GERBERA PARTNERSブログ

機関設計|監査等委員会設置会社と監査役会設置会社との違いについて

2020/12/09

Q、当社は2年後に上場を目指して、現在上場準備に取り組んでいます。上場準備のサポートをしてくれている証券会社から「監査等委員会設置会社」に変更するのはどうかと提案を受けたのですが、従来の監査役会設置会社とどう違うのでしょうか?

 

A、監査等委員会設置会社は、2015年5月の会社法改正により導入された制度で、監査役会設置会社との大きな違いは、監査役を任命する必要がなく、その代わりに過半数の社外取締役を含む取締役3名以上で構成される監査等委員会が、取締役の職務執行に関する監査を担当します。上場会社や上場準備会社などで採用されることが多く、柔軟性に富んだ機関設計の一つといえます。以下に詳しく解説させていただきます。

 

解説(公開日:2020/12/09 最終更新日:2021/01/21)

     

1.監査等委員会設置会社制度が設けられるにいたった経緯

株式会社の取締役の職務執行に関する監査制度は、以下のような変遷をたどり、監査等委員会設置会社制度の導入にいたりました。

 

(1)従来の監査役会設置会社

監査役とは、株主総会で選任される会社法上の役員のひとつで、会社経営の業務監査および会計監査を行い、違法または著しく不当な職務執行行為の有無を調査し、もしそういった行為があればこれを阻止・是正する責務を負います。また、会社と取締役の間での訴訟においては取締役に代わって会社を代表する役目も負います。

監査役会とは半数以上の社外監査役を含む3名以上の監査役で構成される組織で、1人以上の常勤監査役を置かなければならないとされています。

会社法上、株式会社には必ずしも監査役会を設置する必要はありませんが、大会社である公開会社は、下記(2)(3)を除いて、監査役会を設置しなければなりません。

また、設置義務がない場合でも、会社が定款で定めることにより、任意に監査役会を設置することができます。

 

(2)従来の委員会設置会社

2003年に委員会設置会社(現在の指名委員会等設置会社)制度が導入されました。その目的は迅速な意思決定と業務執行を目指すものであり、主に業務執行役と取締役会の分離にありましたが、この制度では三つの委員会のそれぞれが過半数の社外取締役で構成されなければならず、三つの委員会の全てを兼任させることは法律的には可能ではあったものの、実務的には兼任は難しく、結局は多数の社外取締役が必要とされたことから、日本では普及が進みませんでした。

 

(3)新たな監査等委員会設置会社

上記の三委員会は残念ながら日本では普及しなかったものの、社外取締役の活用によるコーポレート・ガバナンスの強化は時代の要請であり、2014年の会社法改正により、監査等委員会設置会社制度が導入されました。また、この制度創設に伴い、従来の委員会設置会社は、指名委員会等設置会社に改名されました。

 

2.監査等委員会設置会社と監査役会設置会社の違い

監査等委員設置会社
監査役会設置会社
監査人の立場
取締役
監査役
監査人の任期
2年
4年
社外取締役
2名以上設置必要
設置は任意
監査役
設置不可
取締役会を設置したら必要
監査等設置委員会
取締役会の中に設置
設置不可
会計監査人
設置必要
設置は任意(大会社は必須)

監査等委員会設置会社では、取締役会の中に監査等委員会を設置しなければならず、監査等委員会の構成員は取締役3名以上であり、これらの者が監査等委員となる。なお、これら監査等委員のうち、過半数は社外取締役でなければなりません。

 

3.社外取締役

社外取締役に求められる責務は、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与することです。

有価証券報告書提出会社ではそのような資質を十分に備えた社外取締役を少なくとも2名以上選任すべきとされていますが、もし社外取締役を設置しない場合は、会社法上、その設置していない理由を定時株主総会で説明する義務を負います。

