GERBERA PARTNERSブログ

インド|インドに設立した子会社の資金調達を日本の親会社からする場合

2022/07/06

Q、インド側子会社は、日本側親会社からどのような方法で資金調達を行ったらよいでしょうか。

A、インド側子会社は、日本側親会社やグループ会社から、株式等発行(普通株或いは普通株に転換可能な証券などの非債務証券の発行)、もしくは借入融資により資金調達することが可能です。

 

解説(公開日:2022/07/06  最終更新日:2023/08/17 )

 

インドは、人口ボーナスの恩恵もあり急速に経済が成長しており、世界中の投資家から魅力的な市場・投資先として注目されています。技術の進歩や需要の増加など様々な要因により、更に多くの新たなチャンスも生まれています。インドでチャンスを逃さずにビジネスを発展させていくうえでも、現地法人の安定した資金調達も重要なポイントのひとつです。インド国内の銀行から借入れを行うことも可能ですが、金利が非常に高くなってしまうこともあり、日系企業は本国の親会社からインドの子会社に資金を注入するのが一般的です。

株式等発行か借入融資か。この選択は、その後の企業運営に長期間にわたる影響を与えるものですので、慎重に検討する必要があります。企業の運営方針、資金調達の目的などは、各企業ごとにそれぞれ異なりますので、一概には言えませんが、方針や目的をしっかりと確認の上、株式等発行と借入融資を適切に組み合わせて行うことが望ましいでしょう。資金調達方法を検討するにあたり、まず考えるべきは「本国への資金送還をどのように想定するのか」「税制上のメリット・デメリット」、この二点です。

株式等発行による資金調達は外国直接投資(FDI)規制に則って行います。FDIの規定に則ったものであれば事前の申請は必要なく、資金調達後の手続きのみ必要となります。株式等発行により調達した資金には、強制的転換条件付社債など一部の例外を除き、固定金利の支払いは生じません。配当の分配または株式買戻しという形で還元することも可能ではありますが、基本的には資金の本国送還を前提とはしていません。

 

一方、借入融資は資金の本国送還を前提としています。借入融資による資金調達を行う場合は、事前に借入登録番号を取得するなどの手続きが必要ではあるものの、株式等発行による資金調達よりも柔軟に資金の本国送還ができます。例えば、事業の最初の数年間の収益が高いと予想される場合や、資金が特定のプロジェクトや目的にのみ必要とされる場合などでは、借入融資が好まれやすいです。

借入は、外国の株主もしくは金融機関から受けることができます。外国の株主とは「借入企業に直接的に25%以上の株式を保有する国外株主」または「借入企業に間接的に51%以上の株式を保有する国外株主」並びに「海外に共通の親会社を有するグループ会社」と定義されています。また、借入融資による資金調達での総コストは下記のとおり制限されています。

 

【ルピー建て借入】

4.5%+インド政府発行の同等の償還期間の有価証券の一般的な金利

 

【外貨建て借入】

5%+一般的な銀行間の適用金利、または6か月の基準金利

 

なお、外国の株主から外貨建で借入する場合、その金額は借入企業の資本金の7倍を超えてはならないと規定されています。また、運転資金、一般事業、または既存のルピー建借入の返済目的で外国の株主から調達した債務については、最短平均償還期間(Minimum Average Maturity Period – MAMP)は5年(3年、7年、10年となる場合も有ります)、製造業の場合1年と規定されています。借入を検討する際には、過⼤な借⼊、利子支払による租税回避防止を目的とした過小資本税制(Thin Capitalization Rules)にも留意します。

株式等発行により資金調達した場合、株主への配当支払いは課税所得の費用控除の対象にはなりませんが、借入融資の場合、借主であるインド側子会社は利子の支払額を費用として控除し、納税額を軽減することができます。借入融資は、節税の観点から魅力的な選択しですが、仮に、借主であるインド企業に利益が上がらず、貸主に利子・配当金を支払わない場合、税額負担が増える可能性があるので注意が必要です。課税対象期間に発生した利子については発生主義に基づき計上し、源泉徴収・納税する必要がありますが、利子を支払わなかった場合、課税年度の計算上その利子の費用控除は認められません。そのため、一定の期間、納税額が増加してしまう恐れがあるのです。

 

貸主である日本側親会社にとっては、受け取った配当・利子いずれもインド・日本での課税対象となります。貸主は日本国内の所轄税務署で取得した居住者証明書を借主に提供し、借主は支払う配当・利子に対し10%を源泉徴収します。インドで源泉徴収された税金分は、日本での納税の際に税額控除を受けることができます。なお、2023年7月1日以前に行った借入の利子に関しては、10%ではなく5%の軽減税率が適用できます。

   

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