2023/01/04
A、義務化されるのは、取引している全てのデータではありません。電子データ保存を「容認する制度」と「義務づける制度」がありますので確認していきましょう。
2023年10月にはインボイス制度が施行され、来年の2024年1月には電子帳簿保存法が義務化されます。焦ることはありませんが、要点を確認しながら準備していきましょう。
そもそも電子帳簿保存方法とは、原則紙での保存が義務付けられている帳簿書類について、一定の要件を満たした上で電子データ(電磁的記録)による保存ができるようになったこと、また、電子で取引した情報の保存義務等を定めた法律です。
電子帳簿保存法の電子データによる保存は、大きく以下の3種類に分けられます。
電子帳簿保存法が改定されました(国税庁:PDF)
これら3種類の区分、全ての取引が電子データ保存を義務付けているわけではありません。冒頭にお伝えした、電子データ保存を「容認する制度」(紙廃棄を容認する制度)と「義務づける制度」の2本立てになっているので確認していきましょう。
制度の種類 具体例 制度の意味 ① 電子帳簿等保存 仕訳帳、総勘定元帳財務諸表、請求書控 最初から自社で電子的に作成したものはデータのまま保存しても良い ② スキャナ保存 紙の請求書、領収書 紙でやり取りした書類はスキャンや読み取りをして保存しても良い ③ 電子取引に係るデータ保存 EDI取引電子メール取引 電子でやり取りしたものはデータのまま保存しなければならない
上記の「①電子帳簿等保存」と「②スキャナ保存」が、電子データ保存を「容認する制度」であり、義務づけられているわけではありません。なお、赤枠で囲ってある「③電子取引に係るデータ保存」が電子データ保存を「義務づける制度」にあたり、全ての事業者が適用対象になっています。
どういったものが、「③電子取引に係るデータ保存」の対象になるのかをみていきましょう。
- (1)電子メールにより請求書や領収書のデータ(PDFファイル等)を受領
- (2)インターネットのホームページからダウンロードした請求書や領収書等のデータ(PDFファイル等)又はホームページ上に表示される請求書や領収書のスクリーンショットを利用
- (3)電子請求書や電子領収書の授受に係るクラウドサービスを利用
- (4)クレジットカードの利用明細データ、交通系ICカードによる支払データ、スマートフォンアプリによる決済データ等を活用したクラウドサービスを利用
- (5)特定の取引に係るEDIシステムを利用
- (6)ペーパーレス化されたFAX機能を持つ複合機を利用
- (7)請求書や領収書等のデータをDVD等の記録媒体を介して受領
(国税庁HPより抜粋)
上記の(1)~(7)すべて「電子取引」に該当すると考えられますので、「③電子取引に係るデータ保存」の対象になります。なお、受領するものによってはタイムスタンプを付与するなどの処理が必要ですので、適切にデータを管理しましょう。
また、インターネット上で授受される領収書等と同一内容の書類が郵送で送られてきた場合は、各法人が定めている規定に則った正本(どちらか一方)のみの保存で良いので、これを機に見直してみましょう。
令和5年度の税制改正大綱では、電子帳簿に関して全体的に緩和措置がとられていました。税制改正の内容につきましては次回のブログで取り上げる予定です。
焦ることなく、侮ることなく、令和6年に向けて準備していきましょう。
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