2016/12/08
Q 介護休業法の改正があると聞きました。私自身、要介護の親がおり、介護休業を取得しなければならない可能性が高いため、非常に関心の高いトピックスです。どのような改正内容なのでしょうか?
A 介護離職を避けるための改正としては、以下が挙がっています。
1.介護休業の分割取得
これまで、対象家族1人につき要介護状態1回につき1回だけ、合計93日まで認められていた介護休業を、3回に分割して取得できるようになります。ただし、3回まで分割できても、合計は93日のまま変わりません。
いつ終わるともわからないのが介護なのに、短いと思うかもしれませんが、これは介護休業はあくまで介護サービス等を見つけるための休業との位置づけだからです。3回に分割して取得できるようになったこともあり、これまでは1回だけ認められていた休業の撤回(※)ですが、来年1月からは2回連続して労働者側が撤回した場合にのみ、会社が休業の申し出を拒否できるようになりました。
なお、休業の申出を撤回した場合において、もう一度休業の申し出をしたとき、1回に限り会社は拒否できず、2回目以降は拒否できる、というのが平成28年12月末までとなっております。
2.有期契約労働者の介護休業の取得要件の緩和
有期契約労働者の介護休業については、以下が条件となっております。
①入社から引き続き1年以上の雇用期間があること
②休業終了後1年を経過する日まで雇用関係が続く見込みがあること
今回の改正では、以下が条件となりました。
①入社から引き続き1年以上の雇用期間があること
②休業終了後6ヶ月を経過する日まで雇用関係が続く見込みがあること
なお、改正後は、必要な労働契約期間が6ヶ月間短くなっております。
3.介護休暇の半日取得
要介護状態にある対象家族の介護のために年5日(要介護状態の対象家族が2人以上いる場合は10日)まで認められている介護休暇について、半日(所定労働時間の二分の一)単位での取得が可能となります。
年次有給休暇でも半日取得が認められていますが、それと同じようなものとなります。ただし、介護休暇を無給扱いとしていても、半日単位の場合は、半日分は給与が発生するのでご注意ください。
4.所定労働時間の短縮等の措置
労働者の申出により、現在は最大93日間まで認められている所定労働時間の短縮措置ですが、現行の条文ですと介護休業を取得した日数分、所定労働時間の短縮等の措置の期間を差し引いても良いことになっています。
つまり、介護休業と短縮等の措置合わせて最大93日しかできませんでした。法改正ではこれをやめて、介護休業とは別に、労働者の申し出に基づく3年以上の期間、所定労働時間の短縮等の措置を講じる必要があります。
短縮等の措置とは具体的には以下の4つとなります。この中から1つの措置を「事業主(会社)」が選択して実施することになります。
(1) 週又は月の所定労働時間の短縮措置(短時間勤務)
(2) フレックスタイム制度
(3) 始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ(時差出勤の制度)
(4) 介護サービスを利用する場合、労働者が負担する費用を助成する制度その他これに準ずる制度
5.介護のための所定外労働の免除
労働者が請求した場合、会社はその労働者に所定外労働を免除するというものです。所定外労働なので、所定労働時間が5時間の人は5時間まで、7時間の人は7時間までとなります。法定労働時間の8時間でないところが注意点です。
こちらは育児を行うものについてはこれまでも認められていましたが、介護を行う人については認められていませんでした。ただし、育児の場合と同様、事業の正常な運営を妨げる場合に限り、会社は労働者の請求を拒否することができます。
6.介護休業等の対象家族の範囲の拡大
現行の介護休業の対象となる対象家族は、配偶者、父母、子、配偶者の父母、同居しかつ扶養している祖父母、兄弟姉妹および孫とされていますが、これに加えて、同居しかつ扶養していない祖父母、兄弟姉妹および孫が追加されます。
7.仕事と介護の両立に向けた情報提供
「労働者に対する介護サービスや介護休業に関する相談・支援の充実を図るとともに、企業における両立支援制度の利用等に関する周知や相談窓口の設置等の取組を支援する。」とのことです。
いまいち意味が曖昧ですが、制度の周知については行政と企業がともに行っていくようです。
平成29年1月改正の育児休業に関する部分は、以下のように、これをさらにさらに手厚くしていく予定となっております。
1.子の看護休暇の半日取得
介護休暇同様に、子の看護休暇についても半日単位の取得を認めます。
2.有期契約労働者の育児休業の取得要件の緩和
有期契約労働者の育児休業については、以下が条件でした。
①入社から引き続き1年以上の雇用期間があること
②子が1歳に達する日から1年を経過する日まで雇用関係が続く見込みがあること
今回の改正では、以下が条件となりました。
①入社から引き続き1年以上の雇用期間があること
②子が1歳6ヶ月に達する日まで雇用契約が続く見込みであること
なお、必要な労働契約の期間が6ヶ月間短くなります。
3.育児休業等の対象となる子の範囲
現行は法律上の子(実子・養子)に限られていましたが、特別養子縁組の監護期間中の子、養子縁組里親に委託されている子といった法律上の親子関係に準じると言えるような関係にある子についても、育児休業制度等の対象に追加されます。
4.妊娠・出産・育児休業・介護休業をしながら継続就業しようとする男女労働者の就業環境の整備
現行制度では、会社が、妊娠、出産、育児、介護を行う労働者への不利益な取扱いが禁止されていました。厚労省は今回の改正でこれをさらに一歩進めて、上司や同僚といった育児や介護等を行う労働者の周りの労働者が、マタハラ等を行わないよう、雇用管理上必要な防止措置を事業主に義務付けます。また、派遣労働者については派遣先にこの防止措置を義務付けます。
社会保険労務士法人ガルベラ・パートナーズでは、企業の労務管理について、あらゆる角度からサポートを行っております。労務顧問、給与計算、社会保険手続代行、諸規程の整備、人事制度の構築など、なんなりとお問い合わせください。
◆ ガルベラのメールマガジンに登録しませんか◆
当社では毎月1回、ご登録をいただいた皆様へメールマガジンを配信しております。
税務・労務・経営に関する法改正や役立つワンポイントアドバイスをご案内しておりますので、ぜひ貴社の経営にご活用ください!
10秒で登録が完了するメールマガジン 登録フォームはこちら!!