2017/09/21
A 有価証券の購入の際に支払った付随費用については、支払手数料などとして経費計上することは出来ません。
従いまして、有価証券の取得価額に含めて処理(資産計上)することになります。
法人が購入した有価証券の取得価額については、本体部分の対価だけでなく、その有価証券を購入するために直接要した費用も含める必要があります。
付随費用の例としては、下記のものが挙げられます。
※有価証券を取得した者(投資家)が新たな株主となったことについて、名義書換代理人を通じて発行会社に申告するための手続き費用
なお、3及び4の費用については原則として取得価額に含める必要がありますが、その金額は一般的な目線から見て少額であるため、有価証券の取得価額に含めないで支払い時の費用として経費計上することが認められています。
また、近年ではM&A(企業買収)によって他社の株式(有価証券)を購入する動きが活発化しております。
この企業買収を実施するにあたっては、会計事務所や法律事務所に買収先の財務内容や法的なリスクマネジメントなどについて調査を依頼することが一般的です。
この調査等に係る費用をデューデリジェンス費用・投資相談料などと言います。
これらの調査費用については高額となるケースが多く、費用として処理するか、有価証券の取得価額に含めて処理するのかが大きなポイントとなります。
一般的には、「有価証券を取得する」という意思決定後において発生したと考えられる場合には付随費用に該当し、有価証券の取得価額に含めて処理するケースが多くなります。
購入する意思決定前の段階で発生したものは、有価証券を取得するか否かについて判断するための費用であり、購入するために直接要したものとは考えにくいため、費用として処理するケースが多いです。
それに対して、購入する意思決定後において発生したものは、取得することが前提となっているため、購入のために直接要した費用に該当すると考えられるため、取得価額に含めて処理します。
この様に企業買収に係る調査費用が付随費用に該当するか否かの判断としては、 その「有価証券を購入する」という意思決定を行うタイミングが重要となります。
なお、これらの取り扱いについては実務上、個々の費用の支出目的や実態に応じて慎重に判断していく必要があるためご注意ください。
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