GERBERA PARTNERSブログ

助成金・補助金・給付金|キャリアアップ助成金の改正について

2021/11/17

Q、『キャリアアップ助成金(正員化コース)』の申請を考えています。令和3年4月以降に法改正があったと聞きました。何が変わったのでしょうか?

A、令和3年4月1日より『キャリアアップ助成金(正社員化コース)』の支給要件と加算措置に変更がありました。変更事項と申請時の留意点について、以下の解説欄にまとめましたのでご覧ください。

 

解説(公開日:2021/11/17  最終更新日:2022/04/11 )

 

■キャリアアップ助成金の変更点について(2021年11月15日現在)

(1)正規雇用等へ転換した際、転換等前の6か月と転換後の6か月の賃金を比較して5%以上の増加から3%以上の増加に変更となりました。

ただし、基本給および定額で支給されている諸手当を含む賃金の総額であり、賞与は含めないことになりました。

 

(2)加算措置のうち、若者雇用促進法に基づく認定事業主が35歳未満の者を転換した場合の加算は廃止されました。

 

 

(3)賞与を含めなくなりましたが、賃金増加額が5%から3%に変更されていますので、毎年の平均賃金改定が3%程度のことを考えますと、その他の要件も考慮のうえ、申請されることをお勧めします。

 

■キャリアアップ助成金の概要を以下に解説します。

キャリアアップ助成金(正社員化コース)とは、有期契約労働者、パート・アルバイト、派遣労働者等の非正規労働者を正社員または無期雇用労働者に転換することで受給できる助成金です。

 

■支給額(1人当たり)

中小企業
大企業
<a> 有期 → 正規
57万円<72万円>
42万7,500円<54万円>
<b> 有期 → 無期
28万5,000円<36万円>
21万3,750円<27万円>
<c> 無期 → 正規
28万5,000円<36万円>
21万3,750円<27万円>

なお、上記<a>~<c>を合わせて、1年度1事業所当たりの支給申請上限人数は20人までです。

※<>内は、生産性の向上が認められる場合

 

■各種加算措置(1人当たり)

(1)派遣労働者を派遣先で正規雇用労働者として直接雇用した場合

<a><c>中小企業:28万5,000円<36万円> 大企業:28万5,000円<36万円>

 

(2)母子家庭の母等または父子家庭の父を転換等した場合

<a>中小企業:95,000円<12万円> 大企業:95,000円<12万円>

<b><c>中小企業:47,500円<60,000円> 大企業:47,500円<60,000円>

 

3)勤務地・職務限定・短時間正社員制度を新たに規定し、有期雇用労働者等を当該雇用区分に転換または直接雇用した場合<1事業所当たり1回のみ>

<a><c>中小企業:95,000円<12万円> 大企業:71,250円<90,000円>

 

以下、厚生労働省のホームページの引用に一部注釈をつけてご案内します。

 

■対象となる労働者

次の(1)から(9)までのすべてに該当する労働者が対象です。

(1) 次の(a)から(e)までのいずれかに該当する労働者であることが必要です。

  1. (a) 支給対象事業主に雇用される期間が通算して6か月以上の有期雇用労働者
  2. (b) 支給対象事業主に無期雇用労働者として雇用される期間が6か月以上の無期雇用労働者
  3. (c) 同一の業務に6か月以上の期間継続して派遣先の事業所その他派遣就業場所ごとの同一の業務に従事している有期派遣労働者または無期派遣労働者
  4. (d) 支給対象事業主が実施した有期実習型訓練(人材開発支援助成金(特別育成訓練コース)によるものに限る。)を受講し、修了した有期雇用労働者等
  5. (e)令和2年1月24日以降に新型コロナウイルス感染症の影響により離職し、就労経験のない職業に就くことを希望する者であって、紹介予定派遣により2か月以上6か月未満の期間継続して派遣先の事業所その他派遣就業場所ごとの同一の業務に従事している有期派遣労働者または無期派遣労働者
 

(2)正規雇用労働者等として雇用することを約して雇い入れられた有期雇用労働者等でないこと。

※採用の時に正社員または無期雇用の約束をしている場合は対象外です。

 

