2020/07/10
雇用保険法の一部を改正する法律により、セーフティネットの整備・拡充が段階的に進んでいくこととなりました。
その中で、雇用保険の失業等給付については、より多くの被保険者が給付を受けられるよう改正がされています。
具体的には、これまでは、離職後2年間で賃金支払基礎日数が11日以上の被保険者期間が12か月*ない場合は、基本手当(いわゆる失業手当)をはじめとした、あらゆる給付の対象外となっていました。働いた「日数」が一定以上でないと、給付が受けられない状態だったわけです。
*特定受給資格者または特定理由離職者は、離職の日以前の1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上
それが今回の改正により、2020年8月1日以降の離職分からは、働く「日数」が基準に満たなくても、一定の「時間数」働いた場合も給付の対象となることとなりました。賃金支払基礎日数が11日以上の場合に限らず、10日以下の月でも1か月の労働時間が80時間以上であれば1か月として計算されるよう改正されています。
2020年8月1日以降の離職分からは、事業主が離職証明書(離職標発行時の届出書類)を記載する場合、これまでの賃金支払基礎日数に加え、「日数が10日以下の期間の労働時間数」を記載することとなりますのでご注意ください。
現時点において、様式(記入欄)の変更は確認できていませんが、現様式での届出の場合は⑬欄「備考」の箇所に時間数を記載ください。
また、もともと賃金支払基礎日数は「離職の日から1か月ごとに区切った期間」、「賃金支払対象期間(賃金計算期間)」ごとに計算し記載するものであり、労働時間数についても、それぞれの期間ごとに記載することとなります。
被保険者期間の判定に影響する「離職の日から1か月ごとに区切った期間」については、必ずしも賃金計算期間や勤怠集計間と一致するわけではありません。離職日が賃金計算及び勤怠集計期間の締日と異なる場合は、別途集計作業が発生しますのでご注意ください。
今回の改正では、給付の対象を広げたかたちとなっていますが、週の所定労働時間が20時間以上であり、かつ実際の1か月の労働日が10日以下となる場合は、シフト勤務等特定の形態を除いては恒常的に発生しにくいケースかと思います。離職証明書記載の際は、日数が10日以下の期間について、労働時間数の記載をお忘れなきよう、ご注意ください。
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