GERBERA PARTNERSブログ

法人税|法人が購入した災害時の非常用食料品・防災用品の取扱い

2018/07/04

Q、当社は、地震などの災害時に備えて、社内で空腹を満たすことができる非常用食料品やヘルメット等の防災用品を購入することを検討しています。決算も近いため、できれば購入費用を全額、購入した時の費用として計上したいのですが、そのような取り扱いは可能でしょうか。注意点等あれば教えて下さい。

    A、非常用食料品は一定のものについては、備蓄(社内に保管)することをもって事業の用に供したと認められるため、それらの購入額については全額を損金計上できます。防災用品についても、通常の減価償却資産と同様に考え、中小企業であれば1単位当たり30万円未満のものであれば、支出額の合計額300万円まで損金計上ができます。

解説(公開日:  最終更新日:

1.はじめに

 

近年の地震や集中豪雨といった異常災害の増加は、会社経営にも深刻な影響を与えており、これらの災害に備えるため、様々な対策を検討している企業様が増加していると思われます。

 

その中でも今回は、非常用食料品や防災用品を、法人の経費として購入した際の法人税法上の取扱いを考えてみます。

   

2.取扱い

  (1)非常用食料品  

一般に、災害等に備えるために社内に備蓄する食料品(缶詰にしたフリーズドライ食品など)について、数年にわたって品質保証されるため、購入した後すぐに事業供用されない(購入した日を含む事業年度に使用されない)ことが多く、使用するまでは貯蔵品として損金処理(法人税法上の費用)せずに、使用された時の事業年度に損金処理するといった経理方法が考えられます。

 

この点につき、国税庁の質疑応答事例にもありますが、下記を理由に、備蓄時に事業供用したとして損金処理することを認めています。

 
  • ・食料品は繰り返し使用するものではなく、消耗品としての特性をもつものであること。
  • ・その効果が長期間に及ぶものであるとしても、食料品は、減価償却資産(法人税法施行令第13条)又は繰延資産(法人税法施行令第14条)に含まれないこと。
  • ・仮に、当該食品が法人税法施行令第10条第6号((棚卸資産の範囲))に掲げる「消耗品で貯蔵中のもの」であるとしても、災害時用の非常食は、備蓄することをもって事業の用に供したと認められること。
  • ・類似物品として、消火器の中味(粉末又は消火液)は取替え時の損金として取り扱っていること。
参考URL(国税庁):非常用食品の取扱い     (2)防災用品  

(1)の非常用食料品の取扱いとは違い、国税庁に具体的な定めが述べられているわけではありませんが、会社に備え付ける防災用品は固定資産とされるため、金額によっては減価償却の対象となり、全額を購入した事業年度に損金処理できない場合が考えられます。

 

固定資産は1単位当たりの金額が10万円未満であれば、購入額全額を損金とすることができます。ただし、10万円以上となる場合でも、少額減価償却資産の特例(青色申告を提出する一定の中小企業者等が購入した30万円未満の固定資産につき、年300万円まで損金処理することができる特例)を適用して一定額を損金処理することができます。

 

なお、法人の経費である以上、事業に関連するものであることが前提となるため、従業員の自宅で使用する用品の購入費用を、消耗品費や福利厚生費では計上できない点には注意が必要です。

   

3.さいごに

 

通常市販されている非常用食料品は、国税庁の質疑応答事例に記載された食料品と同じようなものが多いと思われますし、防災用品についてもヘルメットや毛布等、1単位当たり10万円以上となるものは多くないと思われますので、購入費用全額を、購入した事業年度で損金処理できるケースがほとんどです。

 

災害に備え、社内の管理体制を整備することを検討されている企業様の参考になればと思います。

       

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