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中国|日本と中国における個人所得税の課税制度の違いについて

2018/04/03

Q、中国に現地法人を設立し、日本から数名が中国に赴任することになりました。給与の一部を日本で支給し、残りを中国で支給しようとしています。日本と中国の個人所得税の違いについて、教えてもらえますか?


 
A、中国の個人所得税は、毎月が確定申告であったり、年末調整がなかったりと、日本の個人所得税とは異なる点が多々あります。中国への赴任者の個人所得税の申告に関して、思わぬ申告漏れを起こさないためには、日中双方の課税制度を理解することが大変重要となります。以下に、日中両国の個人所得税の課税制度について、解説してまいりたいと思います。
 

解説(公開日:2018/04/03  最終更新日:2018/06/26 )

1.国内源泉所得と国外源泉所得

まず、日中両国の課税の範囲について整理してみますと、課税の範囲は「国内源泉所得」と「国外源泉所得」に分けることができます。「国内」と「国外」の区別は、たとえば中国への赴任者が中国で働き、日本法人から日本の銀行口座に給料を振り込まれた場合、たとえそれが日本本社が負担したものであったとしても、日本では「国外」源泉所得になりますし、中国から見た場合には「国内」源泉所得になります。

 

日中両国の個人所得税に関して、想定外の納税漏れを起こさないには、それぞれの国においてどういった場合に、「国内」あるいは「国外」の源泉所得に対して課税されるのかということを把握しておく必要があります。

 
 

2.居住者と非居住者

(1)日本における居住者、非居住者の定義

日本の所得税法上、「居住者」とは、国内に「住所」があり、または、現在まで引き続いて1年以上「居所」がある個人をいいます。居住者は、所得が生じた場所が国内・国外のいずれであっても、その所得について日本で所得税を納める義務があります。

 

なお、居住者のうち日本国籍がなく、かつ、過去10年間に国内に住所又は居所を有する期間の合計が5年以下である人を「非永住者」といいますが、本稿の解説を簡略化するために、この説明については省略します。もしこの範囲に該当される場合は、十分ご注意ください。

 

また、「非居住者」とは、居住者以外の個人をいい、日本国内で生じた所得(国内源泉所得)に限って所得税を納める義務があります。

 

 
(2)中国における定義

中国の所得税法上、「居住者」とは、中国国内に「住所」があり、または、現在まで引き続いて1年以上中国に居住している個人をいいます。この場合における「1年以上居住」とは、暦年を通じて、1回の出国期間が連続30日を超えず、かつ累計90日を超えないで中国国内に滞在することをいいます。

 

居住者の場合、所得が生じた場所が国の内外を問わず、その所得について中国において所得税を納める義務があります。

 

なお、居住者のうち、国内に住所を有しない、かつ、1年以上5年以下の居住者については、国内源泉所得はもちろん課税されますが、国外源泉所得については、そのうち中国国内で支払われている部分のみが課税されます。ただし、国外支払い部分の免税については税務局の認可が必要となります。

 

また、「非居住者」とは、居住者以外の個人をいい、日本国内で生じた所得(国内源泉所得)に限って、中国において所得税を納める義務があります。

 
 

3.複数の滞在地がある人

滞在地が2か国以上にわたる場合に、その方の住所がどこにあるかを判定するためには、例えば、住居、職業、資産の所在、親族の居住状況、国籍等の客観的事実によって判断することになります。滞在日数のみによって判断するものでないことから、外国に1年の半分(183日)以上滞在している場合であっても、わが国の居住者となる場合があります。

  

1年の間に居住地を数か国にわたって転々と移動し、どこの国においても表面上は居住者とはならない、いわゆる「Perpetual Traveler, Permanent Traveler」の場合であっても、その人の生活の本拠が日本や中国にあると課税当局が認定すれば、その国の居住者となる可能性がありますのでご注意ください。

 

中国の居住者になるかどうかは、中国の国の法令によって決まることになります。中国で居住者と判定され、わが国でも居住者と判定される場合、租税条約では、二重課税を防止するため、居住者の判定方法を定めています。

 

どちらの国の居住者となるかを判定するに当たっては、日本と中国との租税条約によりますが、中国以外の国によっては、国籍をひとつの判断要素としている条約もあります(たとえば日米租税条約など)。

 
 

4.5年超中国に滞在する外国人の個人所得税の納税義務

中国に滞在している外国人は、滞在期間が5 年を超えた時点で課税関係が変化します。すなわち、5年以内は、日本の賃貸不動産収入など、中国国外源泉所得については非課税なのですが、これが中国国内において課税されることになります。

 

これを回避するためには連続して30日間、中国を出国することが必要です。急きょ30日間も中国を離れることは、日々中国で仕事をしている赴任者には困難なケースが多いため、事前に一時帰任のスケジュールを管理することが、節税の観点からも重要となります。

 
 

5.較差補てん分に関する税務リスク

日本法人から支給される較差補填分の給与を中国で申告納税していない場合、中国の税務局に指摘されるとペナルティとして、多額の加算税(50~500%)と延滞税(18.25%)が課されます。

 

しかも、脱税行為には消滅時効がありませんので、たとえば月間10万円の申告漏れを5 年さかのぼって追徴された場合、少なくとも50%の加算税が付加されますので、1人当たり1千万円程度の追加納付をしなければなりません。だいたい3年を過ぎた頃に指摘を受けるケースがありますので、十分ご注意ください。

 
 

6.短期滞在者免税

短期滞在者免税(183日ルール)とは、「中国での滞在期間が183日を超えない場合には、たとえ中国国内での労働の対価として得た所得であっても、中国国内での課税を免除する」という日中国間の租税条約です。

 

単に183日という日数だけに注意しておけばよいかというと、決してそうではなく、日数以外にも、以下の点に注意する必要があります。

 
1:中国の現地法人から給与が支給されないこと
2:給与は中国の恒久的施設によって負担されないこと
 

注意すべきは出張者自身が恒久的施設(PE)に認定されてしまうリスクです。この場合、一定の状況下では、個人所得税が課されてしまう恐れがあり、近年この指摘が増えていますのでご注意ください。

 
 

7.日本と中国での二重課税

中国への出張者で、1年以上日本を離れる予定にないものの、183日を超えて中国に滞在する方がいらっしゃいます。こういう方については、中国の滞在期間に相当する給与について、日本と中国の双方で個人所得税が課されることになります。

 

そこで、この二重課税を救済するために、中国で納めた税金相当分を、日本の個人所得税の申告の際に、算出した所得税額から差し引くこと(外国税額控除)が可能です。

 
 
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