2019/04/03
香港における会社従業員の個人所得税は「給与所得税(Salaries Tax)」といいます。給与所得税の申告は、毎年4月中に香港の会社がIR56AとIR56Bを申告することから始まります。
4月に入ると香港税務局から雇用主支払報酬申告書(Emplyer’s Return)が届きます。これは、会社が従業員にいくらの給料を支給したのかを税務局に対して明らかにするもので、前者は全員分の合計を記載し、後者は個別の給与合計を記載します。これらの申告については香港法人が支給した給与を記載することになりますので、日本人駐在員が日本側で受け取る給料は記載しません。
なお、新設法人の場合はこの申告書自体が届くのが数カ月遅れる場合がありますが、届いたらすぐに届け出るようにしてください。これらの申告については、申告期限までの提出を怠ると、罰金が課せられるので要注意です。なお、悪質な場合は禁固刑の規定もありますので、ご注意ください。
5月に入ると香港税務局から個人宛に、個人所得税申告書(Tax Return)が届きます。これはBIR60と呼ばれる申告書様式です。個人ごとに、会社から受け取ったIR56Bに基づいて日本と香港の双方における給与や賞与、教育費および会社負担の家賃や税金等を記入して発行から1カ月以内に香港税務局に提出しなければなりません。なお、BIR60は、給与以外に事業収入などがあればそれらも記載することになります。
そして、8月~11月頃に、個人のもとに香港税務局から確定税額通知書(Assesment Demanding Final Tax & Notice for Payment of Provisional Tax)が届きます。
これは、雇用主支払報酬申告書と個人所得税申告書に基づいて香港税務局が給与所得税を計算し、その計算結果に基づいて発行されるものです。
この通知書には、前年実績に基づいて翌年度分の予定納税額も記載されており、特に香港に来たばかりの方は、最初の2年分をまとめて納税することになりますのでご注意ください。なお、前年度分の給与所得税は全額を翌年1月までに納税しなければなりません。予定納税額については、そのうちの75%を同じ1月までに、残り25%を4月までに納税することになりますが、面倒なので一緒に納税する会社が多いです。
なお、日本からの駐在員については、一年中香港にいる場合は日本で支給される給料等についても香港に源泉があるとみなされ、香港で課税される可能性が高いです。そして、会社が社宅として無償貸与や一部負担する場合は、その部分については現物給与扱いになりますが、その賃料総額と、給与総額の10%(ホテルなど一部例外あり)の、いずれか低い金額を給与所得に加算することになります。
最後に、香港の給与所得税の税率(2019年4月現在)を以下に記載します。
給与所得税額は次の(1)と(2)に掲げる金額のうち、いずれか低い方の金額となります。
(1) 人的所得控除(表1)前の給与総額に15%を乗じた金額
(2) 人的所得控除後の課税所得金額に以下に掲げる累進所得税率(表2))を乗じた金額
項目 | 控除金額 | |||
基礎控除(単身) | HK$132,000 | |||
基礎控除(既婚) ※ | HK$264,000 | |||
扶養子女控除 (1人につき) |
誕生年度 | HK$240,000 | ||
翌年度以降 | HK$120,000 | |||
扶養父母・祖父母控除 (1人につき) |
60歳以上 | 同居の場合 | HK$100,000 | |
別居の場合 | HK$50,000 | |||
55歳以上59歳以下 | 同居の場合 | HK$50,000 | ||
別居の場合 | HK$25,000 | |||
扶養兄弟姉妹控(1人につき) | HK$37,500 | |||
障害者控除 | HK$132,000 | |||
寡婦(夫)控除 | HK$75,000 | |||
扶養障碍者控除 | HK$75,000 |
※基礎控除(既婚)については、既婚者の方で、その配偶者に課税所得が発生していないか、またはその配偶者とともに合算申告を選択した場合に当該適用が認められます。
課税所得金額 | 税率 |
HK$50,000まで | 2% |
HK$50,001からHK$100,000まで | 6% |
HK$100,000からHK$150,000まで | 10% |
HK$150,001からHK$200,000まで | 14% |
HK$200,000以上 | 17% |
<お知らせ>
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