GERBERA PARTNERSブログ

労働者派遣|特定派遣事業者はお急ぎ下さい。派遣事業許可要件への対応。

2018/01/17

Q、労働者派遣事業の許可を取得したいと考えています。
許可要件を満たすための基準や準備、申請にあたっての留意事項を教えてください。

A、平成27年の労働者派遣法(以下、派遣法)により届出制派遣事業(以下、特定派遣)が廃止となり許可制事業へ一本化されました。それに伴い、許可要件も一部改正となっていますので、改めて許可要件と申請時のポイントを解説いたします。

なお、対応に時間を要する許可要件もありますので、許可を検討されている場合は早めの対応をお薦めいたします。

 

解説(公開日:2018/01/17)

 

平成27年9月30日施行の改正派遣法では、特定派遣、一般派遣の区別をなくし許可制派遣事業に一本化されました。経過措置として、改正前に特定派遣事業を行っていた事業者は平成30年9月29日までは派遣事業を継続できますが、それ以降は全ての派遣事業者に許可が必要となります。以下に許可申請に関するポイントを記載します。

   

1.欠格事由

派遣法6条では、労働者派遣事業の許可に関する欠格事由が定められており、該当する場合は許可を受けることが出来ません。例えば、一定の刑罰に処せられ執行後5年を経過しない場合、労働者派遣事業の許可取り消しや事業停止処分を受けてから5年を経過しない場合、申請事業者の役員が過去に別の法人で許可取り消しや事業停止処分を受けた際の役員だった場合(当該許可取り消し、事業停止処分から5年を経過していない場合)などの事由に該当する場合が定められています。

 

※詳細は厚生労働省「許可・更新等手続マニュアル」をご参照下さい

   

2.許可要件

派遣法7条では、派遣事業の許可に関する基準が大きく以下4つの項目により定められています。

  1. (1) 専ら特定の者に役務提供をすることが目的ではない
  2. (2) 雇用管理を適正に行うに足りる能力
  3. (3) 個人情報の適正管理
  4. (4) 事業を的確に遂行するに足りる能力

※詳細は厚生労働省「許可・更新等手続マニュアル」をご参照下さい

  

(2)の具体的な要件としては、平成27年改正で新設されたキャリア形成支援制度の運営体制が含まれています。キャリア形成支援制度は①有給無償で行われる教育訓練②キャリアコンサルティング窓口の設置が事業者に義務付けられています。その他、派遣元責任者に関する内容が定められています。

(4)の具体的な要件としては、財産的基礎要件、事務所要件、適正な事業運営(派遣事業を他事業の宣伝、会員獲得等を目的として利用しないこと)に関する要件が含まれています。なお、財産的基礎は平成30年1月1日の業務取扱要領の改正により基準に満たない取扱いが追加となりました。

   

3.主な許可要件

以上の許可要件の中でも、形式上クリアしなければならない基準であり、かつ、準備に時間を要する項目については早めの準備が必要となります。以下に主な要件を抜粋しました。

(1) 事業目的

適正な事業運営の判断を行うための許可申請書類である定款、履歴事項全部証明書の事業目的に「労働者派遣事業」と記載されていることが望ましく(一部事業の場合は必須)、記載がない場合は株主総会の決議、登記を経て準備をする必要があります。

 

(2) 財産的基礎要件

派遣労働者の雇用を健全に確保するため、許可申請時の直近決算年度で以下①~③全てを満たすことが必要です。基準を満たしていない場合は増資、借入など財務、税務も含んだ対策が必要となりますので早めの準備が必要です。

  1. ① 基準資産額≧2,000万円×事業所数
  2. ② 現預金額≧1,500万円×事業所数
  3. ③ 基準資産額≧負債×1/7
 
  • ※ 基準資産=資産総額-棚卸資産-営業権-負債
  • ※ 直近決算で上記を満たさない場合、中間及び月次決算で基準を満たし、監査法人もしくは公認会計士による監査証明書、利害関係がない旨の証明書を添付すること
  • ※ 上記基準を満たさなくても、地方公共団体による債務保証契約または損失補填契約が締結されている場合は差し支えない(平成30年1月1日追加)
   

(3) 事務所要件

場所、設備等から派遣事業を行うのに適切であることが求められており、20㎡以上の執務スペースが必要となります。許可申請時には事務所レイアウト図を提出しますが、申請後は現地調査が行われます。基準を満たしていない場合は物件の契約や移転など費用や時間を要しますので早めの準備が必要です。

 

(4) 派遣元責任者

派遣事業を行うにあたり、事業所ごとに派遣する労働者100人につき1名以上派遣元責任者の選任が必要です。許可制においては、派遣元責任者講習を受講していることが必須となります。派遣元責任者講習は厚生労働省が委託する機関が定期的に開催していますが、受講待ちとなる場合が多いため、早めの予約が必要となります。

   

4.申請

許可申請時には、所定の様式による申請書類と許可要件に関する各種証明書類を求められます。書類の数も多く馴染みにくい内容もありますので、一度で受理されることは稀で、何度も労働局に足を運ぶ場合もあります。登録免許税(9万円)の事前納付と手数料について収入印紙(12万円※複数事業所の場合2つ目以降5.5万円)の準備が必要です。

   

5.留意点

現状、都道府県労働局によっては派遣事業許可の申請から決定まで非常に時間が掛かる場合があります。労働局での受理から厚生労働省の本省審査、労働政策審議会への諮問・大臣答申、本省での許可・不許可決定、許可証発行・交付と手続きを踏むため、申請受理から事業の開始まで3ヶ月程度かかる場合があります。また先述のとおり、書類の準備や不備によるやり直しなど、受理に至るまでに多大な時間を要すことがあります。手続の準備不足で事業計画に弊害が出ないよう、事業許可申請を検討の際はスケジュールにご留意ください。

 

特に特定派遣事業者で経過措置の適用を受けている事業者は、今年の9月29日までが無許可で派遣事業を行うことが出来る期限です。まだ時間があるように思えますが、各要件の確認、特に3月決算の会社については財産要件の対応など喫緊に行わなければならないこともあろうかと思います。うっかり事業運営が止まる事の無いようくれぐれもご注意願います。

   

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