GERBERA PARTNERSブログ

助成金・補助金・給付金|キャリアアップ助成金10月からの変更点

2022/10/17

Q、キャリアアップ助成金(正社員化コース)の支給要件が10月から変わりましたか?  

A、制度自体は4月から変更になっていますが、10月以降に転換または直接雇用を実施する場合に、正規雇用の定義が厳格になり支給要件も変更となっています。あわせて、人材開発支援助成金についても一部変更になっています。 

 

解説(公開日:2022/10/17  最終更新日:2022/11/18 )

 

キャリアアップ助成金(正社員化コース)が、令和4年4月からは、有期雇用→無期雇用への転換コースが廃止され、加えて同年10月からは、正規雇用の定義が厳格化される等、以下の変更点があります。

  1. (1)転換後は「賞与または退職金の制度」かつ「昇給」のある正規雇用労働者、と新たに定義づけされていて、賞与制度や昇給制度が明文化されていない事業者が正規雇用労働者に転換しても助成金の対象外になる恐れが出てきております。
  2. (2)転換前の有期労働者についても、「正規雇用労働者と異なる雇用区分の就業規則等」が適用されている非正規雇用労働者、と限定されており、有期雇用労働者を対象にした就業規則等を持たない事業者は助成金の対象外になる恐れがあります(適用される就業規則等がない場合は、転換前の雇用形態は無期雇用労働者として取り扱われるようです)。
 

キャリアアップ助成金の概要を以下に解説します。

キャリアアップ助成金(正社員化コース)とは、有期契約労働者、パート・アルバイト、派遣労働者等の非正規労働者を正社員または無期雇用労働者に転換することで受給できる助成金です。

 

支給額(1人当たり)

中小企業
大企業
<a>有期 → 正規
57万円<72万円>
42万7,500円<54万円>
<b>無期 → 正規
28万5,000円<36万円>
21万3,750円<27万円>

なお上記<a><b>を合わせて、1年度1事業所当たりの支給申請上限人数は20人までです。

多様な正社員(勤務地限定・職種限定・短時間正社員)へ転換した場合は正規雇用への転換したものとみなされます

※<>内は、生産性の向上が認められる場合

 

各種加算措置(1人当たり)

(1)派遣労働者を派遣先で正規雇用労働者として直接雇用した場合

中小企業:28万5,000円<36万円>

 

(2)母子家庭の母等または父子家庭の父を転換等した場合

<a>中小企業:95,000円<12万円> 大企業:95,000円<12万円>

<b>中小企業:47,500円<60,000円> 大企業:47,500円<60,000円>

 

(3)勤務地・職務限定・短時間正社員制度を新たに規定し、有期雇用労働者等を当該雇用区分に転換または直接雇用した場合<1事業所当たり1回のみ>

<a><b>中小企業:95,000円<12万円> 大企業:71,250円<90,000円>

 

人材開発支援助成金の特定の訓練を修了した後に正規雇用労働者に転換すると助成金額が加算されます。以下、厚生労働省の資料を引用しながらご案内いたします。

 

人材開発支援助成金とは、事業主等が雇用する労働者に対して、事前に作成した計画に沿って職務に関連した訓練を実施する場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度です。

 

対象の訓練は以下のとおりです。

①「特別育成訓練コース」の一般職業訓練または有期実習型訓練

一般職業訓練とは、Off-JTであって、次の(1)から(4)のすべてに該当する職業訓練のことです。

  1. (1)1コース当たり1年以内の実施期間であること
  2. (2)1コース当たり20時間以上の訓練時間数であること
  3. (3)通信制のみの職業訓練の場合、一般教育訓練・特定一般教育訓練の指定講座であること
  4. (4)次の1~3のいずれかに該当する訓練であること
 

1 訓練実施事業主以外が設置する施設に依頼して行われる訓練(講師の派遣も含む)であり次の(ア)から(エ)に掲げる施設に委託して行う事業外訓練または(オ)の事業内訓練

