2015/01/27
Q 66歳で年金を受給している方を新たに採用することになりました。給料をもらってしまうと年金が止まってしまうとの話を聞きました。どのように給料を設定すれば、ちょうどよい金額になるのでしょうか?
A 平成25年4月1日より高齢者雇用安定法が施行され、65歳現役社会となります。少子化や人手不足もあり、高齢者の活用が話題になっている状況ですので、労務管理でも注意が必要です。高齢者の年金や社会保険のしくみについて、人事担当者様が押さえておきたいポイントを分かりやすくご説明したいと思います。
<年金と給料の関係について>
給料を貰いすぎると、年金が貰えなくなるという話をよく聞きます。実際に60歳を超えてご活躍の方は多数いらっしゃいますが、経営者など、報酬が高い方ですと、年金が貰えず損をした気分になるとのお話もお聞きします。
この「貰えなくなる基準」を「在職老齢年金」といいますが、少し分かりにくいしくみになっており、話が複雑になる原因ですので、ごく簡単にご説明してみたいと思います。
(1)60歳から64歳まで(基準は厳しい)
月給(※1)と年金月額の合計が28万円を超えると、年金が減ります。28万円を越えた金額の2分の1が厚生年金から減額されるようなイメージになります。
(※1)正確には「総報酬月額相当額」といい、厚生年金の算定に使われる「標準報酬月額」と「標準賞与額の12分の1」の合計額です。
(2)60歳から64歳まで(雇用保険の雇用継続給付を受けている場合)
60歳になり、給料が75%未満に下がってしまった場合、下がる直前の給料額の15%が雇用保険から支給される制度があります。この15%を貰うと、年金が6%減るというしくみになっております。(※2)
(※2)正確には、かなり複雑な計算方法になっていますので、年金事務所の相談コーナーなどで試算してもらうことをお勧めします。
(3)65歳以上(基準は比較的甘い)
月給と年金月額の合計が46万円を超えると、年金が減ります。46万円を越えた金額の2分の1が厚生年金から減額されるようなイメージになります。
<社会保険の加入年齢について>
(1)厚生年金は原則70歳まで加入です。
ただし、70歳以降も勤務されている場合は、「厚生年金保険70歳以上被用者該当届」が必要になります。(保険料の徴収なし)
(2)健康保険は原則75歳まで加入です。
75歳になると後期高齢者医療制度に加入することとなりますので、「健康保険被保険者資格喪失届」が必要になります。
高齢者の社会保険管理は複雑ですので、年齢ごとの一覧表を作成して人事担当者の方が、分かりやすいように整理することをお勧めします。
(2015年1月現在の基準で記載しております)