2018/09/21
A、相続税申告の対象となります。有料老人ホームへ支払う入居一時金は、終身利用権の費用として位置づけであり、一定期間内に解約した場合等はその一部が返還されることが多いです。これは、金銭として見積もることのできる財産ですので、勿論相続税申告の対象になります。
老人福祉法では、この入居一時金は前払金という位置づけにもなっており、「有料老人ホームに入居した日から厚生労働省令で定める一定の期間を経過する日までの間に契約解除、又は入居者死亡により契約終了となった場合、当該入居一時金から厚生労働省令で定める方法により算定した金額を控除した残額を返還しなければならない」と規定されています。
これは、不動産の賃貸契約時に払う「敷金(保証金)」とよく似ています。
判例では、「賃貸借契約終了後、建物明渡義務履行までに生ずる賃料相当額の損害金債権その他賃貸借契約により賃貸人が賃借人に対して取得する一切の債権を担保するものであり、敷金返還請求権は、賃貸借終了後、建物明渡完了時において、それまでに生じた被担保債権を控除し、尚残額がある場合、その残額につき具体的に発生する」という事例がありました。
また、今回の事例とは違い、入居一時金の負担について
①入居者本人の負担ではなく、配偶者が払うケース(入居一時金の返還は配偶者)
②入居者本人の負担ではなく、子供が払うケース(入居一時金の返還は子供)
等が考えられます。
①の場合も②の場合も、負担した時点で贈与税課税の懸念がありますが、贈与税の非課税財産の規定の範囲内であれば、贈与税はかかりません。
そして、実際に入居者自身に相続が起こった場合、入居一時金の一部が返還されるケースが多いですが、この場合、①も②も自分の負担したお金が返還されるだけですので、課税関係は起こりません。
しかし、①のケースで、入居者自身はまだ存命であるが、その配偶者(入居一時金の負担者)に相続が発生した場合、これは配偶者が受け取る返還金についての相続なので、それに対しての相続税申告は必要になってきます。
これら以外にも様々なケースが考えられます。課税関係でお困りの時は、最寄りの税務署か顧問税理士先生等に確認されることをお勧めします。
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