2021/04/23
A、育児休業は、性別に関わらず取得することができます。男性が育児休業を取得する場合には育児休業の取得開始日が異なること、子の両親ともに育児休業を取得する場合は、育児休業の取得可能期間の優遇があることが、女性が育児休業を取得する場合との違いです。
男性の育児休業取得促進に向けて、法改正の予定があります。今後の改正動向をチェックしていきましょう。
育児休業は、性別に関わらず取得することができます。出産をした女性の場合、育児休業は産後休業終了後からはじまりますが、男性については、子の出生当日から取得することができます。
育児休業は原則、子の1歳の誕生日の前日までですが、一定の要件を満たして夫婦(子の父母(パパとママ))とも育児休業を取得する際には、パパママ育休プラスという育児休業を延長することができる制度があります。
パパママ育休プラスには、メリットが2つあります。
① 育児休業は原則1度しか取得することができませんが、ママの出産後8週間以内の期間内に、パパが育児休業を取得した場合には、この分は1回とカウントされず、特別な事情がなくても、パパは再度の育児休業を取得することができます。
② 「パパ・ママ育休プラス」で育児休業期間が延長されます。
原則は子が1歳までの休業可能期間が、子が1歳2か月に達するまでに延長されます。パパとママが育児休業を取得できる期間はそれぞれ1年間ずつまでであり、子の1歳以降に延長される2か月分は、一般的に、後から育児休業を取得するパパにプラスされます。
※【参考】パパママ育休プラスの実例
「両親で育児休業を取得しましょう!」(厚生労働省:PDF)
育児介護休業法で、性別を問わず等しく育児休業の取得が認められているにもかかわらず、育児休業の取得については、男女間で大きな差があります。男性の育児休業取得率は、令和元年度で7.48%でした(「令和元年度雇用均等基本調査」による)。取得期間についても「男性・正社員」では、「3日以内」の割合がもっとも高く(43.1%)、次いで「4~7日」(25.8%)であり、70%近くが1週間未満となっています(厚生労働省委託事業「平成29年度仕事と育児の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書」による)。
男性の育児休業の取得を促進するため、育児介護休業法の改正法案が今国会に提出されています。
改正法案のポイントは主に次の5点です。
詳細は、労働政策審議会が厚生労働大臣に提出した建議「男性の育児休業取得促進策等について」をご覧ください。
「男性の育児休業取得促進策等について」(厚生労働省:PDF)
現在の育児休業取得者の社会保険料免除の制度については、月末時点で育児休業を取得している場合には、当月の保険料が免除される一方、月途中に短期間の育児休業を取得した場合には、保険料の免除が受けられないという不公平があります。
また、賞与に対する社会保険料についても、現在の制度では、月末時点で育児休業を取得することで免除を受けることができます。健保組合の男性被保険者については、6月、7月、12月の保険料免除対象者が多いという調査結果があります。6月から7月にかけて、また12月に賞与の支払いを行う企業が多いことから、一部の方について賞与保険料の免除を意識して、育休取得月を選択している可能性が考えられます。
これらの不公平をなくすため、1か月以下の育休取得に係る保険料免除について、健康保険法及び厚生年金法の改正案が国会に提出されています。
短期の育児休業の取得者の保険料免除に関する改正案の内容は以下のとおりであり、令和4年10月1日に施行される予定です。
「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案の概要」(厚生労働省:PDF)
育児休業を取得していなくても、男性であっても、育児をする労働者に対する両立支援の制度(短時間勤務等の措置、子の看護休暇の取得等)は、育児休業を取得した女性が復帰した場合と同じく利用することができます。両立支援制度については、以下のサイトをご覧ください。
「イクメンプロジェクト」(厚生労働省:イクメンプロジェクト)
子どもが3歳までの間に標準報酬月額が低下した場合に、子どもが生まれる前の標準報酬月額に基づく年金額を受け取ることができる養育期間特例の制度も、他の両立支援制度と同じく、育児休業を取得していない男性従業員であっても利用することができます。養育期間特例の申出は、育児休業をしていない男性従業員の場合、本人も制度を知らず、特に手続きがもれてしまいやすいため、気をつけるようにしましょう。
養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置(日本年金機構)
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、働き方が変わってきています。
男性の育児休業取得の促進は、少子高齢化の解消といった国の問題解決だけでなく、仕事の進め方を変化させたり、助け合う風土の醸成ができたりなど、魅力ある職場づくりにもつながります。
すでに育児介護休業法や健康保険法等の改正案も国会に提出されています。法改正の動向も踏まえながら、性別にかかわりなく、育児休業を取得できる職場環境づくりを進めてください。
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