監査役会設置会社においては従来より社外監査役を最低2名設置しなければなりませんが、監査等委員会設置会社へ移行するにあたって、社外監査役を社外取締役にすることにより、法律の要求を満たすことになり、監査役会設置会社よりも社外役員を少なく抑えることが可能となります。

 

4.監査等委員会の開催

監査等委員会は、監査等委員が原則として開催日の1週間前までに招集することとされていますが、監査等委員の全員が同意すれば、招集通知は不要となります。

また、定款に定めることにより、上記招集期間の1週間を短縮することもできます。

監査等委員会での決議は、特別利害関係者たる監査等委員を除いた監査等委員のうち過半数が出席し、その過半数の賛成により可決されます。

 

5.監査等委員会の職務内容

職務内容
1
取締役・会計参与及び支配人その他の使用人の職務執行の監査及び監査報告の作成。
2
業務及び財産の状況の調査
3
取締役不正の取締役会への報告
4
株主総会提出議案の瑕疵の株主総会への報告
5
株主総会に提出する会計監査人の選任及び解任並びに会計監査人を再任しないことに関する議案の内容の決定
6
監査等委員以外の取締役に関する以下の事項についての、監査等委員会の意見の決定
7
株主総会における取締役選任等についての意見
(監査等委員である取締役については「各監査等委員」が、それ以外の取締役については「監査等委員会が選定する監査等委員」が、それぞれ選任・解任・辞任についての意見陳述権を有する)
8
株主総会における取締役の報酬等についての意見
(監査等委員である取締役については「各監査等委員」が、それ以外の取締役については「監査等委員会が選定する監査等委員」が、それぞれ報酬等についての意見陳述権を有する)
 

6.監査等委員会の権限

権限の内容
1
取締役が株主総会に提出する監査等委員たる取締役の選任に関する議案についての同意権
2
監査等委員たる取締役の選任を株主総会の目的とすること、又はそれに関する議案を株主総会に提出することの請求権
3
会計監査人の解任権
(なお、解任は監査等委員全員の同意が必要です。監査等委員はその旨と解任理由を解任後最初に招集される株主総会に報告しなければなりません。)
4
会計監査人の報酬等に関する同意権
5
監査等委員以外の取締役の利益相反取引の事前承認
6
株主総会決議による取締役の責任の一部免除への同意権
7
定款による「監査等委員以外の取締役」の責任の一部免除への同意権
8
責任限定契約による取締役の責任の一部免除への同意権
 

7.兼任の制限

制限の内容
1
当社又はその子会社の業務執行取締役・支配人その他使用人を兼任できない
2
当社又はその子会社の会計参与を兼任できない
3
当該会社の子会社の執行役を兼任できない
 

8.監査等委員の選任・解任

選任・解任の内容
選任
株主総会による。監査等委員以外の取締役とは区別して選任する
解任
株主総会の特別決議が要求されている
任期
選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで。なお、監査等委員以外の取締役の任期は1年であり、また監査等委員の任期は短縮ができない
 

9.監査等委員の権限

会社は監査等委員の職務執行に必要でないことを証明しない限り、監査等委員からの以下の請求を拒むことはできません。また、株主総会の招集権者の定めがある場合であっても、監査等委員会が選定する監査等委員は取締役会を招集することが可能です。

内容
1
費用の前払の請求
2
支出をした費用及びその支出日以降の利息の償還の請求
3
負担した債務の弁済(担保の提供)の請求

以上、監査等委員会設置会社について解説させていただきました。

 
 

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上場会社や上場準備会社では、社外取締役を選任する必要性から、監査等委員会設置会社の採用がされやすい傾向にあります。

当社では、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社への移行のサポートを行っており、そのメリット・デメリット、定款記載内容の逐条解説、登記の実行について対応させていただいております。

監査等委員会設置会社制度の導入に関するコンサルティング及び登記の実行に関しましては、司法書士法人ガルベラ・パートナーズまでお気軽にお問い合わせください。

 

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