  1. (ア)公共職業能力開発施設、職業能力開発総合大学校、職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)第15条の7第1項ただし書に規定する職業訓練を行う施設
  2. (イ)各種学校等[学校教育法(昭和22年法律第26号)第124条の専修学校もしくは同法第134条の各種学校、またはこれと同程度の水準の教育訓練を行うことができるものをいう]
  3. (ウ)その他(ア・イ以外)職業に関する知識、技能もしくは技術を習得させ、または向上させることを目 的とする教育訓練を行う団体の設置する施設
  4. (エ)その他(ア~ウ以外)助成金の支給を受けようとする事業主以外の事業主、または事業主団体の設置する施設
  5. (オ)外部講師の活用や社外の場所で行われる訓練で、事業主が企画し主催したもの

2 都道府県知事から認定を受けた認定職業訓練(職業能力開発促進法第24条に規定する認定職業訓練をいう)

3 1及び2以外の事業内訓練であって、専修学校専門課程教員、職業訓練指導員免許取得者もしくは 1級の技能検定に合格した者またはこれらと同等以上の能力

 

② 有期実習型訓練とは、

正社員経験が少ない有期契約労働者等を対象に、正規雇用労働者等への転換を目指す

上記「一般職業訓練」(4)に規定するOff-JTと適格な指導者の指導の下で行うOJTを組み合わせて実施する職業訓練(管轄労働局長が訓練基準に適合する旨の確認を行った職業訓練)

【主な訓練基準】

(訓練基準に適合する訓練カリキュラムを作成する必要があります。)

  1. • 企業でのOJTと教育訓練機関などで行われるOff-JTを効果的に組み合わせて実施する訓練であること
  2. • 実施期間が3か月以上6か月以下であること
  3. • 総訓練時間が6か月当たりの時間数に換算して425時間以上であること
  4. • 総訓練時間に占めるOJTの割合が1割以上9割以下であること
  5. • 訓練修了後にジョブ・カード様式3-3-1-1-:企業実習・OJT用により職業能力の評価を実施すること
 

「人への投資促進コース」(※)のうち以下の訓練

  1. ・定額制訓練
  2. ・自発的職業能力開発訓練
  3. ・高度デジタル人材訓練/成長分野等人材訓練
  4. ・長期教育訓練休暇制度(と教育訓練短時間制度)を活用し、労働者が自発的に取り組んだ訓練「特定訓練コース」の労働生産性向上訓練のうち、IT技術の知識・技能を習得するための訓練(ITSSレベル2)
 

※ 人材開発支援助成金のなかで、令和4~6年度の期間限定の助成として「人への投資促進コース」が創設され、「定額制訓練」「高度デジタル人材訓練/成長分野等人材訓練」「情報技術分野認定 実習併用職業訓練」「自発的職業能力開発訓練」「長期教育訓練休暇等制度」が助成対象として設けられました。

 

申請の流れ

(1)キャリアアップ助成金計画の作成・提出

→キャリアアップ管理者の設置する。(事業主、法人役員、所属長等)

 

(2)就業規則、労働協約その他これに準ずるものに転換制度を規定

→正社員等への転換について、対象期間、対象労働者、時期、試験等を就業規則に規定して労働基準監督署へ届出

 

(3)転換・直接雇用に際し、就業規則等の転換制度に規定した試験等を実施

→就業規則に従い、試験を行い、正社員等としての労働条件通知書を交付

 

(4)正規雇用等への転換・直接雇用の実施※

→6か月雇用を継続

 

(5)転換・直接雇用後6か月分の賃金を支給・支給申請※

→助成金センターまたはハローワークへ提出

 

(6)審査、支給決定

→審査時に不備があれば、補正の連絡があります。対応後、再審査のうえ支給決定されます。

 

※(4)では賃金の3%以上の増額(賞与は含まれません)が必要です。

※(5)は6か月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内の支給申請が必要です。

 

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助成金関連の内容は、以下リンク先をご参照ください。

助成金・補助金の基礎知識(ガルベラの助成金活用サイト)

   
 

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