2016/11/10
Q 知人の会社に税務調査が入り、驚くほどの罰金を支払ったと話していました。税金に罰金があるのはなんとなく知っていましたが、もし、計算が間違っていた場合、どのくらいの罰金を支払わなければいけないのでしょうか。
A 確かに税金の罰金的なものがあります。「罰金」というよりは罰金的な性格をもった税金がある、という方がより正確でしょうか。
1946年に日本国憲法が公布され、ここで納税が教育・勤労と並んで国民の三大義務として定められました。翌年の1947年には、申告納税制度が導入され、納税者が自主的に自分の所得(儲け)や税額を計算し自ら申告・納税することとなりました。
従いまして日本の税制度は、基本的に自分の儲けを自ら計算し、そこから税金を算出して納付しなければなりませんので、国としては、その計算が適正に行われるように、そして期日までにしっかり納税されるように、徴収する義務があるわけです。
そうは言っても人間がすることですので、期日に遅れたり、計算に誤りがあったりすることが想定されます。そこで、このようなことを抑えるために、罰金的な税金の設置が必要になるわけです。
税務の世界ではこのような罰金的な税金のことを「付帯税」と呼びます。この付帯税には、いくつかの種類があります。
Ⅰ 延滞税
Ⅱ 利子税
Ⅲ 過少申告加算税
Ⅳ 無申告加算税
Ⅴ 不納付加算税
Ⅵ 重加算税
上記ⅠとⅡは、納付が遅延した場合の利息としての性格、ⅢからⅥは申告に不備があった場合の罰則的な性格をもつ加算税です。
Ⅰ延滞税 Ⅱ利子税につきましては、9月27日のブログにてご紹介させていただきましたので、今回か罰則的は性格をもつ厳しい加算税についてご紹介いたします。
Ⅲ 過少申告加算税
当初の申告に誤りがあった場合で、不足の税金があった場合に課税される税金です。
【こんなとき】
・自ら修正申告をしたとき
・税務署から計算の誤りについて指摘が(更正)があった場合
【過少申告加算税の計算】
納税不足の税金があった場合に、その税金の10%。
ただし、増加した税額が当初の申告納税額と50万円とのいずれか多い金額を超えている場合には、その超えている部分については15%になります。
※納税者側に、正当な事情があったと認められた場合や、税務署の調査を受ける前に自主的に修正申告をすれば、過少申告加算税はかかりません。
(ただし、平成29年1月1日以後に法定申告期が到来するもの(平成28年分以後)については、調査の事前通知の後にした場合は、50万円までは5%、50万円を超える部分は10%となります。)
※確定申告が期限後申告の場合は無申告加算税がかかる場合がありますのでご注意ください。
新たに納める税金は、修正申告書を提出する日が納期限となります。この場合、納付の日までの延滞税を併せて納付する必要もあります。
Ⅳ 無申告加算税
定められている期限までに申告書を提出していない場合に課税される税金です。
【こんなとき】
・申告期限後に申告書を提出したとき
・申告期限以内に申告をしなかったため、税務署から決定を受けた場合
【無申告加算税の計算】
原則として、納付すべき税額に対して、
50万円までは15%
50万円を超える部分は20%
なお、税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合には、この無申告加算税が5%に軽減されます。
(ただし、平成29年1月1日以後に法定申告期限が到来するもの(平成28年分以後)については、調査の事前通知の後にした場合は、50万円までは10%、50万円を超える部分は15%となります。)
※期限後申告であっても、下記の要件を全て満たす場合には無申告加算税は課税されません。
・その期限後申告が、法定申告期限からひと月以内に自主的に行われていること。
・期限内申告をする意思があったと認められる場合に該当すること。
申告をする意思があったと認められるためには、納付すべき税額の全額を法定納期限(口座振替納付の手続をした場合は期限後申告書を提出した日)までに納付し、過去5年間に、無申告加算税又は重加算税を課されたことがなく、期限内申告をする意思があったと認められる場合の無申告加算税の不適用を受けていないことが要件となります。
期限後申告によって納める税金は、申告書を提出した日が納期限となりますので、その日に納めてください。
また、この場合は、納付の日までの延滞税を併せて納付する必要があります。
Ⅴ 不納付加算税
その名のとおり、期限までに納付をしなかった場合に課税される税金で、納付をしていないという事実に対して課税せられます。
【こんなとき】
納期限までに納税しなかった場合
【不納付加算税の計算】
税務署からの指摘があって納付を行う場合
納付しなかった税額の10%
自主的に納付した場合
納付しなかった税額の5%
※以下の場合には、不納付加算税が徴収されません(しかし、不納付加算税が課税されない場合でも、延滞税は課税されることがあります)。
・不納付加算税の税額が5,000円未満である場合
・法定納期限の翌日から1か月以内に納付され、その直前1年分について納付の遅延をしたことがないこと
・法定納期限の翌日から1か月以内に納付され、初回の納期に係るものであること
Ⅵ 重加算税
納税事実について、仮装(ウソ)や隠ぺいがあった場合に課税される最も重い罰金的な税金です。
【こんなとき】
(1) 過少申告加算税を徴収される場合
(2) 無申告加算税を徴収される場合
上記(1)・(2)の場合で、税額の計算の基礎となった事実を隠ぺいしたり、仮装した場合。
【重加算税の計算】
隠ぺい・仮装された部分に税額について下記の税率が課税されます。
(1) 過少申告加算税を徴収される場合
・今回がはじめての場合 35%
・過去5年に無申告加算税・重加算税を課税されたことがある時 45%
(2) 無申告加算税を徴収される場合
・今回がはじめての場合 40%
・過去5年に無申告加算税・重加算税を課税されたことがある時 50%
重加算税は他の加算税の中でもっとも税率が高く設定されています。最大50%ですので、単純に100万円分の税金を意図的にごまかした場合には、150万円の納税が必要になります。重加算税を課せられる時には、延滞税や延滞税の他、不納付加算税等の他の付帯税も加算されることになりますので、倍返し!!でかなり痛い目に合うことになります。
納税者の皆様の声の中に、税金を払っても、国は無駄な使い方をすると言って納税に批判的な声を頻繁に耳にします。税金の使途については私も思うところはありますが、それと、納税義務の是非は別問題。重加算税が課税されると、税務調査が入る頻度が短くなります。常に目を光らせて税務署は見てきます。脱税と節税は全く意味が異なりますので、しっかり節税をして適正な税金を納税いたしましょう。
◆ ガルベラのメールマガジンに登録しませんか◆
当社では毎月1回、ご登録をいただいた皆様へメールマガジンを配信しております。
税務・労務・経営に関する法改正や役立つワンポイントアドバイスをご案内しておりますので、ぜひ貴社の経営にご活用ください!
10秒で登録が完了するメールマガジン 登録フォームはこちら!!