GERBERA PARTNERSブログ

地方税|法人住民税の均等割が課される条件とは

2023/07/19

Q私は、昨年法人を設立しました。設立時にはきちんと税務署、地方自治体(都道府県、市区町村)へ法人設立届を提出しました。
しかし、この1年間法人としての動きは一切なく、法人の銀行口座すら作成しておりません。従いまして、経費も法人設立登記費用以外、一切発生していない状況でも法人住民税均等割を納付する必要があるのでしょうか?

A、ご質問のケースですと。法人住民税均等割を納付する必要性は限りなく低そうです。もちろん、法人設立費用等の創立費についても減価償却をしていないことが条件とはなります。
ただ、実際の税務現場においては自治体毎に解釈の差が大きく、すんなり引き下がる自治体もあれば、ひたすら食い下がってくる自治体もあり、かなりグレーな場面が多いのが実際のところです。

 

解説(公開日:2023/07/19  最終更新日:2023/07/26 )

   

法人住民税は、当該自治体に事務所または事業所を有する法人、および当該自治体に寮、宿泊所、クラブ等を有する法人で、その自治体に事務所や事業所を有しない法人(要するに、当該自治体に寮、宿泊所、クラブ等のみを有する法人)に課される税金で、都道府県と市区町村の両方に収める必要があります。

 

一般的に下記の要件をすべて満たす場合、事務所または事業所があると判断されます。

  1. ① 人的設備が置かれている
  2. ② 物的設備が置かれている
  3. ③ 継続的に事業が行われている

この①~③要件にあてはまるかどうかについては、個々の事例により総合的に判断が必要となります。

 

① についてですが、法人の役員、正社員、パート、アルバイト、派遣社員など事業活動に従事する人がいる場合や、代表者または管理人の定めがある場合には人的設備に該当します。規約上、代表者または管理人の定めがあるものについては、特に事務員等がいなくても人的設備があるとみなします。

② についてですが、事業を行うために必要な土地、建物、機械設備、事務設備などを設けていれば該当し、自己所有であるかを問いませんので、事務所を借りている場合でも該当します。規約上、特に定めがなく代表者の自宅等を連絡所としているような場合でも、そこで継続して事業が行われていると認められる限り、物的設備として認められます。

③ 事業が事業年度の全期間を通じて行われている場合のほか、定期的または不定期的に相当日数継続して行われる場合に該当します。そこで事業が行われた結果、収益ないし所得が発生することは、必要条件ではありません。また、2、3ヶ月程度などの一時的に設置された現場事務所、仮小屋などは該当しません。

 

今回のご質問のつきましては、②と③の要件を満たさない可能性が非常に高いため、法人住民税均等割を納付する必要はないと考えてよさそうです。

注意していただきたいのが、収入がゼロで経費が少しだけ発生した赤字だから納付する必要はないと勘違いをしないでください。

 

余談ですが、過去この法人住民税均等割の取り扱いについて、とある自治体と争いをした経験があります。その時は主に次の様な理由で棄却されました。

 

「審査請求人の本件事業年度における損益計算書中に販売費および一般管理費の計上があることから本来の事業の取引が、固定資産売却益、受取利息等の計上があることからは本来の事業に直接、間接に関連して行われる附随的事業の存在が認められる」

 

このケースは、年度の途中から完全に休業を行った事例で、休業以後、経費が一切発生していませんでした。強いて言えば、預金利息だけはありました。

 

曖昧なところはあるのですが、損益計算書上に何らかの数字が記載されていると、法人住民税均等割を納付する可能性が高くなると考えます。それがたとえ、事業年度の途中から完全に経費や受取利息もないとなった場合であっても、年度を通した損益計算書上に数字が計上されていると危険性が高まります。

完全休業しているのなら、たとえ少額の預金利息があっても何も損益計算書には計上しないほうが無難と考えますが、自治体毎に取り扱いが違いますし、どこまでいっても本当にグレーであるといつも感じている部分です。

 

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