2023/07/05
A、現時点では、鵜呑みにしない方がよいでしょう。
2022年11月に登場し、世間を賑わせているChatGPT、みなさまは使用されたことがありますでしょうか?
新たな検索ツール、文章生成ツール、としてだけではなく、様々な職業に取って代わられるのでは?とも言われ、「ChatGPT 税理士」で検索すると、「税理士の仕事が奪われる?!」というような記事もヒットしますが、実際のところどうなのでしょうか。
ChatGPTに税務上の質問をしてその回答を検証し、税務で活用できるのかみてみましょう!
「法人税の申告期限を過ぎた場合のペナルティを教えて」
まず、ChatGPTを使用されたことのある方であればご存知かとは思いますが、ChatGPTが回答するために収集したデータは2021年9月時点までのデータとなっています。
そのため、最新の法改正などには現時点(執筆当時である2023年6月)では対応していません。
ChatGPTの回答の1文目にもその旨記載はありますが、必ずChatGPTがこの記載をしてくれるとは限りませんので、使用上十分に注意する必要があります。
では、このことを踏まえた上で、ChatGPTが回答してくれた「法人税の申告期限を過ぎた場合のペナルティ」の1~4を一つずつ検証してみましょう。
申告期限を過ぎたことで課される税金は「無申告加算税」です。
原則として、納付すべき税額に対して、50万円までは15パーセント、50万円を超える部分は20パーセントの割合を乗じて計算した金額となります。
この無申告加算税は率が軽減される場合や、そもそも課されない場合もあります。
なお、「年利率14.6%」は延滞税で出てくる利率です。また、無申告加算税は日数に応じてかかるものではありません。
税金を納付しなかったことに対して課される税金は「延滞税」です。「申告期限」からではなく、「納期限」からの日数に応じて計算されます。
原則、2か月以内の場合「年7.3%」、2か月を超える場合に「年14.6%」です。
(いずれも例外あり。令和5年は例外が適用されており、それぞれ2.4%、8.7%となっています。)
なお、納期限とは、次の通りです。
税務上で「延滞金」とは、多くは「地方税」について、納期限までに納めなかった時に課されるものとして使われることがほとんどです。
また、内容については1の遅延税金(無申告加算税のこと?)と被っているように思われます。
申告期限が過ぎたことに対し、特に悪質と判断された場合には罰金的な性格として「重加算税」が課されることがあります。
なお、この重加算税は期限内に申告していても課されることのあるものです。
以上、ChatGPTの回答内容を見てみましたが、「法人税の申告期限を過ぎた場合のペナルティを教えて」の回答としては不十分であると言わざるを得ません。
また、ChatGPTの回答では、追加で払う税のことのみに着目していましたが、青色申告をしている法人が2期連続で期限を過ぎた場合は、その青色承認が取り消される、といったペナルティがあることも忘れてはいけません。
ChatGPTは次世代ツールとして非常に期待されているものではありますが、税務上、特に今回質問してみたような、お金に絡むものに使用するには時期尚早のようです。
今後、国税庁ウェブページや税法を十分に学習させたツールが登場し、誰もが税務の疑問を簡単に解消できるようになると良いですね。
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