GERBERA PARTNERSブログ

労務管理|労基署調査 調査時に重点的にチェックされる項目について

2021/07/05

Q、今度、労働基準監督署の調査が実施されます。調査時において重点的にチェックされるポイントは何ですか。

A、重点的にチェックされるポイントとしては「長時間労働」「賃金(主に残業代)の未払い」「労働時間の管理」などがあげられます。

 

解説(公開日:  最終更新日:

 

労働基準監督署の調査目的は労働基準法、労働安全衛生法などの労働関連法令について、企業が法律違反をしていないかチェックをし、違反状態である企業に対して指導をし、改善を促すことです。しかしながら労働基準法、労働安全衛生法はとても多くの取り決めがあります。今回はその中でも労働基準監督署が調査時に特に重点的にチェックする3つの項目について解説致します。

 

Ⅰ.長時間労働

事業所で長時間労働が発生しているかどうかをチェックし、長時間労働が発生している場合は労働時間の削減をするように指導が入ります。ここでいう長時間労働ですが、大きく2つの点があります。

  1. ① 36協定で定めている時間外労働の上限時間を超えているか
  2. ② 1ヶ月の残業時間が常態的に45時間を超えているか

まず①の時間外労働ですが、これは36協定で定める時間外労働の上限時間を超えて労働している労働者がいないかをチェックしています。もし超えている労働者がいる場合は、労働基準法違反となり、36協定の上限時間内で時間外労働を抑えるようにという指導がなされます。

 

次に②ですが、これは36協定で定めている上限時間を超えていない場合でもチェックがされ、なるべく1ヶ月の時間外労働が45時間を超えないようにという指導がなされます。これは法律違反というよりも労働者への安全配慮義務の観点からのチェックです。1ヶ月45時間を超えて残業をすると、過労死をはじめとした健康障害が起こる可能性が高まるということから、その健康障害の予防として指導がなされます。

 

Ⅱ.賃金(主に残業代)の未払い

特に残業代(時間外労働手当、休日労働手当、深夜労働手当)の未払いがないかどうかをチェックされます。法律の考え方として、残業代は、労働者に残業をさせることによる会社へのペナルティという意味合いもあり、残業をさせた場合の賃金については、会社に通常の賃金より高い率の金額の支払いをさせることにより、残業時間の抑制を図ろうという意図があります。また違う側面として、会社が残業代を支払っていない場合は、どれだけ労働者が働いても労働者の賃金額が変わりません。それは会社から見れば労働者に支払う費用が変わらないことを意味します。もしこの状態を良しとすると、会社は労働者に長時間働いてもらったほうが、会社のコストを抑えることができることから、結果長時間労働の温床につながるという側面もあります。よって労働基準監督署はこの残業代については支払がきちんとできているかをチェックし、支払いができていない場合は、過去にさかのぼって残業代を支払うようにという指導がなされます。

 

また、残業代の支払いができている企業についても、その残業代が法律で決められている計算方法で計算した金額通りに支払われているかについてもチェックされます。例えば全員一律で残業1時間あたり1,000円を支払っているという会社の場合、残業代を支払っていないわけではありません。しかしながら、残業代の計算は労働者の賃金額に応じて計算をするべきものであり、労働者個々で残業1時間あたりの金額は異なります。よってこのような場合はきちんと法令に基づいた計算を行い、不足額がある場合は、その差額を遡って支払うように指導がされます。

 

労働時間の管理は労基署調査の根幹といえるべき項目です。そもそも労働者に対する労働時間の管理がずさんなものである場合や、正確な労働時間の管理ができていない場合は、上記のⅠ、Ⅱについても労働基準監督署は適切な指導をすることができません。

 

よって、調査ではまず、従業員の労働時間の管理方法や管理状況をチェックします。そして労働時間の管理方法が例えば従業員の自己申告による方法を取っていた場合など、労働時間の管理について、事実を表しているかどうかが疑わしいときは、その記録の裏付けを取ることもあります。その方法の一例は以下の通りです。

  1. ●労働者へ直接ヒアリング
  2. ●労働者が使用しているパソコンのログ時刻の確認
  3. ●事業所のセキュリティの開錠、施錠の時刻の確認
  4. ●始業前、もしくは終業後に定期的に行っている業務の確認とその時刻がわかるもの
  5.  (例えば始業前の朝礼、終業後のミーティングなど)
 

労働基準監督署は上記の方法により、まずは会社が正しく労働時間の管理をしているかどうかを確認します。その結果、労働時間の管理状況が事実かどうか疑わしい場合は、適切に労働時間を管理するようにという指導が入ります。そして状況によっては、過去の労働時間についても、労働者に対してヒアリング等を行うことよって、正しい労働時間を把握するようにと指導が入ります。その結果、正しい労働時間を把握することによって追加で残業代が発生する場合には、その残業代も支払うようにという指導がされる場合もあります。

 

労働時間については、調査の根幹をなすものであるため、きめ細かくチェックされる項目です。

 

Ⅳ.まとめ

労働基準監督署の調査で指摘される項目は他にもたくさんありますが、この①長時間労働②賃金(残業代)未払い③労働時間の管理 については特に重点的に調査する項目となっております。また、これらの項目はすぐには改善できない項目です。対策が不十分な企業については、労働基準監督署の調査が入る以前より、できるところから改善をしていくように取り組むことをお勧め致します。

 

社会保険労務士法人ガルベラ・パートナーズでは、この労働基準監督署の調査対策をはじめ、企業様の労務管理のご相談に実務上の観点からきめ細やかにお答えしております。労務管理でお悩みの場合は、お気軽に下記お問合せフォームよりお申し付け下さい。

 
 

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