(3) 次の(a)または(b)のいずれかに該当する労働者等でないこと。

  1. (a)有期雇用労働者等から正規雇用労働者に転換または直接雇用される場合、当該転換日または直接雇用日の前日から過去3年以内に、当該事業主およびその事業主と密接な関係の事業主において正規雇用労働者として雇用されたことがある労働者
  2. (b)無期雇用労働者に転換または直接雇用される場合、当該転換日または直接雇用日の前日から過去3年以内に、当該事業主およびその事業主と密接な関係の事業主において正規雇用労働者もしくは無期雇用労働者として雇用されたことがある労働者
  3. ※過去3年以内に正社員や無期雇用労働者として雇用されていた労働者は対象外です。
 

(4) 転換または直接雇用を行った適用事業所の事業主または取締役の3親等以内の親族以外の者であること

※事業主や役員の親族(3親等以内)は対象外です。

 

(5) 障害者の日常生活および社会生活を総合的に支援するための法律施行規則に規定する就労継続支援A型の事業所における利用者以外の者であること

 

(6)支給申請日において、転換または直接雇用後の雇用区分の状態が継続し、離職していない者であること

※本人の都合による離職および天災その他やむを得ない理由のために事業の継続が困難となったことまたは本人の責めに帰すべき理由による解雇を除きます。

※事業主の都合で解雇すると助成金対象外になってしまいます。

 

(7)支給申請日において、正規雇用労働者については有期雇用労働者、または無期雇用労働者、無期雇用労働者については有期雇用労働者への転換が予定されていない者であること

 

(8)転換または直接雇用後の雇用形態に定年制が適用される場合、転換または直接雇用日から定年年齢に達する日までの期間が1年以上である者であること

 

(9)支給対象事業主または密接な関係の事業主の事業所において定年を迎えた者でないこと

 

■対象となる事業主

(1) 有期雇用労働者を正規雇用労働者、または無期雇用労働者に転換する場合、および無期雇用労働者を正規雇用労働者に転換する場合

次の(a)から(n)までのすべてに該当する事業主が対象です。

  1. (a)有期雇用労働者等を正規雇用労働者または無期雇用労働者に転換する制度を労働協約または就業規則その他これに準ずるものに規定している事業主であること
     ※正規転換等の制度を就業規則に定めて、労働基準監督署へ届出が必要です。
  2. (b)上記(1)の制度の規定に基づき、雇用する有期雇用労働者を正規雇用労働者もしくは無期雇用労働 者に転換、または無期雇用労働者を正規雇用労働者に転換した事業主であること
  3. (c)上記(2)により転換された労働者を、転換後6か月以上の期間継続して雇用し、当該労働者に対して転換後6か月分の賃金を支給した事業主であること
  4. (d)多様な正社員への転換の場合にあっては、上記(1)の制度の規定に基づき転換した日において、対象労働者以外に正規雇用労働者(多様な正社員を除く。)を雇用していた事業主であること。
     ※転換日に正社員がいなければなりません。
  5. (e)支給申請日において当該制度を継続して運用している事業主であること
  6. (f)転換後6か月間の賃金を、転換前6か月間の賃金より3%以上増額させている事業主であること
     ※基本給及び定額で支給される諸手当を含む賃金の総額(賞与を除く)
  7. (g)当該転換日の前日から起算して6か月前の日から1年を経過する日までの間に、当該転換を行った適用事業所において、雇用保険被保険者を解雇等事業主の都合により離職させた事業主以外の者であること
  8. (h)当該転換日の前日から起算して6か月前の日から1年を経過する日までの間に、当該転換を行った適用事業所において、雇用保険法第23条第1項に規定する特定受給資格者(以下「特定受給資格者」と いう)となる離職理由のうち離職区分1Aまたは3Aに区分される離職理由により離職した者(以下「特定 受給資格離職者」という)として同法第13条に規定する受給資格の決定が行われたものの数を、当該事業所における当該転換を行った日における雇用保険被保険者数で除した割合が6%を超えている事業主以外の者であること。
  9. (i)上記(a)の制度を含め、雇用する労働者を他の雇用形態に転換する制度がある場合にあっては、その対象となる労働者本人の同意に基づく制度として運用している事業主であること
  10. (j)正規雇用労働者または無期雇用労働者に転換した日以降の期間について、当該者を雇用保険被保険者として適用させている事業主であること
     ※転換日において雇用保険の被保険者であることが必要です。
  11. (k)正規雇用労働者または無期雇用労働者に転換した日以降の期間について、当該者が社会保険の適用要件を満たす事業所の事業主に雇用されている場合、社会保険の被保険者として適用させている(無期雇用労働者の場合、労働条件が社会保険の適用要件を満たすときに限る。)または社会保険の適用要件を満たさない事業所の事業主(任意適用事業所の事業主、個人事業主)が正規雇用労働者に転換させた場合、社会保険の適用要件を満たす労働条件で雇用している事業主であること
     ※法人は社会保険に強制加入です。
  12. (l)母子家庭の母等または父子家庭の父の転換に係る支給額の適用を受ける場合にあっては、当該転換日において母子家庭の母等または父子家庭の父の有期雇用労働者等を転換した者であること
  13. (m)勤務地限定正社員制度、職務限定正社員制度または短時間正社員制度に係る加算の適用を受ける場合にあっては、キャリアアップ計画書に記載されたキャリアアップ期間中に、勤務地限定正社員制度、職務限定正社員制度または短時間正社員制度を新たに規定し、有期雇用労働者等を当該雇用区分に転換した事業主であること
  14. (n)生産性要件を満たした場合の支給額の適用を受ける場合にあっては、当該生産性要件を満たした事業主であること
 

