2022/09/28
A、日本企業が香港に現地法人や支店を設置して法人口座を開設するのは、2016年以降たいへん難しくなりましたが、ちゃんとエビデンス(証拠資料)を用意すれば、まったく問題ありません。当社は香港に渡航しなくても日本に居ながらにして口座開設ができる方法もご案内しています。
香港は金融都市として発展してきた歴史があり、世界各国の金融の猛者が集まっています。特に、マネーロンダリング(資金洗浄)を企み、香港法人を使って資金飛ばしをする者も中にはいると思われます。2015年頃までは、こういった不正を働く者を取り締まる風潮がなかったのですが、この頃から米国の圧力が強まり、香港の銀行は隈なくマネーロンダリング対策に取り組むことになりました。
その結果、銀行は新たに口座開設をする際には、事前に必ずその香港法人の株主を審査するようになりました。審査内容は以下のような項目です。
これらの項目の最初にある「株主の詳細」を求められるようになりました。もし、日本法人が香港法人を設立するのであれば、その日本法人の株主も審査対象になりますが、日本法人は株主を公式に証明する手段を持ちません。すなわち、公的な証明書である「商業登記簿謄本」には株主の記載がありません。また、定款に記載しているのは法人設立時の発起人のみであり、現在の株主と同一とは限りません。
このような理由から、日本法人はその株主が誰であるかを公式に証明する手段がなく、これが香港に限らず、海外で日本法人の持ち主を証明できない点で問題になっています。そのため、法人が株主になることはほぼ難しいと言えます。
上記1で述べたように、日本法人が香港法人を設立し、口座開設をするというのが難しいということを理解いただいたかと思います。ただし、絶対に無理なのかというとそんなことはありません。日本側でメガバンクや地銀の大手から融資を受けている立場にあり、日々銀行との付き合いがあるという企業であれば、その信用を担保に、それらの銀行の香港支店、またはそれらの銀行が提携している香港の銀行で口座開設が可能です。
ただし、この口座開設が可能かどうかは、必ず事前に確認をしてください。事前に確認と言っても、日ごろお付き合いがある銀行の担当者に尋ねても、その本人はほぼわからないと思いますので、いったん支店(または本店営業部など)に持ち帰って確認をしてもらうことになります。このときにも、付き合いの深さによりOKかNGかが分かれたりします。そもそも、口座開設は日本側で行うわけではありませんので、香港側に伝える必要があります。その流れが内部できちんと整っていればいいのですが、若手の担当者レベルではご存知なかったりしますので、その際は「支店長に聞いてみて」など一言添えるといいかもしれません。
このように、日本側で長年大手銀行と取引をしている場合は、その伝手で香港法人の口座を開設できる可能性があります。また、この場合にわざわざ香港に赴かなければならないかどうかは、これもまた取引の濃さが関連しているようです。
上記2のように、日本本社で大手銀行と融資関係にない場合は、香港の銀行へつながることはないと考えますので、その場合は自ら香港で口座開設ができる香港地場の銀行を探すしかありません。
香港で有名なのは、香港上海銀行(HSBC)、ハンセン銀行、中国銀行、オーバーシー・チャイニーズ銀行(OCSC)、DBC銀行などです。ちなみにスタンダードチャータード銀行も有名ですが、この銀行は日本のメガバンクの香港支店と同様に、本国からの紹介が必要なので開設が難しいという印象があります。
上記の銀行はすべて、当社も口座開設の実績があり、特に高いのは香港上海銀行(HSBC)とハンセン銀行です。香港では口座開設をするためには、まず情報を伝えて審査してもらう必要があります。当社はこれら地場の銀行のマネージャーレベルとつながっているため、書類さえ整えば、数日で予約が取れます。ただし、これらの銀行は日本の法人が株主の場合は上記2の理由で難しくなるため、個人株主であることが前提となります。
ただし、一点重要なポイントがあるのですが、これらの銀行での口座開設は、原則として現地に赴かなければなりません。現在、渡航が難しいこともあり、この渡航するという点でハードルが高くなっています。また、香港上海銀行(HSBC)は通訳が同席できず、英語での対応を求められるのも、ハードルが高い要素となっています。
