GERBERA PARTNERSブログ

国際税務|外国に住んでいる扶養親族について

2017/03/17

Q 私は中国人で、日本の会社に10年間勤務しております。これからも日本に住み続けます。そこで疑問なのですが、平成28年から中国に住んでいる扶養親族の要件が厳しくなったと聞きました。具体的にどうなったのか、教えていただけますでしょうか。   A 日本の税法の観点から回答させていただきます。ご質問者様は中国人ですが、税法の世界では日本の居住者となります。この場合、中国に住んでいる扶養親族は国外扶養親族となり、扶養しているかの確認要件が平成28年から厳しくなりました。   まず、大前提として国外扶養親族の方は、日本の扶養親族の様な所得38万円の要件(俗に言う給料収入103万円基準)は関係なくなります。所得38万円は厳密に言うと合計所得金額のことで、日本で稼いだ所得(国内源泉所得)のみが対象になります。そうしますと、外国での所得(国外源泉所得)は一切関係がなくなります。   中国に住んでいる親族は、日本の税法から言うと非居住者になります。この非居住者は日本で稼いだ所得(国内源泉所得)があれば、所得38万円の要件が強制されますが、中国で稼いだ所得(国外源泉所得)だけの場合は一切考慮しなくてもいいという事になります。   とは言うものの、中国でかなりの稼ぎがあると日本の税務当局が判断した場合は、そもそも扶養する必要があったのか、という事を問われる可能性が高いです。結局のところ、この辺りについては常識的な範囲で考えざるを得ません。   次に本題の要件についてですが、平成28年より国外扶養親族について扶養控除を受けたい場合は、次の(1)と(2)の資料が必要になります。(1)は親族関係書類、(2)は送金関係書類がそれに該当します。   (1)とは、国外に居住している者がその居住者の親族であることを証するもので、次の(a)または(b)のいずれかの書類です。   (a)戸籍の附票の写しその他の国または地方公共団体が発行した書類およびその国外に居住している親族の旅券の写し   (b) 外国政府または外国の地方公共団体が発行した書類(国外に居住している親族の氏名や生年月日および住所(居所)の記載があるものに限ります)   次に(2)ですが、次の(a)又は(b)の書類で、その年において居住者が国外居住親族の生活費や教育費に充てるための支払いを、必要の都度、各人に行ったことを明らかにするものをいいます。   (a)金融関係の書類またはその写しで、その金融機関が行う為替取引によりその居住者からその国外居住親族へ支払いをしたことが明らかな書類   (b) いわゆるクレジットカード発行会社の書類またはその写しで、そのクレジットカードを提示して、国外居住親族が商品等を購入したこと等により、その商品等の購入代金に相当する額をその居住者から受領したことを明らかにする書類   この様に国外扶養親族については要件が厳しくなりました。今までは「ハイ、私は外国に住んでいる親を扶養しています」という単なる宣言だけで扶養控除の対象になっていましたが、現在はそうでなくなってきております。くれぐれもご注意ください。  
◆ ガルベラのメールマガジンに登録しませんか◆ 当社では毎月1回、ご登録をいただいた皆様へメールマガジンを配信しております。 税務・労務・経営に関する法改正や役立つワンポイントアドバイスをご案内しておりますので、ぜひ貴社の経営にご活用ください!   10秒で登録が完了するメールマガジン 登録フォームはこちら!!