GERBERA PARTNERSブログ

社会保険|役立つ労務シリーズ 知っておくと便利な産休の話 その1

2014/12/23

Q 当社の社員が産休を取ることになりました。会社としては手続きをスムーズに行って社員を支援したいのですが、制度が複雑すぎて、担当者も困惑しています。流れを分かりやすく説明してください。

 

A 政府において、女性の活用が「成長戦略の中核」として掲げられています。中小企業においても、女性社員が安心して働ける環境づくりは急務となっております。

 

 しかし産休制度は、複数の法律によって、それぞれ細かく定められており、総務担当者でも困惑してしまうことが多いようです。全体の流れがすっきりするように、実務的に分かりやすくポイントを整理したいと思います。

 

 今回は、前半の「休職~産前産後休業まで」の流れを確認してみたいと思います。

 

(1)スケジュールの打ち合わせ

妊娠が判明しましたら、まずは相談です。本人・上司・総務担当者で打ち合わせを行い、引き継ぎや休職に入るタイミングを打ち合わせします。

 

(2)準備のための休暇の検討

法定の産前休業の前に、会社独自の休暇制度や有給休暇の取得など、準備のための休暇の検討があります。直前まで仕事をする方もいらっしゃいますが、健康面に配慮して余裕をもって休業に入ることが望ましいと考えます。

なお、この期間は社会保険料が発生しますので、無給で休職をするときは、社会保険料は従業員から徴収することになります。

 

(3)産前休業

原則として、出産予定日以前42日間が産前休業、出産日の翌日から56日間が産後休業になります。この期間は健康保険法による給付がありますので、それを整理してみます。

 

(a)保険料免除

法改正(平成26年4月30日~)で、この期間も保険料免除(労使ともに)となりました。「産前産後休業取得者申出書」を提出しますが、この手続きのポイントを説明します。社員が会社へ申出を行い、会社が書類を日本年金機構へ提出します。この申出は、産前産後休業をしている間に行わなければなりません。(大事なポイントです)「休業を開始した月」から「終了日の翌日の月の前月」までの保険料が免除になります。

 

(b)出産手当金(健康保険の加入者本人)

1日につき、標準報酬日額(※)の2/3の金額が支給されます。 (※おおよそ月給を30で割った金額とお考えください)

 「健康保険出産手当金支給申請書」を提出しますが、この手続きのポイントを説明します。

 本人・病院・会社の三者が記入するので、次のようにするとスムーズです。まず産休に入る前に会社から用紙を渡しておきます。本人記入欄を書いて病院へ提出しておきます。出産後に病院が証明欄を記入して返してくれるので、それを会社に送って会社の証明をして、保険者に提出します。この流れですと、1回の手間で産前42日と産後56日をまとめて申請できます。

 

(c)出産育児一時金(健康保険の加入者本人および被扶養者の方)

支給額は42万円です。直接支払制度といい、病院が本人に代わって請求を行い、病院に直接支払われる方法が基本になっています。病院の説明を聞き、合意書に署名するのみで手続きは完了します。(小規模な病院では受取代理制度になっている場合がありますが、内容に大きな差異はありません。)

 

 さて、ここまで手続きを確認してきましたが、健康保険関係の手続きは、何かと電話や書類のやり取りが多くなります。総務で実際に手続きを担当する方と本人のホットラインがあると効率的です。できれば女性の担当者ですと、社員も安心して相談しやすいでしょう。

 

 次回は、産後休業が終了して、育児休業に入るところをご案内します。

 

 弊社では、このような福利厚生の業務フロー作りのご提案も承っておりますので、お気軽にご相談ください。

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