GERBERA PARTNERSブログ

労務管理|整理解雇・希望退職の注意点

2020/11/27

Q、新型コロナウイルスの影響で業績が悪化し、従業員の解雇を考えています。気をつける点を教えて下さい

 

A、業績が悪いという理由のみで従業員をいきなり解雇することは危険です。

「整理解雇の4要件」を満たすかどうかを確認しながら整理解雇を行って下さい。

また、整理解雇の前に希望退職の募集も検討してみて下さい。

 

解説(公開日:2020/11/27 最終更新日:2021/01/21)

 

新型コロナウイルスの影響による業績悪化で、従業員の雇用の継続が難しい企業も多く出てきています。ただし、「業績が悪い=従業員を解雇できる」とはなりません。業績悪化による解雇(以下「整理解雇」といいます)を実施するにあたっての注意点をお伝えします。また、合わせて希望退職を実施するにあたっての注意点もお話致します。

 

1.整理解雇の4要件

従業員を整理解雇するにあたっては、以下の4つの点(よく「整理解雇の4要件」と言われます)に注意する必要があります。この4要件を無視して整理解雇を行い、その解雇された従業員が訴訟などを起こした場合、解雇権の濫用として、整理解雇自体が無効になる可能性があります。

 

(1)経営上の必要性

整理解雇を行うには、従業員の削減が必要なほど経営状況が悪化しているかという点が問われます。昔は倒産危機まで差し迫った状況でないとなかなか認められませんでした。しかしながら最近は、倒産危機まで至らなくても客観的にみて高度の経営危機下にある場合は、経営上の必要性があると認められる傾向にあります。

 

(2)解雇回避努力

整理解雇を防ぐために企業がどれだけの取り組みをしたかという点が問われます。例えば経費の削減、役員報酬の減額、新規採用の停止、昇給、賞与の減額、有期雇用の従業員の雇止め、出向、休業、希望退職の実施などです。整理解雇をめぐって従業員と争いごとになると、この解雇回避努力をどれだけ行ったかが一番重要視される傾向にあります。

 

(3)人選の妥当性

整理解雇をする人の基準が妥当なものであるかという点が問われます。企業は整理解雇をする場合、その対象者を決めますが、企業が整理解雇したい人間だけを選んで行うことはできません。整理解雇を行う対象者の基準が客観的、合理的、また公平なものでなければなりません。具体的には年齢、担当業務、勤続年数、家族構成などを勘案して基準を決めて行う必要があります。

 

(4)手続きの正当性

整理解雇をするにあたって、その対象従業員や労働組合に対してきちんと説明したかという点が問われます。企業は対象の従業員や労働組合などに整理解雇の必要性などについて理解、納得をしてもらうように誠実に説明をする必要があります。

 

2.希望退職

希望退職とは、一定の募集期間を設けて希望者に対し有利な募集条件を用意して、従業員に自発的な退職を促す制度です。希望退職は整理解雇の4要件のひとつ、解雇回避努力の中の一つの方策です。整理解雇とは違い希望退職は従業員との合意退職となりますので、整理解雇するより前に優先して行うことが望まれます。希望退職を実施するにあたってのポイントは以下の通りです。

 

(1)範囲、人数の決定

希望退職の対象者の範囲、人数を決定します。対象者の範囲についてはあまりに絞り込みすぎることはできませんが、担当業務、部署、地域、年齢、家族構成など一定の範囲にすることも可能です。また、希望退職の目標人数についても余剰の人員や経営状況等を勘案して決めていきます。

 

(2)募集条件の決定

希望退職される従業員について、その希望退職の際の優遇条件を決定します。この条件の良さで希望退職に応募する人数が変わることもあります。例えば退職金の上増し、再就職のあっせん。消化できない有給休暇の残日数の買い上げなどが考えられます。この優遇条件についても経営状況などを勘案して、実施可能な条件を決める必要があります。

 

(3)募集期間、受付方法の決定

希望退職を募集する期間やその受付方法を決定します。募集期間については短すぎても長すぎても希望退職がうまくいかない場合があるので、だいたい1~3週間あたりで設定するのが通常です。また、希望退職は目標人数通りの結果になることはほぼありません。よって企業は事前に2つのことを決めて置くことが望まれます。一つは募集期間の途中で定員に達した場合、その後の募集の受付をどうするのかという点。もう一つは逆に定員に達しない場合に二次募集をするかどうかという点です。これら2点を事前に決めておくと希望退職の応募状況に応じて柔軟に対応が可能となります。

 

(4)従業員への説明、面談

上記3点を決めたうえで、従業員に対して希望退職を実施する旨の説明を行います。希望退職の趣旨、希望退職に応じた場合の退職条件、募集期間、受付方法などです。また、応募状況によっては希望退職に応募しても企業が断ることもある旨の説明も必要です。全体説明が終わりましたら従業員個々に面談を行い、希望退職に応募するかどうかなどの聞き取りなどを行っていきます。

 

3.まとめ

整理解雇や希望退職は、企業にとっても従業員にとっても大変大きな出来事です。進め方ひとつ間違えると、争いごとになり、企業側は経営上厳しい時にさらに追加で費用や労力を使うことになりかねません。整理解雇、希望退職ともに事前準備を入念に行い、慎重かつ迅速に進めていきましょう。

 

社会保険労務士法人ガルベラ・パートナーズでは、企業様の労務管理のご相談に実務上の観点からきめ細やかにお答えしております。この整理解雇や希望退職を含め、労務管理でお悩みの場合は、お気軽に下記お問合せフォームよりお申し付け下さい。

       

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