2018/05/14
法人の消費税の納税義務は、原則として基準期間(その事業年度の前々事業年度)の課税売上高が1,000万円を超える場合に発生します。そのため、新設法人は基準期間が存在しないことから、通常は初年度とその翌事業年度は消費税の納税義務がありません。ただし、その場合にも事業年度開始日に資本金が1,000万円以上あるときには、納税義務が生じることとなります。
また、新設法人で資本金が1,000万円未満の場合でも、組織再編税制を利用して別会社を立上げたり、一人で複数の会社を所有するといった形態が増加してきたことに伴い、実態としては一つの会社で行っている事業であるにも関わらず、消費税の課税逃れを避けるべく別会社を新たに設立した場合に一定の条件にあてはまる法人は、消費税を課することとされています。そのような法人は「特定新規設立法人」と呼ばれます。
※特定要件とは、その事業年度の開始の日における「他の者(その新設法人の株主の一人のこと)」または、他の者と他の者と関係のある一定の者が、直接または間接に発行済株式総数の50%超を保有していること等を指します。
(2)その新設法人が特定要件に該当することの基礎となった他の者と一定の特殊な関係にある法人(以下、「特殊関係法人」とする)のうちのいずれかが、その新設法人の基準期間に相当する期間の事業年度の課税売上高として一定の金額が5億円を超えること※特殊関係法人とは、他の者または他の者と生計を一にする親族等が別の法人を100%支配(株式保有)している場合のその法人などをいいます。
※基準期間に相当する期間とは、新設法人の設立日の2年前の日の前日から同日以後1年を経過する日までの間に終了した特定要件に該当することの判定の基礎となった他の者、特殊関係法人のうちいずれかの者の事業年度等をいいます。
この制度は平成26年4月1日以後に設立される法人に適用がありますが、グループ内で子会社等を設立したりといった組織変更を行うケースが増加している昨今、特に注目が集まっている制度ですので改めて注意が必要です。
個人やその親族で複数の会社を所有する場合、特殊関係法人に該当する法人を有しているケースがあると思われますので、基準期間に相当する期間の課税売上高が5億円を超えてないか確認する必要があります。実務上は、この法人の存在を見逃さないよう、設立の届出書や決算申告書を作成する際にお気をつけください。
他にも、消費税のその年度の納税義務の有無や、課税事業者となった場合の簡易課税制度への変更手続きに関する注意点については既に過去の記事で取り上げていますので、ご参照下さい。
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