2019/03/01
2019年4月より、会社は、年次有給休暇が10日以上付与される従業員に対し、年5日の年次有給休暇を取得させることが義務となります。管理監督者や有期雇用の従業員であっても、年次有給休暇が10日以上付与される者であれば、年5日取得義務の対象となるので注意が必要です。
会社は、年次有給休暇を付与した日から1年以内に5日の年次有給休暇が取得されるよう、従業員の意見も尊重しながら、時季指定を行う必要があります。会社が時季指定を行うことができ、また、その必要があるのは5日に限られ、従業員が自主的に年次有給休暇を請求・取得した日数や、計画年休で取得される日数については、この5日から控除しなければなりません。つまり、例えば従業員がすでに2日の年次有給休暇を請求・取得しているときは、会社は残り3日についてしか時季指定をすることができませんし、それで会社の義務は果たされるということです。
なお、会社があらかじめ時季指定した年次有給休暇日が来る前に従業員が自ら5日以上の年次有給休暇を取得した場合は、特段の定めがない限り、当初会社が行った時季指定は当然に無効になるものではないので注意する必要があります。
どのような休暇でも年5日取得させれば義務が果たされる、というわけではありません。
半日単位年休については、会社が年次有給休暇の時季指定を行う際、従業員から半日単位年休の希望があったときは、半日単位で取得させた日数を「0.5日」として、年5日のカウントに含めることができます。
しかし、時間単位年休については、会社は時季指定をすることができませんし、たとえ従業員が自ら時間単位年休を取得した場合であっても、これを年5日のカウントに含めることはできません。
また、法定の年次有給休暇とは別に会社が独自に付与している特別休暇についても、その取得日数を年5日のカウントに含めることはできません。しかし、これを理由に特別休暇を廃止するといった対応は、法改正の趣旨に沿わないものであり、望ましくないことです。
年次有給休暇を5日取得させるべき1年間にすべて育児休業等をしていた場合や、復職後の残り期間の労働日が5日に満たないため年5日取得させる余地のなかった従業員については、年5日取得できなくても法違反にはなりません。
年次有給休暇を5日取得させるべき1年間にすべて育児休業等をしていた場合や、復職後の残り期間の労働日が5日に満たないため年5日取得させる余地のなかった従業員については、年5日取得できなくても法違反にはなりません。
休暇に関する事項は、就業規則の絶対的必要記載事項です。会社が年次有給休暇の時季指定を行う場合は、時季指定の対象となる従業員の範囲及び時季指定の方法等について、就業規則に記載しておく必要があります。
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