2021/07/08
A、現地法人を設立せずにベトナム人のIT人材を雇用する方法としては、ラボ型開発を選択するか、GEOサービス(雇用代行サービス)を選択するかの2つの方法が考えられます。
今回は、ラボ型開発とGEOサービスとの違いについて以下に解説してまいります。
昨今、ベトナム人のIT人材の層が厚くなってきました。中国に比べて20年ほど遅れましたが、2005年頃からIT人材の育成が本格化し、当初は中国のIT技術者のパフォーマンスの60%程度とも言われていましたが、いまやベテラン勢も幅広く活躍しており、ベトナムにおけるIT人材の裾野はどんどん拡がるばかりです。
現時点(2021年7月現在)での話ですが、ベトナム人のIT人材は、たとえばハノイであれば、日本円で5万円からスタートになります。そして給料はどんどん上昇する傾向にありますが、この初任給が倍になるにはまだまだ時間がかかると考えられるため、現時点ではアジア全域を見渡しても、能力とコストを踏まえるとベトナム人のIT人材は活用することが望ましいと考えます。
当初10万円で雇用したベトナム人のIT人材も、真面目さゆえに、半年や1年が経過すると一人前に育ってきます。昇給は1年単位が多いですが、その昇給のタイミングで人件費政策を誤ると、せっかく1年かけて手塩に育てたベトナム人IT技術者が魅力的な給料を提示する企業に引き抜かれてしまうリスクも高いと言えます。
日本みたいに年功序列制ではないため、優秀な人材は給料がどんどん上がります。同期で同じく初任給5万円でも、3年目になって片方は7万円で片方は10万円になり、5年目では10万円と20万円という差になることもあります。
したがって、ベトナム人のIT人材を定着させるためには、まずはしっかりとした等級要件や賃金テーブルを設定するとともに、快適な社内環境づくりや公平公正な就業条件を整え、また1年を待たずに能力に見合った昇給をするなど、他社の引き抜きに対抗しなければなりません。
ガルベラ・パートナーズグループにはIT部門があり、そこでは約80名のベトナム人のIT人材が就業しています。ベトナム人のIT人材の特性を十分に理解し、ベトナム人マネージャーによるコミュニケーションを重視し、定着をはかっています。
ベトナム人のIT人材を雇用するのであれば、「ラボ型開発」と「GEOサービス(雇用代行)」のどちらがいいか?という点については、コストの面では明らかにGEOに軍配が上がります。
(雇用代行の内容についてはこちらをご覧ください)
ただし、即戦力によるチーム開発などを目的とするのであれば、GEOサービスよりもラボ型開発のほうが適していたりもします。
ラボ型開発では、従業員の給料に関係なく、料金はほとんど固定で設定されています。つまり、給料が安い人ほど粗利率が高くなるわけですが、給料が安い人(=経験少ない人)ばかりアサインしても案件を回すことができません。ラボはコストとパフォーマンスを考えながらチームメンバーを構成することになるため、どのような人材で構成されるかによってそのチームの成果は大きく左右されます。
GEOサービスのほうは、その本人の給料に、GEOのサービスフィーが加算されるだけなので、ラボ型開発よりもさらに低いコスト負担で足りるといえます。また、給料が安い人を選ぶか、高い人を選ぶかは、その実質の雇い主の自由なわけですから、その人材からもたらされる成果もだいたいの予測がつきます。
これに対して、ラボ型開発やGEOサービスを採用する企業は、日本人マネージャーをベトナムに赴任する必要はなく、日本から遠隔で指示を出すことができます。
現地で日本人を雇用すると給与に対する税率が日本よりも高くなり、赴任手当や社宅など余分なコストがどんどん生じてしまい、日本での支出額に比べると2倍以上のコスト負担を強いられることなります。
ガルベラ・パートナーズ・ベトナムのGEOサービスでは、月々の雇用代行管理費(詳細はこちらをご覧ください)が生じますが、現地法人に日本人駐在員を派遣することによるコストを考えれば、GEOサービスのほうが相当安くなります。
人数が増えてくると、GEOにおいても雇用代行管理費が高くなりますが、当社のGEOサービスは、人数に応じて割引額が増加する仕組みとなっております。また、GEOサービスにより採用するベトナム人技術者は、あくまでも自社の業務に従事してもらうためにGEOサービス業者の名義を使わせてもらうだけのことですから、いつまでもGEOサービスを受けるのではなく、コストと収益のバランスが取れた段階で現地法人を立ち上げ、そちらに転籍させることができます。
GEOサービスは従業員の給料に、雇用代行管理費が追加されるだけなのに対して、ラボ型の場合は、だいたいその社員に係る人件費その他のコストに対して1.5から2倍の料金が設定されていることが多いです。そして契約にもよりますが、自社が現地法人を立ち上げたとしても、そちらに転籍できないこともあります。
その点、GEOは将来的に完全なる自社の社員にすることを前提に採用していますので、現地法人を設立した際には、そのまま転籍することが容易といえます。
最後に、GEOサービスについて、その仕組みを詳しくご案内させていただきます。
GEOサービス(雇用代行サービス)は、日本における人材派遣業に近い仕組みですが、最大の違いは進出を検討している企業が自ら選定した人材をGEOサービス提供会社を通じて雇用することです。
すなわち、自社の事業を任せるに相応しい人材を自ら主体的に選ぶという点では、現地法人と大きく変わらないと言えるでしょう。「GEOサービス」を選択した場合、煩雑な手続きを必要とせず、駐在員事務所ではできないような事業活動をベトナム現地で行うことが可能になります。
一般的なGEOの仕組みは、以下の3つのステップとなります。
現地のGEOサービス提供会社とサービス契約を締結する | |
GEOサービス提供会社は、進出を検討している企業が指定する「現地責任者」を現地で雇用する | |
その人材がサービス提供会社が提供するサービスの一環として進出企業の事業活動を行う |
別のブログでも詳しくご案内をしていますが、GEOサービス(雇用代行サービス)のメリット・デメリットは、下記のようにまとめられます。
低コストで事業を開始できる | ベトナムで獲得した契約はベトナムの顧客と日本本社間での契約となり、顧客はベトナムから日本へ送金する必要がある |
会社設立費用が必要ない | |
法人設立のような煩雑な手続きが不要 | |
候補者さえいれば1週間で事業開始できる | 法人を設立しているわけではないため現地で売上を立てることができない |
バックオフィス業務は不要 | |
現地に法定代表者を立てる必要がない | 小売や飲食など現地で売上を立てる事業には不向きである |
駐在員を送り込む必要がない | |
将来現地法人を設立して転籍されられる | 許認可が必要なサービスに関しては手間や費用が別途生じる可能性がある |
撤退時もコスト負担は少なくてすむ |
ガルベラ・パートナーズは、ベトナムのハノイとホーチミンに現地法人を2社置き、それぞれにおいて、日本企業のベトナム進出をバックオフィス面(設立、会計、税務、給与計算、ビザなど)でサポートしております。
ただし、IT事業者において、まだ進出については様子を見たいのであれば、今回のケースのようにラボ型開発やGEOサービスを選択するのがベストだと考えます。
GEOサービスのお問い合わせが日に日に増えています。ガルベラ・パートナーズ・ベトナムでは、ベトナム人IT事業者を数多く採用し、自社のシステム開発業務に従事しています。
IT人材を活用するに際しての落とし穴なども十分に理解しておりますので、皆様のお役に立てるものと自負しております。まずはお気軽に当社までお問い合わせください。
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