GERBERA PARTNERSブログ

所得税|退職した従業員へ支払う未払残業代について

2023/11/07

Q、当社は、本年5月に退職した従業員から未払残業代を請求されてしまいました。
議論の末、ようやく本年11月に精算金という形で「未払残業代+遅延損害金」を払うことになりましたが、税務上の取り扱いはどうなるのでしょうか?
元従業員から源泉徴収票の交付を求められており、非常に困っています。

A、退職後の支給分(未払残業代)については原則、乙欄で処理を行う必要があります。今回の場合、源泉徴収票の交付は2枚(甲欄分と乙欄分)になります。

 

解説(公開日:  最終更新日:

   

退職する前までの勤務にかかる源泉徴収票作成についてはおわかりかと思いますが、退職後に支払うこととなった分までの処理においては判断に戸惑うことかと思います。

 

A、退職後の支給分(未払残業代)については原則、乙欄で処理を行う必要があります。今回の場合、源泉徴収票の交付は2枚(甲欄分と乙欄分)になります。

基本は「上記回答」の通りです。

 

通常、年の半ばでの退職の場合、次の勤務先での勤務中の受給となることが多く、当然に次の勤務先で「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出しているため、貴社が払う処理は乙欄になります。

 

ただ、国税庁HPにこの様な記載(ただし、退職後~差支えありません。)があります。

 

要するに、ケースによっては退職後の支給分(未払残業等)について、甲欄でやっても問題ないという事です。この場合は当然、源泉徴収票は甲欄1枚(退職前分+退職後分)のみになります。

 

余談ですが、退職後の支給(未払残業支給)については

  1. ① 過年度分の給与(過去の勤務時間に基づいて残業代を再計算し、実際に払った賃金との差額を支給)とするか、
  2. ② 一時金給与(過年度の残業代を一時金として精算)として支給するか、

いずれかに分かれます。

 

→①の場合は、過年度の年末調整やり直しになりますので処理が非常に面倒です。

→②の場合は、支給した時点での賞与として扱いますので、処理はラクです。

①と②は考え方の違いなので、どちらの採用もあり得るのですが、今回は遅延損害金も入っていることから、損害賠償的な性格を有しているとも考えられるので②での処理で行くべきかと思います。

     

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