香港法人の口座開設が難しいと言われるのは上記1~3に掲げる理由によるものでした。ただし近年、新型コロナが流行して香港に赴けない人々も大勢いることから、新たに遠隔操舵での口座開設が可能となってきました。なお、信用が担保できない企業様の場合、銀行側は預金を求めてくる可能性があります。その額は100万香港ドル(約1,500万円)くらいになることもあります。
ただし、なぜ今まで現地に赴かなければ口座開設ができなかったかというと、やはり信用するに値する企業・人物なのか、という部分の確認の目的が大きかったのではと考えます。当社が遠隔操作による香港法人の口座開設をサポートするにしても、やはり信用に重きを置き、マネーロンダリングを行うリスクがあると感じたらお断りしています。
まず、香港法人の口座開設について、当社香港法人のwebサイト(https://hongkong-support.com)から、無料相談のお申込みをいただきます。その際にも、「マネーロンダリングを目的としたものではない」という点についてご了承をいただいたうえでお申込みをいただくことになります。また、投資やFXを目的として香港法人を設立し、口座開設を行うというのも難しいです。この点についてもご了承をいただいたうえでということになります。
法人が設立されていることが大前提ですが、そのあと日本側でご用意いただく書類がそろえば、2週間もかからず口座開設が可能です。香港法人の設立は最短でも1週間ほどかかりますので、香港法人の設立と並行して書類をご準備いただくことで、さらに短縮化することも可能です。(通常は設立から口座開設まで2ヶ月ほど見ていただくほうがいいです。)
遠隔による法人口座の開設は、面談はありません。事前にパスポートと本人の認証が必要になります。その際に、携帯番号をSNS送信することにより認証していただくことも必要です。ご本人に行っていただくことはこれだけです。
ただし、当社と新たな取引となる場合は、信用を担保していただく必要がありますので、当社の香港法人が秘書役に就任するとともに、当社会計士が会計税務や法定監査の対応をさせていただくことを前提としていますのでご了承ください。
口座を開設できたとしても、香港の銀行とのやりとりは英語か中国語です。送金や残高確認などはすべてネットバンキングで可能ですが、すべて英語表記ですので、これについては当社が日本語版のマニュアルをご用意しており、以下のような点は問題なく操作が可能です。
当社がお勧めしているネット銀行は、香港法人の法定監査の際のBank Confirmationにも対応していますので安心です。また、当社はなるべく日本語のカスタマーサービスがある銀行を選び、ご案内しています。
ただし、どんな業種でも開設できるかというとそうでもなく、やはり開設しやすい、開設しにくい、というのはあります。開設しやすい業種は、貿易業、IT業、小売業、コンサル業などです。開設しにくい業種は、金融業など許認可を要する事業です。特に、FXや投資のみを行う企業は難しいと言えます。
口座開設に際して必要となる情報は、以下のような書類です。香港の公的な資料以外は、英語でなければなりません。英語翻訳は原則お客様自身でご用意いただくのですが、日本で依頼するよりも香港のほうが安い場合も多いので、その際はお見積りを取らさせていただきます。
香港法人の銀行口座の開設をサポートしています。お困りの方は、当社webサイトを通じて、ぜひお問い合わせください。
■ガルベラ・パートナーズグループについて■
私どもガルベラ・パートナーズグループは、税理士・公認会計士・社会保険労務士・行政書士によるワンストップサービスを行うコンサルティングファームです。
国内は東京・大阪・福岡の3都市に事務所を置き、また海外はアジアを中心に11の現地法人が各国、各都市への進出を設立・税務・労務・法務の面でサポートしております。
海外進出のサポートのなかでも、特に香港と中国は長く、香港に進出を検討される際はぜひ当社へお声がけいただければと存じます。特に、当社は日本にも拠点がありますので、日本と海外との間で、合法的なタックスメリットが享受できるサポート体制をお約束します。
また、香港での法人設立や口座開設、会計、税務、労務についての情報収集には、下記の弊社サイトをご活用ください。香港進出について、皆様からのお問い合わせを心待ちにしております。本稿をご覧いただきましてありがとうございました。
ガルベラ・パートナーズの香港進出サポート
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