GERBERA PARTNERSブログ

税制改革|サラリーマン増税とは

2023/09/22

Q、サラリーマン増税という言葉が最近話題ですが、どういう意味ですか?
サラリーマンへの増税が始まるのでしょうか?

A、サラリーマンを対象とした退職所得控除や給与所得控除に関係する税制の見直しのことです。
ただ、現段階では今すぐ始まるものではありません。

 

解説(公開日:  最終更新日:

   

なぜ世の中では“サラリーマン増税”という単語が話題になったのでしょうか?

 

サラリーマン増税という言葉が最近私たちの耳に入るようになったのは、今年の6月30日に行われた政府税制調査会の中期答申がきっかけです。

 

その答申のなかで、サラリーマンの所得に対する税制の見直しが大きな話題となりました。

 

① 退職所得控除額の見直し

現在だと退職金の控除額は、勤続20年まで1年につき40万円の控除を受けることができ、それ以降は1年につき70万円の控除を受けるようになっています。

 

見直しが入ったのはこの勤続20年以降の控除額で、勤続年数で控除額を変えず、1年につき一律40万円の控除にするというものです。

 

税制調査会は、⑴退職金以外の企業年金、個人年金等の多様な商品が整備されてきていること、⑵人々の働き方が多様化していること、の2点を理由として退職所得控除の見直しを検討する必要があるとコメントしています。

 

② 給与所得控除額の見直し

答申では、現在課税対象から除かれている通勤手当や社宅なども、今後は課税の対象として検討していくことが可能性として挙げられています。

 

この見直しの背景には、日本の給与所得者の所得控除について税制調査会が言及した以下の発言があります。

“給与収入総額の約3割程度が給与所得控除として控除されているが、給与所得者の必要とされる必要経費よりも勤務費用の概算控除としては「相当手厚い仕組み」となっている。”

税制調査会が想定する実際の必要経費は「約3%程度」であり、現在の3割という数字は控除されすぎているそうです。

 

このコメントから、サラリーマンの給与所得控除額をより小さくしたいという意思が伝わってきます。

 

その他にも、答申のなかでは配偶者控除や扶養控除、生命保険料控除について見直しが言及されています。

 

なぜ今のタイミングでサラリーマンの所得にかかわる税制の見直しが行なわれたのでしょうか。

 

税制改革が検討されている理由として、現在の日本におけるサラリーマンなど給与所得者の手厚さ以外にも、国民負担率のうち個人所得課税分が日本は他国より低い水準となっていることが指摘されています。

 

税制調査会が調査した他国の個人所得課税分の国民負担率の比率のデータをみると、アメリカ12.8%、イギリス12.4%、ドイツ13.6%、フランス14.1%となってあり、日本は8.8%とやや低い割合です。

 

このような国際的・相対的比較による日本の現在の個人所得の課税の低さを背景として、給与所得や退職金の見直しの検討がされたようです。とはいえ給与所得者にとって、この見直しは困ってしまいます。

 

今回の答申で提言された見直しがニュースや新聞で取り上げられると、SNSでも「サラリーマンを狙いうちにしている」「サラリーマン増税が始まる」といった世間の声が多く上がるようになりました。

 

世間の反発を受けて、7月25日に岸田首相は自民党税制調査会の会長に対して、「サラリーマン増税という報道があるが、まったく考えていない」と述べましたが、一般の人々は冷ややかな反応をしている姿が見受けられます。

 

今回の税制調査会での答申はあくまで「見直しの提言」であり、今すぐ始まる税制改正ではありませんが、税収を増やそうとする国の動きを鑑みると、この答申の中で検討された見直しはいずれ現実となる可能性は高いと考えられるのではないでしょうか。

 

今後も注視していく必要がありそうです。

   

 ガルベラ・パートナーズへのお問い合わせはコチラ 

 
海外赴任.com 国際労務.com 国際税務ドットコム
海外赴任.com 国際労務.com 国際税務ドットコム
採用エージェント グローバル人材採用支援.com 外国人雇用と就労ビザ
採用エージェント グローバル人材採用支援.com 外国人雇用と就労ビザ
労務監査.com ホールディングス化サポート.com 事業承継サポート
労務監査.com ホールディングス化サポート.com 事業承継サポート
少数株主対策なび 助成金活用サイト 人事評価システム「COSMO HR」についてのご案内
少数株主対策なび 助成金活用サイト 人事評価システム「COSMO HR」についてのご案内
事業協同組合/監理団体コンサルティング 新卒採用コンサルティングサポート ガルベラセミナー
事業協同組合/監理団体コンサルティング 新卒採用</BR>コンサルティングサポート ガルベラセミナー
 
 

◆ガルベラのメールマガジンに登録しませんか◆

ガルベラ・パートナーズグループでは毎月1回、税務・労務・経営に関する法改正や役立つワンポイントアドバイスを掲載したメールマガジンを配信しております。 加えて、メルマガ会員のみガルベラ・パートナーズグループセミナーに参加可能!

10秒で登録が完了するメールマガジン 登録フォームはこちら