2023/10/20
A、10月18日の政府有識者会議での最終報告素案が示されました。素案によるとこれまで原則不可だった転職(転籍)が条件付きで可能となり、最長5年の在留期間が基本3年になる等の見直しがなされています。内容についてもう少し詳しくみていきましょう。
政府有識者会議は、これまでの技能実習制度に変わる「新制度」で就労から1年を超えれば転職(転籍)を認める素案を示しています。
例えば1つの企業で1年を超えて就労した場合、技能と日本語の能力を試験で確認できれば他の会社に転職(転籍)が可能とする案です。
ただし、人手不足分野における人材の確保および人材の育成という制度目的に照らして現在就労している分野と同一分野内に限るとしていますので建設業から食品製造業といった異なる業種への転職(転籍)はできないことになります。
在留期間については基本3年間として、より高度な技能試験に合格し、日本語能力がN4相当であれば「特定技能1号」の資格を取得し最長5年就労を認めるとしています。
さらに「特定技能2号」の試験に合格した場合、在留資格の更新回数制限がなくなり長期就労ができるなど外国人材の処遇を改善する内容となっています。
懸念されていた監理・支援・保護の在り方として「監理団体の許可要件」の厳格化をはかっています。
具体的には、監理団体と受入れ企業の役職員の兼職に係る制限、外部監視の強化、受入れ企業数等に応じた職員数の配置、相談対応体制の強化等が盛り込まれています。
日本で就労を希望する外国人が、来日前に借金を背負わないように受入れ企業が来日前の手数料を負担する仕組みも検討しており、従来制度で問題視されていた外国人就労者が借金返済目的で別の仕事を求めて失踪したりすることがないよう整備をするものです
これらの素案は、11月に最終報告としてまとめ2024年1月召集の通常国会に提出される見込みです。
現在の技能実習制度と新たな制度(素案)の主な変更点は下表のとおりです。
技能実習制度 | 新制度 | |
在留期間 | 最長5年 (特定技能移行は限定的) | 基本3年 (特定技能移行で延長可能) |
目的 | 人材育成による国際貢献 | 人材確保と人材育成 |
転職(転籍) | 不可 | 一定要件を満たせば可 |
日本語能力 | 要件なし | 就労開始前に基礎的能力が必要 |
特定技能への移行 | 移行不可の職種あり | すべて移行可能 |
※日本経済新聞掲載表から抜粋
新制度に盛り込まれている「監理団体の許可要件」の厳格化により監理団体・協同組合設立における申請要件、期間などに注意が必要です。ガルベラ・パートナーズでは、制度変更の動向をみながら技能実習生に関する組合、監理団体の設立をお考えのみなさまのご相談に対応しております。監理団体・組合の設立をご検討される際には、ぜひお声がけください。
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