(2) 派遣労働者を正規雇用労働者、または無期雇用労働者として直接雇用する場合

別途、要件がございます。重複する部分もございますので詳しくは[雇用・労働 キャリアアップ助成金(厚生労働省) ]を参照して下さい。

 

■キャリアアップ助成金を活用できる事業主

  1. ・雇入れを考えている事業主
  2. ・有期契約労働者やパート等を正社員に転換することを考えている事業主
  3. ・派遣労働者を直接雇用しようと考えている事業主
  4. ・多様な正社員(勤務地限定・職務限定・短時間正社員)への転換する制度を新たに導入することを考えている事業主
  5. ・有期契約労働者を無期雇用労働者に転換することを考えている事業主
 

■キャリアアップ助成金の活用事例

  1. ・定期採用を行っている製造業や飲食業など
  2. ・パートから正社員へ転換させることが多いサービス業など
  3. ・いきなり正社員というのを躊躇している場合
 

■キャリアアップ助成金申請に関する注意事項

  1. ・事前にキャリアアップ計画書を労働基準監督署に届け出ること
     → キャリアアップ計画書が認定されてから正社員等への転換が必要です。
  2. ・就業規則に正社員転換規定を追加し、労働基準監督署へ届け出ること
     → 就業規則に不備がないように届け出ないと助成金は不支給となります。
  3. ・就業規則に規定した通りの条件で、試験や面接を行い、正社員等へ転換すること
     → 従業員本人の同意に基づき、正社員等転換手続きを運用していることが必要です。
  4. ・賃金台帳・出勤簿・労働条件通知書を完備していること
     → キャリアアップ助成金の申請時に添付する必要があります。
  5. ・残業代の不払い、労働保険料や社会保険料の未納等がないこと
     → キャリアアップ助成金申請の審査過程で違反が判明すると不支給になります。
  6. ・正社員等転換時に基本給を3%アップすること
     → 賞与は含まれません。
 

■申請の流れ

(1)キャリアアップ助成金計画の作成・提出

→キャリアアップ管理者の設置する。(事業主、法人役員、所属長等)

 

(2)就業規則、労働協約その他これに準ずるものに転換制度を規定

→正社員等への転換について、対象期間、対象労働者、時期、試験等を就業規則に規定して労働基準監督署へ届出

 

(3)転換・直接雇用に際し、就業規則等の転換制度に規定した試験等を実施

→就業規則に従い、試験を行い、正社員等としての労働条件通知書を交付

 

(4)正規雇用等への転換・直接雇用の実施※

→6か月雇用を継続

 

(5)転換・直接雇用後6か月分の賃金を支給・支給申請※

→助成金センターまたはハローワークへ提出

 

(6)審査、支給決定

→審査時に不備があれば、補正の連絡があります。対応後、再審査のうえ支給決定されます。

 

※(4)では賃金の3%以上の増額が必要です。

※(5)は6か月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内の支給申請が必要です。

 

助成金サポートのご案内

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