GERBERA PARTNERSブログ

労務管理|夜勤手当を割増賃金の算定基礎賃金に入れなくてもいい?

2022/07/13

Q、弊社は病院を経営しております。夜勤を行う看護師について、その勤務に対する手当として「夜勤手当」を別途支払っています。この手当は割増賃金の算定基礎賃金から外して割増賃金を計算しても大丈夫でしょうか。

A、いわゆる「夜間看護手当」について、一定の要件に該当する場合は、割増賃金の算定基礎賃金から除外することが可能です。

 

解説(公開日:  最終更新日:

 

1.割増賃金の計算

割増賃金の支払につきましては、労働基準法第37条に以下の通り定められています。

 

労働基準法第37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)

使用者が、第33条又は第36条第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

また、割増賃金の計算から除外できる賃金については、同条第5項に以下の通り定められています。

 

労働基準法第37条第5項

第1項及び前項の割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない。

そして、厚生労働省令で定めている割増賃金の計算から除外できる賃金は以下7項目です。

 
  1. ① 家族手当
  2. ② 通勤手当
  3. ③ 別居手当
  4. ④ 子女教育手当
  5. ⑤ 住宅手当
  6. ⑥ 臨時に支払われた賃金
  7. ⑦ 一か月を超える期間ごとに支払われる賃金

よって、時間外労働、休日労働および深夜労働の際に支払う割増賃金について、原則は上記の7項目以外の手当については、割増賃金の基礎賃金として含んで計算を行う必要があります。

 

2.通常の労働時間又は労働日の賃金

しかしながら、労働基準法第37条第1項にある「通常の労働時間又は労働日の賃金」とは、割増賃金を支払うべき労働(時間外、休日又は深夜の労働)が深夜でない所定労働時間中に行われた場合に支払われる賃金を指しております。例えば宿日直手当などの手当は、所定労働時間外の労働に対する賃金であるため、「通常の労働時間または労働日の賃金」には含まれないと解釈されることから、割増賃金の基礎賃金とはならず、計算に入れる必要はありません。

 

また、今回のご質問にある看護師の夜勤に対する手当についても、深夜の所定労働時間内に対する手当であることから、割増賃金の基礎賃金とはならないという解釈になります。

そして通達(昭和41年4月2日 基収第1262号)により以下の通り定められています。

 

「正規の勤務時間による勤務の一部又は全部が深夜(午後10時後翌日の午前5時前の間)において行われる看護等の業務に従事したときに支給される「夜間看護手当」は、労働基準法第37条第1項の通常の労働時間又は労働日の賃金とは認められないから、同項の割増賃金の基礎となる賃金に参入しなくてもさしつかえない。」

 

3.まとめ

割増賃金の計算から除外できる賃金は、原則は厚生労働省令で定める7つの賃金だけではありますが、手当の性質が「通常の労働時間又は労働日の賃金」に該当しない場合は例外的に割増賃金の計算から除外できるものもあります。手当の性質をしっかり把握し、割増賃金の未払いや過払いが発生しないように、正しく計算を行うことが必要です。

 
 

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