2016/04/26
Q 当社では障害者の雇用を進めています。この4月から障害者の雇用に関した法律の改正があると聞きました。どのような内容でしょうか?
A この4月からさまざまな雇用に関する法律が施行されていますが、その一つが平成25年に法律改正となった、障害者の雇用に関する法律「障害者雇用促進法」の施行です。
募集、採用、賃金、配置、昇進といった雇用の分野で、障害者であることを理由に、不当な差別的な取扱をすることは禁止され、合理的配慮を提供することを事業主に義務付けています。
この「差別的な取扱の禁止」と「合理的配慮の提供義務」とは具体的にはどのようなことなのか、見ていきましょう。
□差別的取扱の禁止とは?
障害者であることを理由として、排除をし、不利な労働条件にすることや、障害者よりも障害者でない者を優先することです。主な具体例は次のものです。
・募集、採用の機会
身体障害、知的障害、精神障害、車いすの利用、人工呼吸器の使用などを理由として採用を拒否する
・賃金の決定
賃金を引き下げること、低い賃金を設定すること、昇給をさせないこと
・教育訓練の実施
研修、現場実習をうけさせないこと
・福利厚生施設の利用
食堂や休憩室の利用を認めないこと
□合理的配慮の提供義務とは?
合理的配慮とは、障害者が障害者ではない者と均等な機会や待遇を得ることと、障害者の持っている能力を十分に発揮することの支障になっていることを改善することです。
主な具体例は次のものです。
・募集、採用の配慮
問題用紙を点訳・音訳すること。試験などで拡大読書器を利用できるようにすること、試験の解答時間を延長すること。回答方法を工夫すること。
・施設の整備
車いすを利用するかたに合せて、机や作業台の高さを調整すること。
知的障害を持つかたに分かりやすい文書・絵図を用いて説明すること。
精神障害を持つかたのためにできるだけ静かな場所で休憩できるようにすること。
・援助を行う者の配置
手話通訳者、要約筆記者を配置・派遣すること
雇用者との間で調整する相談員を置くこと
ただし、合理的配慮は、事業主に「過重な負担」を強いてまで、義務付けられているわけではありません。この「過重な負担」であるかどうかの判断は、次の6要素に依ります。
(1)事業活動への影響の程度
(2)実現困難度
(3)費用負担の程度
(4)企業の規模
(5)企業の財政状況
(6)公的支援の有無
障害者雇用促進法では、この他障害者からの相談窓口を設置するなどの、相談に対応するための体制整備することを義務に、また差別や合理的配慮の提供に対する障害者からの苦情を自主的に解決することを努力義務にしています。
従業員が50名以上の企業では、平成25年4月から障害者の法定雇用率2.0%が義務付けられており、拡大されてきています。今後も障害者の雇用への配慮は企業運営においても重要ポイントになってくるでしょう。
障害者の雇用に関しては、雇入れ、職業能力開発そして施設などを整備した場合に支給される助成金があります。
厚生労働省HP「障害者を雇入れた場合などの助成金」
こういった助成金を積極的に利用することは、障害者そして障害者でない従業員にとっても、働きやすい職場を整備する一助となります。
ガルベラ・パートナーズでは、助成金の具体的に利用方法についてのご相談を承っています。さまざまな従業員が働きやすい労務管理と合わせてご相談ください。
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