2023/06/14
A、算定事由の発生した日は含まず前日から入社日まで遡り、その期間の賃金と日数を使用して計算してください。根拠とともにご説明します。
原則として、平均賃金は、算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額です。原則として事由の発生した日以前3か月間に、その労働者に支払われた賃金の総額 を、その期間の総日数(暦日数)で除した金額です。その3か月は、賃金締切日がある場合には、直前の賃金締切日からさかのぼります。
平均賃金の計算についての詳細はこちらをご覧ください。
「働き方のルール~労働基準法のあらまし~(東京労働局労働基準部:PDF)」
(厚生労働省作成の労基法に関するとても分かりやすい資料です。21ページに平均賃金について載っています)
しかし、入社すぐで1度も賃金締切日がきていない場合、このような通常の計算方法を用いることはできません。
雇入れ期間の短い者についての平均賃金の計算については、法律に決まりがあり、通達((昭23・4・22 基収1065号))も出ています。
まずは、通達からご紹介します。
[問]雇入後の期間が著しく短い場合、例えば雇入後2日目又は3日目に事故発生の場合、雇入の日に事故発生した場合(その算定額が後者に対して均衡を失する場合が考えられるから)と同じく推定すべきか、もし然りとすればその日数の限界如何。
[答]設例の如き場合においては施行規則第4条ではなく法第12条第6項の規定による。(昭23・4・22 基収1065号)
まず、使用しない「施行規則第4条」は、以下の内容です。
法第12条第3項第1号から第4号までの期間が平均賃金を算定すべき事由の発生した日以前3箇月以上にわたる場合又は雇入れの日に平均賃金を算定すべき事由の発生した場合の平均賃金は、都道府県労働局長の定めるところによる。
さらに、「法第12条第3項第1号から第4号までの期間」とは、
のことです。
平均賃金を算定するときに使う3か月が、上記の理由により労働者が休業していた期間であったり、雇入れの日に労災事故が起きてしまった場合は、都道府県労働局長が定める、ということになっています。
入社直後ではあるけれど、設問のように雇入れの日ではない場合には、上記の「都道府県労働局長が定める」ではなく、「法第12条第6項の規定による」こととなっています。
「労働基準法第12条第6項」は、以下の内容です。
雇入後三箇月に満たない者については、第一項の期間は、雇入後の期間とする。
すなわち、たとえば、入社3日目の労働時間中に労災事故が発生した場合、算定事由の発生した日は含まず前日から遡るため、入社1日目と2日の分の賃金と日数を使って平均賃金を算定することとなります。
様式8号(休業補償給付支給請求書)の別紙1「平均賃金算定内訳」を出す場合、通常は、賃金台帳と出勤簿は提出しなくてよいのですが(労基署から求められたときに提出すればよい)、入社直後の算定のように特別な計算をする場合には、賃金台帳と出勤簿を提出する必要がありますので注意しましょう。
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