険|雇用保険マルチジョブホルダー制度とは?

2022/01/24

Q、兼業をしている労働者について、新たな雇用保険の制度ができたと聞きました。どのようなものか教えてください。

A、65歳以上の労働者に限り、通常の雇用保険の適用要件を満たさない方であっても、一定の要件を満たす場合には、「マルチ高年齢被保険者」として雇用保険に加入できる制度ができました。制度の概要、対象者、手続、注意点についてお伝えいたします。

 

解説(公開日:2022/01/24  最終更新日:2022/01/26 )

 

制度の概要

従来の雇用保険は、「31日以上の継続雇用の見込み」があり、「週所定労働時間が20時間以上」である場合に適用されます。

雇用保険マルチジョブホルダー制度」は、上記の要件を満たしていない方であっても、複数の事業所で勤務する65 歳以上の労働者がそのうち2つの事業所での勤務を合計して雇用保険被保険者の加入要件を満たした場合であって、本人が申出をした場合には、特例的に被保険者(マルチ高年齢被保険者)となることができる制度です。

マルチ高年齢被保険者であった方が、失業した場合には、一定の要件を満たせば、高年齢求職者給付金を受給することができるようになります。

この制度は、65歳以上の労働者に限定して令和4年1月1日から試行実施し、その効果等を施行後5年を目途に検証することとされています。

 

適用対象者

  1. (1) 複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること
  2. (2) 2つの事業所(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満)の労働時間を合計して1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  3. (3) 2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上であること
 

手続き

  1. ・この制度は、本人が、自身の居住地を管轄するハローワークに申出を行います。
  2. ・会社は、本人からの依頼に基づいて、手続に必要な証明を行ってください。
  3. ・会社が、代理人として手続することは可能ですが、書類の提出先が本人の住所を管轄するハローワークとなることに注意してください。電子申請はできません。また、代理人による手続の際には、委任状が必要です。
 

注意点

  1. ・要件を満たしても、当然に適用されるものではなく、申出が必要であり、ハローワークに申し出た日が資格取得日となります。
  2. ・遡及加入はできないため、会社は、本人から「雇用保険マルチジョブホルダー雇入・資格取得届」が提出されたら、速やかに記入するようにしましょう。
  3. ・マルチ高年齢被保険者として雇用保険の適用を希望する者が雇用保険の資格を取得した日から雇用保険料の納付義務が発生します。
  4. ・保険料の計算は、通常の雇用保険と同様にそれぞれの事業主が労働者に支払う賃金総額に、保険料率を乗じて計算することとなります。
  5. ・マルチ高年齢被保険者として雇用保険が適用された後の取扱いは、通常の雇用保険の被保険者と同様であり、任意脱退は認められません。
  6. ・マルチ高年齢被保険者の週所定労働時間を20時間以上に契約変更した場合、1つの事業所で週所定労働時間が20時間以上となった場合には、通常の高年齢被保険者となるため、マルチ高年齢被保険者本人から住居所管轄ハローワークへマルチ喪失届の提出が必要となります。また、会社は、その方について、通常の被保険者として資格取得届を提出する必要があります。
 

その他の注意点、手続等の詳細については、以下をご確認ください。

 

70 歳までの就業機会確保(努力義務)をはかるうえで、短時間勤務での雇用契約の締結は、会社にとって有益な手段です。また、短時間勤務であっても、雇用保険による保護が受けられることとなるのは労働者本人にとっても、大きなメリットです。

65歳以上で短時間勤務の方がいる場合には、対象者に制度を周知して、ぜひご活用ください。

     
 

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