2021/03/17
A、高年齢者雇用安定法が改正され、2021年4月1日より、70歳までの就業機会確保が努力義務となりました。努力義務の為罰則はありませんが、対応が進んでいない場合は行政指導の対象となりますので注意が必要です。
少子高齢化が急速に進展し人口が減少する中で、年金受給年齢も引き上げられる傾向となっています。退職後に無年金期間が発生しないよう、高年齢者が就業できる環境整備を図ることが必要との背景もあり、70歳までの就業機会確保に関する高年齢者雇用安定法の改正が行われました。
努力義務ではありますが一定の拘束力を持つ内容となっており、対応に問題がある場合は行政指導の対象となる点に留意が必要です。また、将来的に義務化となる可能性は十分にありますので、早目の準備を推奨いたします。
全ての事業主に、65歳から70歳までの就業機会を確保するため、高年齢者就業確保措置として、以下表の①~⑤のいずれかの措置を講ずる努力義務が課せられます。
措置 |
定年引上げ |
※全従業員が対象 |
※全従業員が対象 |
継続雇用制度 |
(自社だけでなく全ての会社での雇用) ※基準を設け対象者を限定できる |
(自社及び子会社・ 関連会社での雇用) ※原則、 全従業員が対象 |
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定年廃止 |
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措置 |
業務委託契約 |
※希望する全従業員が対象 |
|
社会貢献事業 |
②委託若しくは③資金提供する、 社会貢献事業での雇用以外の有償契約 ※希望する全従業員が対象 |
なお現行制度では、65歳までの雇用機会を確保するため、①65歳まで定年引上げ、②65歳までの継続雇用制度の導入、③定年廃止のいずれかの措置を講ずることが義務付けられています。現行制度との大きな変更点は、以下のとおりです。
現状[② 継続雇用制度]は自社及び子会社・関連会社での継続雇用が条件となっていましたが、新制度では自社及びすべての会社での継続雇用が可能となりました(ただし、当該継続雇用を行う会社との間で、対象従業員を雇用することを約する旨の契約の締結は必要となります。)。
雇用契約による就業機会の確保以外に、[④業務委託契約]、[⑤社会貢献事業]での 雇用以外の契約を行うことも可能となります。当該制度については、「2.創業 支援等措置に関する留意点」を参照ください。
70歳までの就業機会確保について、前述の④業務委託契約、⑤社会貢献事業を選択する場合には、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合の、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の同意が必要となります。
事業主は以下の内容を記載した「創業支援等措置に関する計画」を作成し、当該計画についても、過半数労働組合又は過半数代表者の同意を得なければなりません。
以上が、2021年4月1日より施行される、改正高年齢者雇用安定法の内容となります。定年退職後の就業機会の確保については、法令遵守を担保しながらも、業務内容や報酬等のバランスを考慮して最適な制度設計を行う必要があります。各社様の状況に応じた選択ができるよう参考としていただければと思います。
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