GERBERA PARTNERSブログ

中国|中国現地法人の休眠手続きと配当手続きの流れと留意点

2023/06/19

Q、中国に現地法人があるのですが、撤退までは考えていないものの、一定期間休眠を検討しています。中国の現地法人の休眠手続きはどのように進めればいいですか?利益剰余金が残っているので日本に送金したいのですがその手続きも教えてください。また、現在、ローカル社員がまだ働いており、その雇用休止(解雇手続き)についても知りたいです。

A、中国現地法人の休眠に際しては、従業員の解雇や利益剰余金の配当を行いたい場合は先に行う必要があります。ただし、中国では休眠は毎年のコストも生じ続けますので、あくまでも一定期間の活動休止に際して休眠の制度を活用いただくのがいいかと思います。以下に詳細をご案内します。

 

解説(公開日:  最終更新日:

   

1.中国現地法人の清算か休眠か迷われている場合

当社への問い合わせの段階で、中国現地法人を清算するか休眠するかを決めかねておられる企業様も多いようです。

清算するか休眠するかの損益分岐点は3年くらいかなと思います。もし3年を過ぎても再開する予定が立っていない場合は清算をするのも一つかなと思います。

清算については別のブログ記事でも詳しくまとめていますので、ぜひご参照ください。

ガルベラ・パートナーズ Q&A BLOG

中国|中国の現地法人の撤退(清算)手続きについて

 

2.中国現地法人の休眠手続きの準備

中国現地法人を休眠する前に、いくつかの役所などへ事前確認が必要になります。

  1. (1)所在地の市場監督管理局との協議
  2. (2)従業員の解雇もしくは雇用休止について所在地の公会との協議
  3. (3)所在地の工商行政管理局との協議
  4. (4)所在地の税務局との協議
 

また、役所以外にも会社側で以下の手続きを進めることになります。

  1. (1)オフィス賃貸契約の解約
  2. (2)従業員が残っている場合は解雇または雇用休止の同意取り付け
  3. (3)法律文書の送付住所と休眠期間中の連絡者の確保
  4. (4)会計書類の保管場所の確保
 

3.従業員の解雇または雇用休止手続きの流れ

従業員がまだ在籍している場合は、解雇または雇用休止について打診をしなければなりません。

通常、法定内の支払いで済むように交渉を進めますが、外資系の場合は足元を見られる恐れもあります。

そこで当社では労務のプロフェッショナルが従業員さんへの説明や示談なども代行していますが、ほとんど法定以上の支払いは必要ありません。

 

4.親会社への配当

預金が残っている場合は、なるべく分配可能利益の上限いっぱいまでを親会社へ配当しましょう。これは休眠手続きを開始する前までに行ってください。

なお、たまにあるのですが、2018年以降は法定監査が任意となったことから、事業をほとんど行っていない会社の場合、法定監査をしていないことがあります。

この場合は、配当をするにはさかのぼって受けていない年度から直近年度までの期間について、法定監査を受ける必要があります。

あるいは当社の場合、法定監査がどうしてもコストがかさむため、銀行と協議して別の方法で対応することもあります。

 

配当の手続きについては、会社側がすでに実施できる人材を中国においていない場合も多く、当社では以下のような流れで業務を代行しています。

  1. (1)過去年度分の監査報告書または専用書類の準備
  2. (2)税務局へ配当税の申請ならびに納税
  3. (3)銀行を通じて外貨管理局へ配当申請
  4. (4)監査報告書などの必要書類を提出
  5. (5)配当が実際に行われたかどうかの確認
 

5.休眠手続きの流れ

当社中国法人にて休眠申請書類を作成のうえ、お客様の日本本社にお送りしてサインをいただき、所在地の工商行政管理局へ休眠申請を行います。

 

6.休眠手続き後も現地で行うこと

中国現地法人の休眠手続きが終わってからも、定期的に行わなければならないことがあります。

財務については、毎月もしくは四半期ごとに中国の税務局に税務申告が必要となります。また、年次業務として、工商公示と企業所得税の清算が必要です。

銀行については、四半期ごとに残金の照会を行う必要があります。

当社ではこれらの業務もお引き受けしています。

 

7.休眠手続きのスケジュール

中国現地法人に分配可能利益がある場合は配当を検討することになりますが、配当するには上記に記載のとおり法定監査(または特定の申請)が必要です。

法定監査は時間がかかりますが特定の申請には2週間あれば対応可能です。

その後配当を行うことになり、これらは外貨管理局等の調整も含めて、約1か月で完了します。

休眠手続きは配当が終わってから開始することになりますが、書類作成とサインに約1か月、休眠申請から手続き完了まで約1か月を見ていただくことになります。

 

中国現地法人の休眠手続きにおける留意点

中国現地法人の休眠は、日本の会社の休眠とはその内容が少し異なります。日本の場合、休眠に入った会社は、利益が出ないから国税は税務申告は免除されますが、増値税や個人所得税の申告が必要で、完全に停止というものとは異なるのが特徴です。

 

1.登記住所について

清算と違って休眠は会社が残りますので、本店所在地を中国国内に残しておく必要があります。この場合、賃貸契約が切れたとしても、直前の本店所在地に住所を残しておくことが可能です。ただし、休眠を解除する際には新たに賃貸契約を締結しなければなりません。

 

2.工商行政管理局への申請

休眠の場合は工商行政管理局に休眠申請を行わなければなりません。もし工商行政管理局に休眠登記をしなかった場合、半年以上その状態が続けば審査され、清算命令が出される可能性があります。そのため休眠手続きを進めるしかなく、休眠登記をすることで3年間は合法的にゼロ申告が可能となります。(延長も可能です。)

 

3.税務局や銀行への対応

休眠手続きの場合、税務局に対しては、清算と違って特に何もする必要はありません。ただし、増値税や個人所得税は発生しなくても申告が必要で、申告は原則として毎月必要ですが、増値税は3ヶ月に1回とすることも可能です。これらは当社でも代行させていただいています。銀行は休眠中でも動かすことは可能ですが、報酬が発生するのは控える必要があります。

 

※中国現地法人の休眠手続きは、別のブログ記事でも詳しくまとめていますので、ぜひご参照ください。

ガルベラ・パートナーズ Q&A BLOG

中国|中国情報:2022年中国現地法人の休眠について

 

私どもガルベラ・パートナーズグループは、日本国内では税理士法人・社会保険労務士法人・行政書士法人を中心に東京、大阪、名古屋、福岡に拠点を置き、海外では中国、香港、台湾、ベトナム、タイ、シンガポール、アメリカなどに現地法人を展開し、日本企業の海外進出や撤退を税務・労務・法務のあらゆる面でサポートしています。

 

やむなく中国からの撤退・清算・休眠をお考えの場合は、ぜひご相談ください。リーズナブルで、最短のプランをご提案申し上げます。

 

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