2016/02/09
Q 当社には、1年に満たない雇用期間で契約している職員がいます。有給休暇をとりたいと言われたのですが、このような短期雇用の職員にも年次有給休暇は与えなければいけないのでしょうか?
A 年次有給休暇について、労働基準法第39条では次のように定められています。
「使用者はその雇い入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。」
つまり、有給休暇の判断のポイントとしては、次の二点です。
・雇い入れの日から「6カ月間継続勤務」
・所定の労働日のうち「8割以上出勤」
半年後には退職している雇用期間が1年未満の契約職員であっても、上記の条件を満たせば、有給休暇を与えなければなりません。
年次有給休暇については、その他にも、問題になりやすいポイントがありますので、ご紹介させていただきます。
【事例1】
有期雇用契約の職員に対して、有給休暇を付与しないこととする雇用契約を個別に結んでいた場合は?
結論から申し上げますと、このような「有給休暇を付与しないこととする個別契約」は、労働基準法違反で無効になります。
労働基準法と就業規則や個別に結ぶ労働契約書との力関係は、
労働基準法 > 労働協約 > 就業規則 > 労働契約 となります。
労働法で決められた基準に達しない雇用契約はその部分については違法となり、無効になります。そして無効となった部分は、法律で決められたとおりになりますので、有期雇用契約の職員に対して年次有給休暇は発生します。
年次有給休暇については、労働者の権利として強く保護されます。
正当な理由もなく、年次有給休暇取得の申し出に対して、与えない場合には、「6ケ月以下の懲役 または 30万円以下の罰金」とういう罰則がありますので、注意が必要です。
【事例2】
法律を上回る条件で有給休暇を付与する場合は?
法律を上回っている有給休暇の部分は、法律の制限をうけません。
例えば、入社して3ケ月で年次有給休暇を3日付与するというように決めている会社もあります。
このような年次有給休暇については、「病気した時だけに取得できる」と限定して、就業規則などで取得目的を制限したとしても、法律違反にはなりません。
【法律改正情報】
年次有給休暇は、労働者からの申請が原則となります。
ただ、日本人の遠慮がちな国民性もあり、諸外国に比べて、取得が進んでいないと批判が多くなっています。
そうした背景もあり、政府としても取得促進策を検討しています。
新聞でも報道されていますが、年次有給休暇のうち5日の取得を企業に義務づけるように労働基準法改正案が現在審議中です。
(当初は、平成28年4月から施行という予定でしたが、国会での継続審議となっていますので、時期は未定となっております。)
近年、中小企業であっても、厳しく労務コンプライアンスが求められています。これまで、有給休暇についてあいまいな対応をしてきた会社にとっては、明確なルールづくりが必要になってきます。
弊社では、有給休暇への対応も含め、様々な人事労務管理のパターンに対応しております。疑問に思う事がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
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