GERBERA PARTNERSブログ

社会保険|夜勤は何日とカウントする?(離職票・算定基礎届・月額変更届)

2023/03/24

Q、介護施設で労務を担当しています。夜勤業務がありますが、離職票の賃金支払基礎日数を書く際、また、社会保険の算定時や月額変更届を出す際に、夜勤をした日は1日とするべきでしょうか、それとも2日とするべきでしょうか?

     

A、夜勤の取り扱いは、雇用保険、社会保険(健康保険・厚生年金保険)で考え方が異なります。夜勤をどのように取り扱うかが決められています。それぞれ、行政通達・事務取扱要領に基づき解説します。

 

解説(公開日:2023/03/24 更新日:2025/12/29)

 

(1) 雇用保険|離職票の「賃金支払基礎日数」について

夜勤は、「日をまたぐか」+「8時間を超えるか」 によって1日または2日としてカウントします。

夜勤の内容 賃金支払基礎日数
日をまたがない夜勤 1日
日をまたぐ+8時間以内 1日
日をまたぐ+8時間超 2日
宿直勤務(許可済) 1日(時間に関係なく)

※ 賃金支払基礎日数は各月の暦日数が上限です。

 

雇用保険に関する業務取扱要領(令和4年10月1日以降)」(厚生労働省)

21454(4)離職証明書記載要領及びその指導(129ページ)


深夜労働を行った場合の賃金支払の基礎となった日数の計算は、深夜労働に従事して翌日にわたり、かつ、その労働時間が労働基準法第 32 条第 2 項(筆者注:1日についての法定労働時間のこと)に規定する 8 時間を超える場合には、これを 2 日として計算し、たとえ深夜労働を行って翌日にわたっても、労働時間が 8 時間を超えない場合は、これを 1 日として計算する。

また、宿直については、宿直に従事して翌日にわたり、その時間が 8 時間を超えても 2日としては計算しない。

なお、この場合の賃金支払基礎日数は、各月の暦日数を上限とする。


実務上のポイント

  • ・離職票だけでなく育児休業給付金・介護休業給付金の資格確認票でも同様の考え方
  • ・宿直か通常夜勤かは労基署の宿直許可の有無で判断
 

(2) 健健康保険・厚生年金保険|算定基礎届・月額変更届について

社会保険では夜勤で日をまたいでも「2日」とは数えません

給与形態ごとに、以下の方法で計算します。

給与形態 支払基礎日数の考え方
月給 各月の暦日数
日給 出勤回数
時給 総労働時間 ÷ 所定労働時間
 

時給者の注意点(仮眠時間)

  • ・仮眠時間を
    •  ・労働時間に含めるか
    •  ・賃金支払い対象か
  • ・就業規則・雇用契約・実態で判断
 

標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」(PDF)

定時決定について(3ページ)


夜勤労働者で日をまたいで労務に就いている場合は、以下のように取り扱う。

 

① 夜勤勤務者が月給で給与の支払いを受けている場合

→ 各月の暦日数を支払基礎日数とする。

 

② 夜勤勤務者が日給で給与の支払いを受けている場合

→ 給与支払いの基礎となる出勤回数を支払基礎日数とする。ただし、変形労働時間制を導入している場合は、下記の③に準じて取り扱う。

 

③ 夜勤勤務者が時給で給与の支払を受けている場合

→ 各月の総労働時間をその事業所における所定労働時間で除して得られた日数を支払基礎日数とする。なお、勤務中に仮眠時間等が設けられている場合、これを労働時間に含めるか否かは、その事業所の業務の実態、契約内容、就業規則等によって仮眠時間等が給与支払いの対象となる時間に含まれているかどうかを確認することで判断されたい。


ここから、月給の場合は暦日(通常の取り扱いと同じ)、日給の場合は出勤回数、時給の場合は、総労働時間をその事業所の所定労働時間(たとえば1日8時間など)で割って得た数字を報酬支払基礎日数とすることが原則となります。

 

(3) まとめ

  • ・雇用保険 ⇒ 日またぎ・8時間超かどうかで1日or2日
  • ・社会保険 ⇒ 給与形態に応じた支払基礎日数計算

夜勤の方について、離職票や算定・月変のときにどう日数をカウントするかは、その夜勤の長さ(8時間超であるかどうか)、契約の内容(宿直であるかどうか、月給か日給か、仮眠の有無等)で決まることとなります。貴社の夜勤の実態を上記の内容にあてはめても、明確な答えを見つけ出すことができない場合は、管轄のハローワークや年金事務所にご相談ください。

 

夜勤を含む労務管理は、離職票・社会保険・労基法が複雑に絡み合います。

当グループ社会保険労務士では、日常的なご相談から制度対応・是正指導対策まで実務に即したサポートを行っています。

お困りのことがありましたらお気軽に当グループ社会保険労務士までご相談ください。

 
 

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