2015/08/24
Q 決算において売掛金の債権残高を確認したところ発生原因の解明が不能だった売掛金について、取締役会の承認等の手続きを経たうえで損失処理し損金の額に算入しましたが、こういった処理は税務上認められるのでしょうか。
A 同様に売掛金の債権残高に関して発生原因の解明が不能であることが確認されたなどとして損金の額に算入していた法人に対し税務署長が法人税法22条(各事業年度の所得の金額の計算)第3項各号に掲げる額のいずれにも該当しないとして増額更正を行っていたことに対する不服申し立ての事件において、国税不服審判所では、取締役会の承認だけでは請求人内部の意思決定された事実を示しているにすぎないとして当該売掛金の認容等処理をした金額は損金算入できないと判断した裁決結果が出ています。
売掛金認容等処理に関しては、前期損益修正通達(法基通2-2-16)に定める当該事業年度前の各事業年度においてその収益の額を益金の額に算入した取引について契約の解除または取消し、値引き、返品等の事実が生じたものではないことが明らかなものについては、損金経理が認められないこと、また法人税法上、法人が有する金銭債権の帳簿価額を減額した金額を損金の額に算入することは、貸倒損失及び評価損のいずれにおいても、その要件事実が生じた場合に限られると解するところなので本件売掛金認容等処理がこの場合に該当しないと判断されています。
よって、ご質問いただいたケースについても同様で、売掛金の不一致原因を解明できないという認識を得るに至ったことや内部の意思決定された事実を示しているにすぎない取締役会の決定をもって損金経理したとしても、その損金処理が認められない可能性が高いということになります。
貸倒損失として損失処理できる要件も限定列挙されている内容に該当しなければ損金算入することができないことから売掛金等の債権の消去については、かなり注意が必要となります。
売掛債権の損失処理の判断に迷うようでしたら是非弊社へご相談ください。
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