2015/03/23
Q 経営者仲間から、役員に対して賞与が支給できると聞きました。顧問税理士からは、役員には賞与は支払ってはいけないと言われているのですが、賞与を支払っても大丈夫なのでしょうか?また、その経営者仲間からは、その役員賞与を支給する場合は、事前に届け出る必要があると教えてもらいましたが、いつ、どこに何を届け出ればよいのでしょうか?
A お問い合わせの通り、一定の要件を満たせば、役員に対して賞与を支給することが可能です。顧問税理士の先生は、その要件の確認が面倒等の理由からできないと回答されたのでしょう。
こちらの税務署からも認められる役員賞与は、法人税法上、「事前確定届出給与」と呼ばれます。費用として認められる「事前確定届出給与」とは、その役員の職務について所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づき支給する給与で、原則として株主総会の決議日から1か月以内に納税地の所轄税務署長に届出書を提出しているものをいいます。ですから、作成する届出書には、株主総会の決議日がいつで、何月何日にいくらの賞与を誰に支給するのかを記載しなければなりません。注意点としましては、こちらに記載した日付及び金額の通りに必ず賞与を支給するようにすることです。この日にちが1日でも違うと、基本的にはその全額が賞与として認められません。逆に言いますとそれさえ守っていただければ役員賞与として支給が可能です。
次に、この事前確定届出給与に関する届出書の提出期限をより詳しくみていきたいと思います。というのも、税務署への提出は、期限を厳守する必要があるから、1日でも遅れると認めてもらえないからです。例えば、3月決算の会社で株主総会の決議日が5月31日だった場合は届出書の期限はいつになるでしょうか。事前確定届出給与に関する届出書の提出期限は、条文上、その決議日から「1月を経過する日まで」とされています。税務上の手続きのルールが定められている国税通則法の10条1項1号では、国税に関する法律に定める申告、申請、請求、届出その他書類の提出期限については、原則初日不算入ですが、その期間が午前零時から始まるときは例外として、初日からカウントすることになっています。このルールに基づけば、株主総会の日は会社によって開始時間がばらばらですので原則の初日を入れない形でカウントします。よって、5月31日の翌日から数えて1か月を経過する日、すなわち、提出期限は6月30日になります。事前確定届出給与に関する届出書は、株主総会の日にちのちょうど1か月後(これを税務では、応当日と呼んでいます)と考えるとわかりやすいですね。
それではこちらの期限が、もし土曜日、日曜日、祝日に重なっていたらどうなるでしょうか。先ほどの国税通則法10条2項では、国税に関する法律に定める申告、申請、請求、届出その他書類の提出等について、その期限が日曜日・祝日その他一般の休日又は政令で定める日に当たるときは、これらの翌日をその期限とみなす、という規定があります。土曜日は、政令で定める日に規定されていますので、土曜日、日曜日ともに提出期限はその次の月曜日に、祝日の場合はその翌日になります。
このように役員賞与を支給する場合は、ご説明した提出期限を厳守していただいたうえで、必ず税務署へ届出た通りの金額を届出の日付通りに支給してください。賞与として支給した方が、一度にまとまった金額を支給できますし、社会保険が安くなるケースもあります。ガルベラ・パートナーズグループでは、トータルでみたときの法人の税負担等が軽くなるようなシミュレーションやアドバイスを行っています。役員賞与を支払っていいなんて知らなかった!という方は、ぜひガルベラ・パートナーズグループにご相談いただければと思います。