2017/08/14
A、過度な租税回避行為に対する手当をすべく「BEPSプロジェクト」というものがOECD主導に始まっています。
租税条約は締結する両国間の利害調整を反映させて制定されるため、その過程で税務上の課税できない「隙間」が生まれることもあります。納税者がその恩恵をただ受けるだけでは特に問題にはなりませんが、多国籍企業グループがこの「隙間」を利用して過度な節税行為を行っていたとすれば、法律に抵触していないとすれども問題視はすべきものとなってきます。
国際間の税務事例を見ていく中で、こういった納税者(特に多国籍企業グループ)が行なう各国の税制や租税条約の盲点を突いた租税回避行為(税法には抵触しないものの、税法が想定していない行為によって税負担を減少させようとする行為)に批判が高まっています。なぜならこれらの行為を放置すれば各国に課税機会が大きく失われるだけでなく、課税の公平性も著しく損なわれるからです。
また、近頃はニュースのトピックスにも取り上げられるようになってきており、関心を持たれている方も増えてきています。
しかしこれらの問題に対応するには国単位の税法を改正することや租税条約に修正を加えることだけでは不十分です。先進諸国を中心に各国が連携してこれらについて問題意識を持ち、対応策を講ずることしか解決策はありません。
そこでOECDが平成24年に発足させたのがこの「BEPS(Base Erosion and Profit Shifting※)プロジェクト」です。このプロジェクトは、国際的な税制構築について協調を図るための具体策を平成27年9月取りまとめられ、平成27年11月のG20サミットにおいてすでに報告がなされています。
(※)税源浸食と利益移転という意味です。
具体的な内容としては行動計画として15の項目にまとめられております。
ここでは個々の具体的内容については割愛いたしますが、租税条約制定についての今後の方向性については行動計画6及び行動計画15にて示されています。
租税条約の違いに着目した租税回避行為を予防するには、租税条約の“隙間”をなくすことが先決であり、租税条約を統一することが有効であります。BEPSプロジェクトの行動計画15ではこの租税条約の統一について提言がされており、世界中の租税条約の速やかな改定を促すこと、多国間租税条約の制定を働きかけることに一役買っております。
BEPSプロジェクトは過度な租税回避行為を予防し、各国の税制や租税条約を制定するうえで規範となるものですが、一方で何ら法的拘束力を持っておらず、これを基盤として税制や租税条約が制定されてはじめて効果が認められるものです。今でも一定の影響力はあるといえるものの、今後さらなる影響を与える存在となり、各国の足並みを揃える役割を果たすべきものとなることが求められます。
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