2019/04/17
A、働き方改革に伴い、時間外労働・休日労働時間の上限等、36協定に関する管理に注意が必要です
2019年4月1日の労働基準法改正により、36協定の様式変更を始めとした労働時間の上限規制等、長時間労働の抑制がより厳格化されました(中小企業は2020年4月1日より適用)。
これに伴い、一部の事業・職種(建設業、自動車運転の業務、医師等)を除いては、企業規模により新法の適用を受ける場合とそうでない場合が混在する状態となっています。
一方、労働者派遣事業は、雇用者と使用者が分離した雇用・指揮命令形態であることから、労働基準法等の適用について派遣先が使用者となる場合、派遣元が使用者となる場合が法令に明記されています。
以上を踏まえ、労働時間の管理について注意点をまとめてみます。
まず、労働者派遣法44条2項により、法定労働時間を超えて労働させることが出来るのは「派遣先」とされています。
派遣先は労使協定(36協定)の範囲内で、時間外労働を命じることが出来うる立場にあります。
ここで対象となる36協定とは、「派遣元」と労働組合もしくは労働者の過半数代表者が締結した協定であって、派遣先の36協定ではないことに注意が必要です。
派遣元は、締結した36協定の内容を派遣先に通知することで、派遣先は労働時間の適正な管理が可能となります。派遣先は、自己の雇用する従業員と派遣社員とで、異なる36協定時間の管理を行なわなければならないことになります。
36協定様式変更をはじめとした、2019年4月1日からの労働時間の上限規制について、中小企業はその適用を1年間猶予されています。
業種 | 資本金 | 常時使用する労働者 | |
小売 | 5,000万円以下 | または | 50人以下 |
サービス | 5,000万円以下 | または | 100人以下 |
卸売 | 1億円以下 | または | 100人以下 |
その他 | 3億円以下 | または | 300人以下 |
派遣社員の労働時間管理の場合、派遣元、派遣先どちらが中小企業の判定基準の対象となるのか、迷ってしまう場面もあろうかと思いますが、「派遣先」の規模を基準として判断することとなります(基発 1228 第 15 号)。
つまり、派遣元が中小企業の場合であっても、派遣先が大企業の場合は、改正法による労働時間の管理、新様式での36協定の締結が必要となります。一方、派遣先が中小企業の場合は、改正法の適用が1年猶予されていますので、旧来通りの管理となり、派遣先ごとに適用されるルールが異なることになります。
以上のように、労働者派遣における時間管理については、派遣先・派遣元ともに注意が必要です。勘違いによる手続の不備を防ぐためにも、取引の開始時もしくは労働者派遣の開始時に、相互に時間管理方法の確認を行うことをお薦めいたします。
********
弊社では、労働者派遣事業に精通した社会保険労務士が、労務相談、人事制度の構築などに対応させていただいております。ぜひお気軽にご相談ください。