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事業承継|事業承継税制が使いやすくなるってホント?平成27年以降の変更点

2014/11/17

Q 事業承継税制が使いやすくなると聞きました。どのように使いやすくなったのか教えてください。

 

A おっしゃる通り、平成27年1月1日以降の相続又は贈与から新しい事業承継税制が適用開始となり、これまでの税制よりも使いやすくなります。

 

 事業承継税制とは、中小企業の後継者の方が、現経営者から会社の株式を承継する際に、相続税や贈与税が軽減・免除される制度です。詳しくは、2014年8月4日のブログ「相続税が80%OFFになる相続税の納税猶予制度をご存知ですか?」をご覧ください。この制度の正式名称は、「非上場株式等についての相続税及び贈与税の納税猶予制度」ですが、この制度名称も変更され、「納税猶予制度及び免除制度」と、免除制度という言葉が入りました。

 

 制度が使いやすくなった税制改正のポイントは、次の通りです。

(1)親族外承継の対象化

(2)雇用8割維持要件の緩和

(3)先代経営者の役員退任要件の緩和

(4)債務控除方式の変更

(5)その他手続きの簡素化

 

 まず(1)は、これまで事業承継税制の適用を受ける後継者は、先代経営者と親族関係にあることが要件とされていました。しかし、近年の中小企業では、親族内に後継者がいないケースが多くなってきたことから、この要件が緩和され、親族外の承継であっても事業承継税制の適用を受けられることになりました。ただし、これによって相続人の相続税が安くなるわけではないので実際の適用には注意が必要です。

 

 次に(2)については、これまで事業承継税制の対象会社は、その適用後5年間は常時使用従業員の雇用の8割を維持し続けなければなりませんでした。それが平成27年1月1日以後の相続・贈与について適用を受ける会社は、5年間で常時使用従業員の平均値が8割でよいことになり、景気の変動で左右されることが少なくなるでしょう。

 

(3)は現在の事業承継税制では、現経営者が贈与時に役員を退任しなければならず、これがネックとなりこの税制の適用を躊躇する大きな原因となっていました。改正後は、贈与時に代表権を返上するのみで引き続き有給役員として経営に参画し続けることができるようになります。

 

(4)は相続税の計算上、債務控除の順序が変わり相続財産が納税者有利になるような計算方法となります。

 

 最後に、(5)の手続きの簡素化については、事業承継税制の要件である担保提供手続きが簡素化され、一定の手続きを行うことで株券を発行しなくても担保提供が可能となります。

 

 以上、新しい事業承継税制について駆け足でご説明しました。この事業承継税制については、使いづらいというイメージが先行し、これまでほとんど活用されてきませんでしたが、弊社ではそのような中、事業承継税制導入当初からこの制度を使い事業承継に悩む経営者をサポートしてきました。

 

 今後は、使いやすくなった事業承継税制を適用するケースが増えてくると思いますが、事業承継税制は複雑な税制となっているため導入実績のある税理士に依頼することをおすすめします。新しくなった事業承継税制をもっと知りたい!使ってみたい!という事業承継にお悩みの経営者の方は、ぜひ弊社に一度ご相談ください。